国際ロマンス詐欺とは?最新の手口を見抜くポイントや被害救済の方法を事例を交えて解説
ロマンチックな出会いの裏側には、悪質な詐欺が潜んでいることがあります。恋愛や結婚に憧れを抱く男女をターゲットにし、恋愛感情を抱かせた上で、金銭を騙し取るロマンス詐欺が横行しています。
中でも、軍人や医者などの魅力的な外国人を装い、国際的な出会いを求める日本人を騙す「国際ロマンス詐欺」が問題となっています。
住んでいる場所や人種が違うことから、会話内容や言葉の違和感に気づきにくいのが特徴です。
この記事では、国際ロマンス詐欺の手口や詐欺師の典型的な特徴、見抜くためのポイントを解説します。また、すでに詐欺の被害を受けてしまった方のために、国際ロマンス詐欺被害の相談先や注意点、解決に向けた対処方法についてもまとめています。
国際ロマンス詐欺とは?
国際ロマンス詐欺とは、SNSやマッチングアプリ上で外国人を装ってターゲットに近づき、相手の恋愛感情を利用して金銭を騙し取る詐欺の手法を指します。国際結婚詐欺、あるいは、単にロマンス詐欺とも言います。
国際ロマンス詐欺は別名、ナイジェリア詐欺とも呼ばれています。ナイジェリアの犯罪組織が、先進国の富裕層をターゲットに詐欺行為を繰り返したことが由来になっています。
こうした詐欺師は、甘い言葉で相手に近づき、すっかり気を許した頃に「会いたいから渡航費を融通してほしい」「親の治療費で困っているから助けて」などとお金を無心してくるのが特徴です。X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを通してカジュアルなメッセージを送り、無料通話アプリに誘導して関係構築を図ることが多いようです。
近年、国際ロマンス詐欺の件数は急拡大しています。2024年3月、警察庁は国際ロマンス詐欺を含むSNS型の詐欺被害を取りまとめた報告書を公開しました。これによると、2023年の国際ロマンス詐欺の被害認知件数は1575件、被害額は約177億円にのぼります。
被害者は20代から70代に幅広く分布していますが、特に中高年層の割合が多いようです。1件あたりの被害額は500万円以下が多いものの、一部では1億円を超える高額被害も発生していました。
(引用元:警察庁「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況について」https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/sns-romance/sns-romance20240311.pdf)
国際ロマンス詐欺の流れ
詐欺師のアプローチ方法や金銭を無心する方法は実にさまざまですが、大まかな詐欺の流れは変わりません。SNSはマッチングアプリで恋活相手を探し始める前に、まずは国際ロマンス詐欺の流れについて把握しておくことが大切です。
国際ロマンス詐欺の主な流れは次のようになっています。
- 魅力的な外国人名乗って近づく
- 恋愛感情を抱かせて信頼を得る
- 様々な手口でお金を要求する
- 送金後に姿をくらます
詐欺師がお金を騙し取るためには、まずターゲットを釣る必要があります。そのため、SNSやマッチングアプリ上では、非常に魅力的なプロフィールを設定しています。
とにかく第一印象を良くして、密なコミュニケーションに繋げるのが狙いです。具体的には、美男美女の顔写真をプロフィールに登録し、軍人や医師、資産家などの職業を装うことが多いです。
警察庁によると、国際ロマンス詐欺の詐欺師がターゲットに接触するツールは、男女間で大きく異なります。男性の場合は「フェイスブック」が全体の約34%を占め、「マッチングアプリ(約26%)」「インスタグラム(約19%)」が続きます。一方、女性の場合は「インスタグラム」がほぼ半数を占め、「マッチングアプリ(約24%)」「フェイスブック(15%)」の結果となりました。
ターゲットが釣れたら、LINEなどの無料通話アプリに誘導し、メッセージのやり取りを続けます。警察庁によると、国際ロマンス詐欺被害時の連絡ツールとしては「LINE」が最多で、全体の88.5%を占めています。
相手の心をつかむには密なコミュニケーションが必須です。詐欺師は相手の話に共感したフリをしながら、徐々に心を開くよう誘導してきます。愛の言葉を囁き、2人の将来の話をするなど、恋愛や結婚をちらつかせた発言が多いのも詐欺師の特徴です。こうしてお互いの絆を深め、信頼関係を構築していきます。
