妻と離婚したい夫が知っておくべき離婚方法と離婚を拒否された場合の対処法
妻と離婚したい夫は少なくありません。新婚当時は幸せだったものの、時間の経過とともに夫婦関係が悪化すれば離婚を考えるのは当然です。
そこで今回は離婚方法について解説しましょう。
離婚する前に確認すべきことや準備すべきこと、さらには妻が離婚に応じない場合の対処法についても取り上げます。
離婚を考えている妻が見せる行動も分かるので、離婚を提案するタイミングがつかめない人にも参考になります。
離婚には様々な障害が伴う場合があります。離婚をしようとあれこれ思考錯誤したものの、難しいことが分かり時間を無駄にすることもあるでしょう。
心身共に疲れ、妻との関係がさらに悪化する可能性もあるため注意したいところです。
無用な苦労をしないように、離婚したいと思った場合に確認すべきことを解説します。
まずは現実的に離婚できるかどうか冷静に判断してみましょう。離婚の大きな障害となるのは配偶者との合意形成です。
妻も離婚の意思がある、もしくは夫からの離婚の申し出を飲んでくれるのでなければ基本的に離婚はできません。
妻が離婚に同意をしない場合でも裁判をして離婚をしているケースがありますが、これは妻の意思に関係なく裁判で離婚が認められる条件を満たしている場合に限られます。
法定離婚事由と呼ばれるもので、不貞行為や悪意の遺棄が該当します。
離婚を望む場合は、妻からの同意は得られるか、または法定離婚事由に該当するか考えてみましょう。
どちらも難しいようなら離婚できる可能性は低いです。
離婚には様々な費用が伴います。事前に必要な金額を算定して、十分な資金はあるのか、または工面できるのか検討してください。必要になる代表的な費用は次のとおりです。
- 引っ越し費用
- 弁護士費用
- 慰謝料
- 行政手続きに伴う費用
どの程度費用が必要になるかは状況によりますが、一般的には100万円ほどかかると言われています。
少なくない金額であるため、用意するのに苦労する場合もあるでしょう。
また、配偶者に離婚の準備を進めていると知られると、その後の話し合いに支障が出る可能性があるため、貯金をする場合は気づかれないように注意してください。
離婚が現実的に可能であると判断できる場合は離婚の準備を始めましょう。とくに妻が離婚に反対すると予想される場合は入念に準備をすることが肝心です。
相手が離婚を回避するためにとる手段を予想しながら、対策を練る必要があるでしょう。
妻が不倫などの法定離婚事由に該当する行為をして、それを理由に離婚する場合は証拠を集めてください。
示談交渉や裁判になる可能性が高いため、問題行動を行った証拠がないと自身の主張を証明できません。
証拠は裁判で有効なものを選んで集めることが重要です。裁判では証拠として何でも提出できますが、法定の場で証拠として効果を発揮するものは限られています。
自身が主張する法定離婚事由によって、適切な証拠品の種類は異なります。代表的な法定離婚事由と、集めるべき証拠を紹介するので確認してください。
- 不貞行為:2人でホテルに入る写真や、関係を持っていると判断できるLINEの履歴
- 強度の精神病:医師の診断書
- 3年以上の生死不明:警察への捜索願いの写し
妻が子供に暴力を振るったり、ネグレクトをしている場合は子供を妻に任せることはできません。子供の親権が必要になるため、監護実績を証明できるものを用意しましょう。
監護実績とは普段から子供の面倒をみるなど、愛情をもって接してきた実績のことです。
親権を巡って争うことになった場合、どちらがより監護実績があるかが判断材料になるため、早い段階から子供の世話をしてきたことを証明する資料を準備しましょう。
具体的な証拠品としては育児日記などが挙げられます。離婚を考えた日から書き始めるといいでしょう。
些細なことでも書き残しておくことが大切です。
離婚では財産分与が問題になることが頻繁にあります。中にはどうしても譲れないものもあるでしょうから、予め財産分与の対象になりそうなものをリストアップして、どれを確保すべきか決めてください。
自宅や車など愛着があるものの所有権について揉めると、最終的にはその財産を売却して得たお金を分ける場合もあります。
そうならないためには必要なものと、そうでないものを明確にしておくことが妻との交渉において大切です。
また、相手が欲しがる財産と自分が必要なものを明確にすれば、離婚の調停などで交渉がやりやすくなります。
状況によっては離婚後に生活の場を変えることになります。自宅の名義が妻のものになっているなら、引っ越しは避けられないため、新たな住まいを用意しましょう。
