結婚や出産を機に、夫婦間に亀裂が入ってしまう「産後クライシス」。

その亀裂の度合いによっては、夫婦が離婚に至ってしまう可能性も否定できません。

ですが夫婦双方での協力が可能であれば、この危機を乗り越えるばかりでなく、さらに絆を深めることができるでしょう。

「産後クライシス」の症状や対処法について、簡潔にまとめました。

この記事を読むと分かること

・そもそも産後クライシスとは

・産後クライシスの主な症状

・産後クライシスになりやすい人や夫婦の特徴

・産後クライシスを夫婦で乗り越えるための対策

・産後クライシスをきっかけとする離婚について

そもそも産後クライシスとは?

そもそも産後クライシスとは?

そもそも産後クライシスとは、何を理由に起こるどういった状態のことを指すのでしょうか。

まずは産後クライシスの、一般的な定義や原因について解説していきます。

産後クライシスとは出産や子育てをきっかけに夫婦関係が悪化すること

産後クライシスとは一般に、出産や子育てをきっかけに夫婦関係が悪化し、従来の関係の維持に危機(クライシス)が生じた状態を言います。

混同されやすい言葉としては「育児ノイローゼ」が挙げられますが、母親のみを主語とする「育児ノイローゼ」と異なり、産後クライシスの主語となるのは「夫婦」です。

原因はホルモンバランスの他、夫婦間の認識の相違等にあることも

出産後の母親は、胎盤の排出や授乳の関係でホルモンバランスが大きく乱れやすくなります。

結果的にイライラしたり、感情が不安定になったりといった問題が生じやすくなるため、生理学的な事情が産後クライシスの原因となることも珍しくはないでしょう。

  • 夫婦間で育児に対する熱意の度合いや方針の相違
    (妻から見た夫が、育児に関心が低いと認識される場合など)
  • 夫婦間のコミュニケーションや思いやりの欠如
  • 配偶者の親族との関係の悪化

外的な事情が夫婦の危機を呼ぶ可能性も決して低くはありません。

産後クライシスの主な症状

産後クライシスの主な症状

産後クライシスとは「出産や子育てをきっかけとした夫婦関係の悪化」のことで、人間に適用される言葉ではありません。

ですが産後クライシスに至った夫婦には、以下のような傾向が見られます。

産後クライシスをきっかけに生じうる症状

・配偶者に対するイライラや不信感が増す
(または配偶者にそう思われていると感じる)

・口喧嘩、あるいは一方的に詰られると感じることが増える

・二人で協力して育児ができていないと感じる

・相手の欠点だけが気になる

・赤ちゃんに対しても理不尽な不満を抱いてしまう

当てはまる点が多いほど、あるいはそう感じる度合いが高いほど、夫婦が産後クライシスに陥っている可能性は高いと言えるでしょう。

産後クライシスになりやすい人や夫婦の特徴

産後クライシスになりやすい人や夫婦の特徴

ホルモンバランスの関係や、出産を行うのが女性のみという実情、そして何より「家族が増える」という事情から、出産をきっかけに夫婦関係に変化が起こるのは当然です。

ですが多くの夫婦の中でも産後クライシスに陥りやすい状況に置かれている方と、そうでない方が存在することは事実でしょう。

産後クライシスに陥りやすい人や夫婦の特徴について解説します。

産後クライシスになりやすい人や夫婦の特徴

・はじめての出産や育児に強い責任感や理想を抱いている

・自分や配偶者を他人と比較してしまう

・配偶者以外に相談できる相手がおらず、孤独感を抱えやすい

はじめての出産や育児に強い責任感や理想を抱いている

はじめての育児に強い責任感を覚えることは、決して悪いことではありません。

  • 配偶者にも同等の気構えや対応を強く要求する
  • 育児に対し、一切の妥協を許さない

上記の状態に至ってしまうと、どうしても家庭内の空気が悪化したり、肉体的・精神的負担が重くなってしまったりという問題が生じやすくなるでしょう。

自分や配偶者を他人と比較してしまう

自分自身、あるいは配偶者を、理想的に見える他人や他人の家庭と比べてしまうことは、夫婦関係の悪化や大きなストレスを招きます。

特に自他を比較してしまう癖のある人が、これを是正することは簡単ではありません。

  • 自分から見える他人の姿は、あくまで「外側」の姿でしかないと認識する
    (=理想的に見える他人が、実際その通りとは限らない)
  • 可能な限りで「人は人、自分は自分」と思うようにする
  • 自分が配偶者から、他人と比較されたらどう思うかを考える

