離婚にかかる弁護士費用の相場と安くするコツ|離婚方法ごとの相場が分かる
離婚にかかる弁護士費用の相場が分からないと弁護士に依頼するのをためらい、結果として状況を悪くする危険性があります。
そこで今回は離婚のサポートを弁護士に依頼した際の費用相場について解説します。
どのような費用が発生し、それぞれどの程度かかるのかが分かります。
離婚方法ごとの相場についても触れるので、予算内で一番離婚できる可能性の高い手法を選べるようになるでしょう。
まずは離婚を弁護士に依頼した場合の費用相場を知るメリットについて解説します。
相場を知ることで得られるメリットは経済的な面だけではありません。
弁護士を利用する際に生じるトラブルの予防にもつながります。
相場を知っていればサポート内容に対して高すぎる料金を設定している悪質な弁護士を回避できます。弁護士を利用した経験が無い場合、弁護士の提示する料金をそのまま受け入れることが少なくありません。
相場を知っていれば提示された料金が高いことを指摘したり、なぜ高額なのか説明を求めることができるでしょう。
弁護士費用には様々な項目があるため、分かりにくい部分で費用を割り増ししてくる可能性もあります。
こういった悪質なやり方に対抗するためにも、弁護士費用の内訳や費用ごとの相場を確認しておくことが重要です。
相場を知っていると弁護士費用を抑えるのに役立ちます。高額なところを候補から除外して、相場よりも安い弁護士事務所を探せるでしょう。
料金が安いのか高いのかすぐに判断できるため、弁護士探しがはかどります。インターネットだけでも数多くの弁護士がいるため、料金を判断材料にした素早い弁護士の選別方法は役に立ちます。
また、最終的な費用が分からない場合でも相談費用や着手金などの細かな費用相場を知っていれば、その弁護士事務所の料金設定が高いか安いか大まかに判断できるようになります。
弁護士費用の内訳に詳しくなるほど、一部の費用項目から安さを推測しやすくなるでしょう。
弁護士費用の相場を知ることは支払いトラブルの回避にも効果的です。弁護士費用とその相場に詳しくなるためには、弁護士費用が決まる仕組みについて知ることが欠かせません。
どの費用がどのタイミングで決まり、そして請求されるのかを知ることで、支払いに関する基礎知識も自然と身につくでしょう。
適切な手順で支払い請求が行われているか判断できるので、疑わしい請求の仕方をしていればすぐに気づけます。
離婚にかかる弁護士費用をより正確に知るために内訳を確認しましょう。費用の内訳は弁護士事務所によって違いがありますが、共通する項目は多いです。
着手金のように、どの弁護士事務所でも請求される費用から先に紹介するので参考にしてください。
弁護士に依頼する場合、正式な依頼をする前に相談を行うのが一般的です。離婚の悩みによっては弁護士に頼んでも解決できない場合や、希望が叶わないことがあります。
事前に相談することで、そういったミスマッチを解消できます。法律相談の相場は1時間5,000円~10,000円ほどです。
最近は弁護士事務所間の競争が激しくなっているのか、インターネットから申し込むと初回に限り無料で相談できることも少なくありません。
離婚トラブルに関して弁護士に相談する場合、着手金の相場はおよそ20万円~30万円と言われています。着手金は弁護士にサポートを正式に依頼する際に生じる費用のことで、相談内容によって異なります。
相談する弁護士事務所によって金額に差がありますが、10万円を下回ることは滅多にありません。一般的に着手金の金額は依頼する仕事の困難さや、解決に必要な手続きの煩雑さなどが反映されます。
最初に支払い、依頼後すぐに契約を破棄しても戻ってこない費用であるため、着手金の金額には注意が必要です。
離婚の依頼をした場合の成功報酬金は裁判で得た経済的利益の10%~20%程度になることが一般的です。具体的な金額は10万円~30万円ほどです。
実力と人気のある弁護士の場合、20%後半になることもありますが、30%を超えることは滅多にありません。
相手が慰謝料を求めている場合に弁護士に慰謝料の減額をお願いしたケースでは、成功報酬金は慰謝料の減額分で決まります。
相手が相場を大きく超える高額な慰謝料を請求した場合は減額幅が大きくなるため、報酬金が想定よりも高くなる可能性があるでしょう。
離婚の依頼をすると、配偶者との交渉や各種手続きのために事務所の外で活動することがあります。事務所外における活動があると日当と呼ばれる費用が発生します。
外での活動時間が長くなるほど日当は高くなるため、頻繁に配偶者と相談すると日当は積み重なっていくでしょう。
日当の相場は半日で3万円~5万円、1日で5万~10万円ほどです。
出張の場合は移動距離によってさらに高額になることもあります。日当が発生する場合、実費も生じることが一般的です。