離婚後の住居として候補になるのは次の3つです。
- 実家
- 賃貸住宅
- 戸建て
経済的な負担を避けるには実家が好ましいですが、子供がいる場合は新しい環境になじめるかどうかが問題になります。
賃貸住宅は経済的負担が比較的軽く、住む場所を自由に決められるのがメリットですが、戸建てに住んでいた場合は住環境が変わることにストレスを感じる危険性があります。
戸建ては資金が必要で移り住むことが難しくなるため、今後の生活がどうなるか分からない状況では選びにくいでしょう。
妻と離婚するために取れる手段は次の3つです。
それぞれメリット・デメリットがあるため、特徴を正確に理解して適切なものを選ぶ必要があります。
これから3つの離婚方法について解説するので、自分に最適なものがどれか確認してください。
妻も離婚を望んでいる、もしくは離婚の同意を得られる見込みがある場合は協議離婚を選ぶのが最適です。
協議離婚は夫婦双方が離婚の意思があり、2人の合意のもとで離婚届を自治体に提出する一般的な離婚のやり方で、日本における約90%がこの方法で離婚すると言われています。
協議離婚の流れはシンプルです。夫婦が離婚について話し合い、2人が納得できれば離婚届を出して完了です。夫婦間で正式な合意があったことを証明するために離婚合意書を作成することもあります。
離婚合意書があれば後で妻から離婚の合意は無かったと言われた場合でも安心です。
財産分与や養育費に関する取り決めを証明するには公正証書を作成します。
公務員の立ち合いのもと、お互いが書類の内容を確かめたうえで書類を作成するため、裁判で証拠として利用できます。
夫婦間で合意があれば比較的簡単にできるため、後でこじれないように各種証書を用意することをおすすめします。
妻が離婚の話し合いに応じてくれない場合、いきなり裁判を起こすよりも離婚調停がおすすめです。
離婚調停では家庭裁判所が夫婦の間に入って話し合いを仲介してくれるため直接話し合いをする必要がありません。別居状態で、夫の顔を見るのも嫌がる妻とでも離婚の話し合いができます。
家庭裁判所の職員が仲介することで冷静に相手の話を聞けるため、合意を得るための条件を整理しやすいメリットもあります。
ただし、仲介役の調停委員は法律の知識を持っていない一般の方が担当することもあるため、離婚調停に関して助言をもらうことはできません。
話し合いの結果、合意に達すれば調停調書が作成されます。
この調停調書を市町村役場で見せれば妻のサインが無い離婚届でも受理してくれます。
妻が調停に参加しない、もしくは調停で合意に至らなかった場合、残された手段は離婚裁判だけです。裁判所が認めれば妻の意思にかかわらず離婚ができます。
しかし、裁判で離婚を認めてもらうには長期間別居しているなどの特定の条件を満たす必要があるため簡単ではありません。
また、離婚裁判では離婚に伴う様々なことに関して取り決めをします。子供の親権、共有財産、年金分割などをどうするか意見が分かれている場合に最適です。
いずれの決定も法的拘束力を持つため、離婚に伴い宙に浮いていた問題に決着を付けられるでしょう。
離婚裁判の大まかな流れは次のとおりです。
- 訴状を作成して家庭裁判所に提出する
- 口頭弁論を行う
- 夫婦に尋問が行われる
- 判決が下る
離婚を認める判決が下った場合、妻が控訴しなければ離婚が決定します。
判決が確定すれば市町村役場で離婚の手続きが行えます。
妻が離婚に同意しない場合は離婚裁判が最後の頼みの綱になります。先ほども話したとおり、離婚裁判では特定の条件を満たさないと離婚が認められません。
条件は複数ありますが、その中から実際の裁判で適用されるものを4つ厳選して紹介します。
離婚裁判で勝つためにも、代表的な条件を確認してください。
離婚が認められる最も代表的な条件は妻の不貞行為です。不倫や浮気と混同されることが多い不貞行為ですが、明確な違いは肉体関係の有無です。
肉体関係を持たなくても不倫や浮気と判断される場合がありますが、不貞行為は必ず肉体関係が伴います。
不貞行為が本人の意思で行われることも重要です。不倫相手に無理やり関係を迫られたケースでは要件を満たさない可能性があります。
不貞行為を証明するには性的な行為が行われたと判断できる証拠が必要です。
不倫や浮気をしていると分かる写真でも肉体関係があったと言えないものは証拠になりません。
心や体に傷を負わせるために、本来寄り添うべき配偶者を放置すると悪意の遺棄と見なされ、離婚が認められることがあります。
たとえば配偶者の言動が気に入らず、相手を精神的に痛めつけようと突然家を出て行って長期間戻らない場合や、結婚後も別居を続ける、または夫を家から追い出し鍵を閉めるといった行動が悪意の遺棄に該当します。