「恋は盲目」というように一度相手を信頼し切ってしまうと、なかなか疑うことができなくなります。詐欺師は時間をかけて、ゆっくりと盲目状態を作っていくわけです。
上手いこと信頼を勝ち取ったら、様々な手口でお金を要求する段階に入ります。具体的な手口については、「国際ロマンス詐欺の手口」で後述します。
お金を要求する名目としては、主に「2人の将来のための投資」「日本に渡航する費用」「自分や家族の医療費」「荷物受け取りの関税費用」などが挙げられます。
とはいえ、最初から数十万、数百万単位の高額なお金を請求すると怪しまれてしまいます。ターゲットが警戒してやり取りをやめてしまうと元も子もないため、まずは少額から振り込ませることが多いようです。数万円程度の額を振り込ませ、相手の反応を見ながら、徐々に金額を釣り上げていきます。
被害者は一度送金すると、「自分がなんとかしなくては」「振り込んだ分の利益を得なくては」と焦る気持ちが大きくなり、さらなる送金を重ねてしまう傾向にあります。こうして被害額が拡大していくことになります。
詐欺師は一度の送金では音信不通にならず、幾度となくお金を無心してきます。しかし、ターゲットが不信感を抱いたり、お金の余裕がなくなったりすると、あっさりと姿を消します。
詐欺師にとって最も怖いのは身バレです。誰かに相談されてしまうと身バレのリスクが高まるため、少しでも怪しむ素振りを見せた途端、突然連絡が取れなくなることもあります。
多くの被害者は相手との連絡が途絶えて初めて、詐欺だったことに気づくことになります。こうなると、自力で詐欺師を追いかけることはほぼ不可能であり、泣き寝入りを選択する被害者も少なくありません。
詐欺師の手口は巧妙化しており、すぐには詐欺だと気づけない場合もあります。あらかじめ代表的な手口を頭に入れておけば、詐欺被害のリスクを減らすことができるでしょう。
国際ロマンス詐欺のよくある手口を紹介します。
- 仮想通貨(暗号資産)を用いた投資型
- 荷物の受け取り費用請求型
- 渡航費用や治療費の振り込み型
従来は銀行振り込み型の国際ロマンス詐欺が主流でしたが、新たな手法として、仮想通貨(暗号資産)の投資に誘う方法が増加しています。ネットバンキングが普及したこともあり、インターネット上で口座を開設することへの抵抗が減ったことが背景にあります。
日本では2017年ころに仮想通貨(暗号資産)が盛り上がりましたが、他国に比べると保有者が少ない状況です。このため、そもそも仮想通貨(暗号資産)のシステムに馴染みがない人も多いでしょう。詐欺師はこの知識不足につけ込み、偽の投資サイトに誘導して振り込みをさせます。
「自分もこれで稼いだ」「2人の将来のために投資しよう」などとターゲットを誘い、まずは少額の振り込みをさせます。偽サイト上には利益が出たことを示すグラフを表示したり、少額の出金をさせたりして、相手を信頼させるのが狙いです。
その後、多額の入金を誘うとターゲットはすっかり信じ込んで振り込んでしまいます。しかし、利益を出金しようとすると手数料や保証料を追加請求され、結局お金は手元に残りません。
国際ロマンス詐欺には、荷物の受け取り費用と称して多額の費用を請求する手口があります。詐欺師は「プレゼントを贈った」「荷物(お金)を預かってほしい」などと言い、ターゲットに荷物を受け取るようお願いしてきます。被害者側も「荷物を受け取るだけなら…」と安易に引き受けてしまいます。
しかし、いざ荷物を受け取ろうとすると、通関手数料や税金、保険料などの支払いを求められます。公的な機関を装ったメールが送られて来るケースもあります。「数日以内に振り込まないと返送する」など、送金を急かしてくるのもこの手口の特徴です。
たとえ費用を支払っても荷物が届くことはなく、お金も戻ってきません。
詐欺師は渡航費用や治療費と称して、銀行振り込みでの送金を要求してくることがあります。突然のトラブルに遭ったと偽ってターゲットの同情を誘い、何度もお金を振り込ませるのがこの手口の特徴です。
詐欺師は軍人や医師、資産家を装い、急な事態が発生してもおかしくない状況や肩書を作り上げています。海外の慣習や職業に慣れていないと、詐欺師の主張に対して「そんなこともあるだろう」と信じ込んでしまいます。一度お金を振り込むと、詐欺師は何度も様々な名目でお金を無心してくるようになります。
国際ロマンス詐欺の詐欺師の特徴
国際ロマンス詐欺は相手の恋愛感情につけ込んだ狡猾な詐欺です。詐欺師は被害者の心を掴むためにあの手この手で近づいてきます。詐欺師の特徴をまとめました。
SNSやマッチングアプリで出会った相手のプロフィールが魅力的すぎる場合には注意が必要です。美男美女の写真やハイスペックなステータスなどを公開している人物は、ターゲットの興味を引くために作られた偽物である可能性が高いです。