実費とは交通費や各種手続きに伴う手数料のことで、活動内容や移動距離によって異なります。
弁護士に依頼して離婚する場合、協議離婚・離婚調停・離婚裁判のいずれかの方法で離婚することになります。
それぞれ裁判費用が異なるため、相場を確認しておきましょう。
離婚方法ごとに弁護士に依頼できる内容に違いがあるので、何に費用がかかるのか把握してください。
協議離婚は弁護士に依頼しなくても離婚できるため、費用相場は3つの離婚方法のなかで最も安いです。離婚は夫婦両者の合意があれば最寄りの市町村役場でいつでも行えます。協議離婚では夫婦が離婚に合意できるように様々な条件が話し合われます。
2人の話し合いで離婚がまとまれば、離婚届を役場に提出で手続きは完了です。弁護士に依頼するのは配偶者の同意が得られないケースです。
親権や慰謝料に関して折り合いがつかず、離婚手続きが停滞したために弁護に依頼します。協議離婚を進めるために弁護士に依頼した場合の費用相場は30万円前後です。
サポート内容は離婚に向けた助言や和解案の提案、判例から慰謝料の相場を伝えるなどアドバイスが中心になります。
慰謝料や財産分与が伴う離婚の場合、10%~20%の成功報酬を請求されるでしょう。
夫婦間の話し合いで離婚に至らなかった場合、調停離婚を検討することになります。調停離婚は裁判所に離婚の調停をお願いするため、法的な手続きが必要です。
この手続きは弁護士に頼ることなく個人でもできますが、弁護士を立てることで個人で行うよりも手続きが円滑に進みます。
調停離婚は裁判所で行われますが話し合いが基本で、裁判における尋問のような厳格な手続きはありません。
調停の手続きに詳しい方であれば弁護士費用を支払うことなく自分だけで離婚できる場合もあるでしょう。調停離婚における弁護士の仕事は書類の作成と提出、そして調停の付き添いもしくは代行です。
弁護士に依頼する場合の費用相場は着手金と成功報酬金がそれぞれ20万円~30万円で、これに実費や相談費用などを含めると40万円~70万円ほどになります。
離婚調停で配偶者の同意が得られなかった場合、裁判を起こして離婚を認めてもらうことができます。裁判では離婚の成立要件をめぐって争うことになるため、弁護士の力添えは欠かせません。
離婚裁判は調停離婚を行ってから出ないと提訴できないため、離婚裁判を弁護士に依頼する場合は調停をサポートしてもらった先生に継続してお願いするか、新たな弁護士に依頼する必要があります。
引き続き同じ弁護士に依頼する場合は新たな着手金が不要になる場合があります。費用を抑えたい場合は弁護士に継続依頼をするといいでしょう。
離婚裁判を依頼した場合の弁護士費用の相場は着手金と相談費用がそれぞれ20万円~30万円ほどで、合わせて約40万円~60万円になります。
これに日当と実費が加わると10万円ほど加算されるでしょう。
上記の相場は離婚のみのケースで、親権や財産分与のサポートが含まれると総費用は100万円を超えることもあります。
離婚にかかる弁護士費用は高額になる傾向があるため、費用を抑えるコツを知っておきましょう。
初めて離婚の弁護士依頼をする方でも問題無く実践できるものですから、ぜひ参考にしてください。
弁護士費用を抑えるなら初回の相談を無料で受けられる弁護士事務所を探すのが効果的です。相談だけでも5,000円以上かかり、場合によっては10,000円前後請求されることもあるため手軽な節約になります。
弁護士によっては無料相談では法律相談だけでなく、離婚の助力をお願いした場合の見積もりも作成してくれます。
見積もりは他の弁護士事務所で価格交渉する際にも役立つのでおすすめです。
細かい費用の内訳も確認できるので何にお金がかかるのか勉強になるでしょう。
着手金は一度支払ったら絶対に戻ってこないお金です。初めて依頼する弁護士はどの程度頼りになるのか分かりません。
頼んだものの仕事が遅く頼りにならない場合は即座に契約を破棄することもあるので、着手金が高額だと損失が大きくなるでしょう。また、着手金が高額だと依頼ができないこともあります。
着手金は弁護士が仕事を始める前に支払う必要があるため、手元に自由にできるお金が無いと離婚のサポートをお願いできません。
着手金が相場より安く使いやすい良心的な弁護士を探しましょう。
弁護士と二人三脚で離婚を目指す場合、連絡は密に取る必要があります。
配偶者のこれまでの言動に離婚事由に該当するものはないか、配偶者は何を離婚の条件にしているかなど様々なことに関して弁護士と情報共有しないと離婚は勝ち取れません。
そのため弁護士事務所に何度も足を運ぶことになるでしょう。事務所が遠いと交通費がかかります。また、弁護士が配偶者と交渉すると、そのたびに日当を請求されます。