協力し合うべき夫婦にもかかわらず、それを放棄しているため、問題視されるのは当然でしょう。
同居を拒絶する以外にも、働いているのに家にお金を入れない、夫が働けない状況にもかかわらず医療費を払わないといったケースでも悪意の遺棄が認められる可能性があります。ただし妻の収入が少なかったり、不安定な場合は該当しません。
別居が長期間続いてると婚姻関係が実質的に破綻していると判断され、裁判において離婚が認められる根拠になる場合があります。
別居が3年以上続けば離婚できる場合があると言われますが、長期間別居状態でも離婚が認められないケースもあるため注意が必要です。
家庭内暴力など婚姻関係を続けるのが難しいとされる行為を他にも妻がしているようなら、長期間の別居が離婚の決め手になることもあるでしょう。
別居以外にも妻の生死が分からない状況が3年以上続くと離婚の要件が満たされます。
婚姻が破綻し、回復の見込みも無く、裁判には妻が出廷しないため離婚が成立すると考えて問題ありません。
妻が重い精神病を患っており、婚姻関係が正常に維持される見通しが立たないと離婚の条件を満たします。医師の診断書等で妻の状態を証明できれば裁判でも事情を認めてもらえるでしょう。
具体的には統合失調症や重度の躁うつ病、もしくは若くして痴呆症が発症した場合に、この条件に合致します。通常の結婚生活が難しいと判断される必要があるため、深刻な症状であると確認されなくてはいけません。
軽い気分障害や、ギャンブル好きといった程度では離婚の要件を満たさない可能性が高いです。
妻の症状だけでなく、これまで継続的に妻を看病してきたことと、離婚後の妻の生活に問題が無いことも重要視されます。
離婚することで妻の命が危うくなるようでは離婚はできません。
妻の同意が得られないと離婚は難しくなります。離婚裁判を起こすことになるため時間もお金も必要になるでしょう。
負担を抑えて離婚するためには妻から離婚の同意を得ることが重要です。
これから離婚したい妻が見せる行動を取り上げるので、離婚の申し出が受け入れられやすいタイミングを確認しましょう。
自宅でも携帯を持ち歩いているようなら不倫をしている可能性があります。相手からの連絡を待ち望んでいる状態ですから、本気と判断していいでしょう。
LINEのメッセージの一部を表示する設定にしているなら、夫に携帯を見られるわけにはいきません。
携帯をトイレやお風呂にまで持っていく、もしくは夫が携帯に手を伸ばすことすら許さないようなら、様子を見て離婚の意思があることを匂わすといいでしょう。
不倫をしているなら話にのってくるはずです。
離婚を考えている妻は夫に厳しい態度を取る傾向があります。口調がとげとげしくなったり、話しかけると煩わしそうに応じるようなら、夫から気持ちが離れていると考えて問題ありません。
食器の置き方や、洗濯機や掃除機の使い方など些細なことに不満を言うようになったら、いよいよ本格的に結婚生活が破綻していくでしょう。
この場合、妻は結婚生活に嫌気がさしています。知らないところで離婚方法を調べている可能性もあるでしょう。
離婚を提案しやすい状態と言えます。
密かに離婚の準備を進めている妻は、今の生活にお金を使うのを嫌がるようになります。もうしばらくしたら夫とは顔を合わせなくなると考えていますから、そんな相手との生活で無駄な出費はしたくありません。
妻が不倫をしている場合は、不倫相手との関係にお金を使ったり、これからやって来る新しい生活のために蓄えが欲しいと思うでしょう。夫との暮らしにお金を回す余裕はないはずです。
新しい生活のためのお金を預けるための銀行口座を新規に開設しているようなら、離婚の意思があるのは間違いありません。
妻が自宅に帰ってくる時間が遅くなったり、休日になると朝から家から出ていくのは夫と一緒にいたくないからです。
顔を見るのも嫌なため、仕事の後は友人と過ごしたり、休日返上で仕事、もしくは別居するための物件探しをしている場合があります。
家にいない時間帯に何をしているかは様々ですが、その間に離婚のことを頻繁に考えていると思われます。
親しい友人や専門家に離婚の相談をしていて、ある日突然に離婚の話をしてくる可能性だってあります。
妻が普段よりも子煩悩な態度を取るようになったら離婚を考えているサインかもしれません。
自分のキャリアを大事にしたいタイプの女性で、これまで子供と接する機会が一般的な女性よりも少なかったのに、ある日を境に態度が変わったなら、親権を取りに来ている可能性があります。
妻が離婚裁判で親権を勝ち取るには夫よりも頻繁に子供の世話をしたことを証明しなければなりません。つまり、離婚の決意が固まっており、親権獲得のための実績作りをしているわけです。