といった点を意識することで、いくらか「比較」を減らすことができるかと思います。

配偶者以外に相談できる相手がおらず、ストレスや孤独感を抱えやすい

配偶者以外に相談したり、愚痴を漏らしたりする相手がいない状況にある方は、どうしても不満やストレスを内に抱えがちです。

そしてその配偶者に対し、産後クライシスをきっかけに不信感を抱いてしまったのなら、精神的負担は非常に大きなものとなるでしょう。

産後クライシスを夫婦で乗り越えるための対策

産後クライシスを夫婦で乗り越えるための対策

産後クライシス(危機)は夫婦それぞれが協力関係になければ、離婚に繋がったり、遺恨が残ったりといった問題に生じる可能性があります。

産後クライシスを乗り越え、関係を改善するための対策について触れていきましょう。

配偶者の態度などを他の家庭と比較しすぎない

配偶者の態度などを他の家庭と比較しすぎない

自分や配偶者を、より優れているように見える家庭や人と比較してしまうことは、産後クライシスに限らず夫婦関係を悪化させる原因となり得ます。

また他人と比較されて、配偶者がいい思いをすることもないでしょう。

もちろん「他人は他人」を徹底することは容易ではないものの、自身のメンタリティのためにも、配偶者を傷つけないためにも、「自他を比較しすぎない」ことは非常に重要と言えます。

協力してほしいことがある場合は言葉にして伝える

たとえ配偶者であっても、コミュニケーションなしで相手が考えていることを、完璧に理解することはできません。

理解を得られないと悲観的になる前に、「何を不安あるいは不満に思うのか」「配偶者にどういうタイミングで何をしてほしいのか」といった気持ちを、言葉にして伝えてみるのも良いでしょう。

その際、落ち着いて意見を出せるように、要望やそう思った原因などを、事前に紙に書き出しておくのも有効です。

配偶者が行っている「自分にできないこと」を探してみる

良好な関係を保つため、重要なポイントとなるのが「相手への敬意」です。

配偶者に不満がある場合であっても、相手が行っている「自分にできないこと」を探し出せたなら、いくらか留飲を下げられるかもしれません。

特に家族を養うために働き続けている夫の姿や、家庭を守り子育てを行う妻の姿は、典型的な例だと言えるでしょう。

ホルモンバランスが改善する産後6ヶ月までを待つ

産後の女性はホルモンバランスが崩れ、イライラしやすくなったり、情緒不安定気味になったりという問題が生じやすくなります。

ホルモンバランスが整うまでの期間は人によって異なるものの、多くの場合で数ヶ月~6ヶ月程度と言われています。

「気分が安定しないのはホルモンバランスのせいで、どうしようもないことだ」と考えることで、自身や配偶者を許せることもあるかもしれません。

必要であれば子供を預けてリフレッシュする時間を取る

家族に赤ちゃんが加わったことで、生活が変化することは当然のことです。

そして産後明らかに夫婦の関係が悪化したというのなら、実家や義実家に一旦子供を預け、リフレッシュの時間を取るのも良いでしょう。

家族ではなく恋人という関係であった頃のことを思い出すことで、関係改善に向けての第一歩を踏み出せるかもしれません。

専門のカウンセラーなどに相談する

「出産や子育てをきっかけに夫婦の関係が悪化してしまったが、離婚はしたくない」という場合には、プロのカウンセラー等に相談してみることも有効です。

各市区町村などは、子供を持つ親に向けて交流サロンや相談窓口などを設けています。

「誰かに悩みを聞いてほしい」「第三者の意見を聞きたい」という場合には、公的サービスやプロの力に頼ってみるのも良いでしょう。

産後クライシスを理由に離婚することはできる?

産後クライシスを理由に離婚することはできる?

産後クライシスを理由に離婚することは可能です。

夫婦が話し合って離婚を決定する「協議離婚」であれば、その理由は問われません。

婚姻関係を続けることが双方にとって困難なら、市区町村役所で離婚届を受け取り、署名などを済ませることで手続きを済ませられることでしょう。

その一方で夫婦のいずれかが離婚に同意しない場合には、調停や裁判が必要となります。

夫または妻にモラルハラスメントや不倫、DV(精神的・経済的なものを含む)といった過失があるのなら、裁判所においても離婚を認められやすくなることでしょう。

また特に離婚を拒否する側に大きな問題がない場合であれば、事前に別居するなどの方法により、夫婦関係の破綻が認められやすくなります。

協議離婚が難しい場合には、離婚に強い弁護士といった専門家に相談を行い、指示を仰ぐことをおすすめします。

まとめ

  • 産後クライシスとは、出産や子育てをきっかけに夫婦関係が悪化し、関係の存続に危機(クライシス)が生じること
  • ホルモンバランスの乱れといった内的要因の他、コミュニケーション不足などの外的要因が産後クライシスを引き起こすこともある
  • 産後クライシスを乗り越えるためには、「自他を比較しない」「相手に敬意を持とうとする」ことや「リフレッシュの時間を取る」ことなどが重要
  • 産後クライシスをきっかけに離婚することは可能だが、双方の同意がない場合は専門家への相談が求められる

出産や子育てをきっかけに、関係が悪化してしまう夫婦が少なくないことは事実です。

ですがその危機を二人で乗り越えることができたなら、夫婦の繋がりはより強固なものとなることでしょう。

「産後クライシスに陥ったかも」と思ったら、ストレスの原因や自分が望んでいることを冷静に確認・分析し、パートナーと共有したり、第三者に相談したりといった方法を取りたいところです。

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