可能な限り自宅に近い弁護士事務所を利用して、諸経費を抑えることも検討すべきでしょう。
弁護士費用の多くを占めるのが成功報酬です。扱う慰謝料や財産が高額な場合は費用の大半を成功報酬が占めることになるでしょう。
総費用に与えるインパクトが大きいため、費用を抑えたいなら成功報酬の割合が低く抑えられている弁護士を選択すべきです。
成功報酬は弁護士事務所によって扱いが大きく異なります。割合にこだわるだけでなく、最低額が設定されていないか確認してください。
成功報酬金の最低額が30万円に設定されている場合、報酬金の額が30万円を下回る依頼については謝絶される可能性があります。
法テラスは経済的に余裕がない方や、弁護士に相談する方法が分からない方を支援するために作られた法務省が管理する機関です。
法テラスには弁護士費用を立て替えてくれる制度があり、これを利用すれば弁護士費用をすぐに工面できない場合でも弁護士のサポートを受けられます。
法テラスの立替制度を利用するためには所得が所定の基準以下である必要があります。
基準は家族の人数によって次のように決まっています。
- 家族2人 月収が251,000円以下
- 家族3人 月収が272,000円以下
- 家族4人 月収が299,000円以下
総費用を抑えることはできませんが、分割払いとすることで支払いの負担は軽くなるでしょう。
DVやモラハラ、ギャンブル、不倫など離婚の理由は様々ですが、多くの場合、放置すると問題はより複雑になる傾向があります。
一度問題がこじれると解決に時間がかかるため、離婚するならいち早く弁護士に相談しましょう。
早く動けば問題がまだ小さい段階で解決できることもあります。協議離婚の段階で別れることができれば、離婚裁判の半分から3分の1程度の費用で済むでしょう。
離婚を決意したらいち早く弁護士と相談し、早期に問題を解決できるよう積極的に動きましょう。
弁護士費用は高額なので、支払いの負担を軽くするには分割払いが有効です。法テラスの立替制度を使うのが理想ですが、所得制限があるため誰もが利用できるものではありません。
弁護士事務所のなかには分割払いに対応しているところがあります。成功報酬や実費といった大きな金額になりやすい費用を分けて払うことで家計にかかる負担を減らせます。
条件によっては着手金も分割払いにしてくれることもあるので、弁護士とよく話し合いましょう。
離婚の弁護士費用と支払いに関する注意点を解説します。
弁護士費用の支払いには独自のルールがあり、知らないと追加料金が発生したり、弁護士の信頼を失うことになるでしょう。
また、離婚問題特有の落とし穴もあるので、ここで注意点を確認してください。
弁護士に離婚のサポートを依頼する場合、各費用の金額だけでなく支払い時期についても正確に把握しておきましょう。
弁護士費用は項目によって支払い期限が異なり、支払いを済ませないと契約を解除されかねません。
支払いが遅れたために弁護士の書類作成や申請が中断すれば離婚の機会を逃す危険性があります。注意すべき支払い項目は着手金です。
金額が大きい場合はすぐにお金を用意できない場合もあるので要注意です。
支払い期限が短く、お金の工面に時間がかかりそうな場合は期限を伸ばすよう交渉してください。
離婚の調停や裁判を行っている場合、弁護士費用は個人の財産から支払わなければなりません。共有財産は夫婦2人のものであり、どちらか一方が無断で利用することは不可能です。
財産分与を行い、正式に自分のものだと確定してからでないと支払いには使えません。共有財産と聞くと自宅や車を思い浮かべますが、夫婦が共同で利用している銀行口座なども共有財産として判断されることがあります。
弁護士に離婚の支援をお願いするなら個人財産が十分にあるのか確認してからにしましょう。
先ほども少し触れましたが、離婚調停と離婚裁判はそれぞれ別の依頼として取り扱われることがあります。
そのため同じ弁護士に離婚調停のサポートをお願いする場合でも、新たな依頼として着手金が発生する可能性があるので注意してください。
成功報酬に関しては条件が改めて提示されるでしょう。離婚調停と同じ条件で契約できるとは限りません。支援の内容に変更がある場合はとくに注意してください。
離婚調停中に配偶者とトラブルになり、親権や財産分与について争うことになれば、想定していた弁護士費用よりも高額な支払いになります。
あらかじめトラブルを想定して、依頼内容の異なる弁護士費用を試算しておけば支払い方法に変更があっても余裕をもって対応できます。
離婚にかかる弁護士費用に関して、依頼者が頻繁に疑問に感じる点を解説します。
弁護士の助力を受けながら離婚の手続きを進めていくと遭遇する疑問や不安を解消するのに役立つでしょう。
- 公正証書の作成を弁護士に依頼する場合の相場は?