離婚の申し出をすれば受けてくれるでしょうが、親権ではこじれる危険性があります。
どれだけ説得しても、かたくなに妻が離婚を拒むことがあります。離婚の合意が得られない厳しい状況でも、別れるために取れる手段はあります。
- 生活する場所を変える
- 相手が出した離婚の条件を飲む
- 専門家に相談してアドバイスをもらう
妻に離婚を断られた場合の対処法を3つお伝えするので、どうにかして離婚したい場合に参考にしてください。
離婚のために取れる手段が無くなった場合は、解決の糸口を自ら手繰り寄せるために別居をするのも選択肢の1つです。
離婚裁判において別居を離婚の根拠にするには少なくとも3年以上、できれば5年以上、妻と別々に暮らす必要があるため、長丁場になりますが、他に手立てが無い場合は有効です。
ただし、妻に収入が無かったり、夫がいないと生活が成り立たない場合はおすすめできません。悪意の遺棄に該当する可能性があります。
もし別居が悪意の遺棄と判断されたら、裁判で離婚を要求できなくなります。
妻が離婚の条件を提示している場合は、可能な限りその条件をそのまま飲むようにしましょう。
親権の譲渡や慰謝料、離婚後の養育費など、中にはとても飲めない条件もありますが、何とかならないか再検討してください。
妻に厳しい条件を突きつけられることが予想される場合は、相手の譲歩を引き出す新たな条件を見つけましょう。
親権を譲るよう求められているなら、定期的に子供に会えることを交換条件にするなど、相手が譲歩できる範囲内で自身の要望を実現できないか検討してください。
妻が離婚に否定的で、離婚をするモチベーションが全く無い場合は、離婚の不安を和らげる条件を提示することが効果的です。
たとえば子供に離婚の影響が及ぶことを心配しているなら、住居を用意して頻繁に子供と会うようにするなどの配慮を見せれば、妻が考えを変える場合があります。
妻から離婚の条件を引き出すには、真摯に相手の気持ちに寄り添うことが大切です。
効果的な対処法が分からない場合は、離婚問題に詳しい専門家に相談して対処法についてアドバイスをもらうことをおすすめします。
状況に応じて適切な相談先は変わるので、タイプの異なる専門家を紹介します。
どういった状況で、どの専門家に相談すべきなのか確認してください。
離婚カウンセラーは夫婦間の様々な問題の相談を受けてくれます。
国家資格が無いため、誰でもできますが、NPO法人日本家族問題相談連盟が認定している資格「離婚カウンセラー」を取得している人か、カウンセリングの研修を受けた人が行っているのが一般的です。
弁護士よりも手軽に利用できるため、離婚の可能性や妻が離婚に同意してくれるかなど、離婚の準備を始める前に助言をもらいたい時に活用できます。
妻と一緒に相談することもできるので、離婚に不安を感じている妻を安心させるために利用するのもいいでしょう。
妻に不貞行為の疑いがある場合の相談先として最適なのが探偵事務所です。不倫している妻は不貞行為をした疑いがあります。詳しく調べれば不貞行為の証拠をつかめる可能性があるでしょう。
探偵事務所は離婚裁判で有効な不貞行為の証拠をつかむプロです。複数のスタッフが担当し、相談者から妻の行動に関する話を聞いて、綿密な計画を立てて調査を始めます。
素人には扱えない様々な専門機器を活用するので、妻が不倫相手と肉体関係を持った証拠を用意してくれるでしょう。
不貞行為を根拠に離婚裁判を起こすつもりなら、早い段階で探偵事務所に相談しましょう。妻が対策するよりも早く調査できれば証拠をつかみやすいです。
どうしても離婚したい場合は弁護士に話を聞いてもらいましょう。妻との示談交渉から法的措置まで、様々な手段を用いて離婚のサポートをしてくれるだけでなく、離婚が確定した後のサポートまで期待できます。初めて離婚するなら欠かせない存在に感じられるでしょう。
書類作成を含む各種手続きも任せられるため、離婚に向けての手続きで時間を取られることもなくなります。仕事が忙しい社会人でも手間取ることなく協議離婚や離婚裁判に対応できます。
離婚は夫婦双方が同意しないとできません。離婚裁判を起こしても妻に不貞行為などの違法行為がないと裁判所に離婚を認めてもらうのは難しいです。
強引なやり方を選ぶよりも、まずは妻と話し合って離婚を受け入れてもらいましょう。ポイントは妻の不安や願望を見極めることです。
離婚後の生活や子供の親権など、妻が悩むことは数多くあります。不安に感じていることを捉えて、それを解決するための提案をてください。
提案が妻の不安を解消するものであれば、離婚の見通しが立つでしょう。