- 弁護士に公正証書の作成をお願いする場合、本契約とは別の依頼となるため新たな費用が発生します。
公正証書は協議離婚をする際に作成されることが多いためか、弁護士費用に含まれていると勘違いしやすいので気をつけましょう。
弁護士に作成を依頼した場合の費用相場は5,000円~20,000円ほどです。
また、公正証書に執行受諾文言を加えることで、慰謝料の未払いが起きた場合に強制執行が可能になるため、法的拘束力を持たせるかたちで作成することが重要です。
安易に自分で作成するよりも、追加料金を払ってでも弁護士にお願いしましょう。
- 費用に関して弁護士とトラブルになったらどこに相談できますか?
- 着手金や相談料が相場よりも大幅に高額だったり、支払い期日を過ぎたら高額な罰則金を請求されるなど、費用や支払いに関するトラブルに遭ったら日本弁護士連合会(日弁連)を頼りましょう。
日本弁護士連合会とは弁護士の指導と監督に関する事務を行っている法人です。
弁護士に対する苦情や不満を受け付けているため、悪質な方法で費用を請求されたら連絡しましょう。
問題の弁護士の懲戒を求めることもできます。
高額な費用を請求された場合は、弁護士会の仲介のもと紛議調停を申し立てることになるでしょう。
- 弁護士費用を支払えなくなった場合の対処法は?
- 離婚裁判は思いのほか長くなることがあります。
長期に渡って弁護士に仕事をしてもらった場合の費用は高額です。
費用を支払えなくなった場合、まず最初に親御さん、もしくはご兄弟に相談してみましょう。
お金を立替てくれる相手がいない場合は弁護士に分割払いをお願いしてください。
費用の減額や支払い期限の先延ばしは期待できませんが、分割払いなら応じてくれる場合があります。
弁護士事務所が分割払いに対応している場合は利用できないか相談しましょう。
なお、弁護士事務所が提供している分割払いの分割回数は最大12回となっていることが多いです。
- 弁護士が活躍する前に離婚できたら費用は安くなりますか?
- 総費用は裁判が長引いた場合に比べると安くなります。
離婚裁判は長期に渡ることが多いため、弁護士に支払う日当や実費が重くのしかかりますが、協議離婚で短期に合意を得られれば負担にはなりません。
しかし、成功報酬や着手金といった費用は問題解決にかかった時間に関わらず金額が決まるため、早期に離婚が決まっても支払い額は同じです。
とくに成功報酬金は依頼者が離婚で得た経済的利益によって決まるので、高額な慰謝料や財産分与を受けた場合は高額請求を受け取ることになります。
離婚にかかる弁護士費用の相場は協議離婚なら30万円、協議離婚なら40万円~70万円、離婚裁判なら50万円~70万円ほどです。
離婚裁判で親権や財産の獲得を目指す場合は100万円を超える場合もあります。また、離婚裁判は調停離婚の手続きを踏む必要があるため、調停離婚から弁護士に依頼した場合の弁護士費用は90万円~140万円ほどになるでしょう。
弁護士費用の内訳では着手金と成功報酬金が重要です。どちらも依頼期間にかかわらず10万円を超える高額請求になるため、費用を抑えたい場合はこの2つの費用が安い弁護士を探してください。
詳細な費用は弁護士事務所ごとに異なるため、まずは無料相談を利用して見積もりを確認しましょう。