相手と親密になるための秘訣は、まめな連絡です。詐欺師は頻繁にメッセージを送り、ときには電話をしながら信頼関係を築きます。毎朝毎晩の挨拶や他愛のない会話であっても、被害者にとって「自分は相手にとって特別だ」と信じる理由になります。
出会ったばかりにも関わらず、親しげに呼びかけたり、愛の言葉を囁いたりするのも詐欺師の特徴です。
結婚や恋愛の対象であることをほのめかせ、ターゲットが「自分は特別な存在」だと信じ込むように仕向けます。2人の関係を急速に進展させ、お金を騙し取ることが目的です。
詐欺師はインターネット上で偽りの他人を装っているため、実際には会えません。メッセージや電話だけのやり取りで関係を構築していると思わせ、頑なに会うことを避けてきます。国際ロマンス詐欺は実際に会わなくても違和感がないため、詐欺師にとっては格好の狩場だと言えます。
詐欺師は仮想通貨(暗号資産)などの投資に誘うため、儲け話をアピールすることがあります。自分がいかに儲けたか、豊かな生活を送っているかなどを伝え、ターゲットの興味を引くことが目的です。こうした儲け話は相手を騙すための布石であり、高いリターンを期待してお金を振り込むと、逆に経済的な損失を受けることになります。
詐欺師はターゲットの個人情報について詳しく聞いてくることがあります。どれくらいのお金を騙し取れるか算段するための行動です。具体的な職業や投資経験の有無、貯蓄、不動産などから生活レベルを推察し、より効果的なアプローチをするようになります。
国際ロマンス詐欺の被害に遭いやすい人の特徴
国際ロマンス詐欺は、その手口を知っていても騙されることがあります。恋愛感情を利用しているため、誰でもターゲットになり得る詐欺ですが、中でも被害に遭いやすい人が存在します。
国際ロマンス詐欺の被害に遭いやすい人には次のような傾向があります。
- 外国人との出会いを求めている
- 孤独感を抱えている
- 見知らぬ人を信頼しやすい
- お金に余裕がある
- インターネット上のリスクに疎い
国際ロマンス詐欺では、外国人との出会いを求めている人が狙われます。恋愛相手や結婚相手の対象が日本人であれば、外国人の詐欺師に声をかけられてもあまり興味を惹かれないためです。
また、孤独感を抱えている人も恰好のターゲットです。身の回りに心を許せる人がいない人であればあるほど、詐欺師からの甘い囁きを信じてしまいやすく、その罠に落ちてしまうことがよくあります。インターネット上での出会いでも、相手をすぐに信頼してしまうような素直な人も要注意です。
そして、お金に余裕がある人は詐欺師から狙われがちです。特に中高年であれば、一定程度の資産を持っていることが予想されるため、詐欺師からアプローチを受ける可能性が高まります。
詐欺師は仮想通貨(暗号資産)などの知識不足に付け込むことがあるため、インターネット上のリスクについてもよく理解しておく必要があります。
国際ロマンス詐欺の最新事例
ここでは、国際ロマンス詐欺の最新事例をご紹介します。近年の国際ロマンス詐欺は、被害者の属性から被害額、手口まで実に多様です。
事例を参考にしつつ、詐欺被害に遭わないように気をつけるようにしましょう。
【事例①】偽の投資サイトに多額の投資をしたケース
被害者の属性:30代 女性
被害額:約500万円
詐欺師の手口:偽の投資サイトでの投資
マッチングアプリで出会った男性から結婚をほのめかされ、投資サイトに誘導された。「将来のため」と説得され、少額を投資すると利益が出た。元金を増やすように言われ、計約500万円を投資した。出金しようとすると、180万円の保証金の支払いを求められ出金できない。男性とは連絡が取れなくなった。
(参照:国民生活センター https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20220303_2.html)
【事例②】荷物受け取りのために輸送費を振り込んだケース
被害者の属性:60代 男性
被害額:約190万円
詐欺師の手口:荷物の受け取りに伴う輸送費
SNSを通じて海外在住の女性と知り合い、メッセージを重ねる中で親しくなった。相手から「亡き夫の遺産を受け取ってほしい」と言われ、了承した。お金を入れた荷物を送るには輸送費がかかるといったメッセージが送られてきたため、計約190万円を指定口座に振り込んだ。しかし、荷物が届くことはなかった。
(参照:NHK https://www.nhk.or.jp/toyama/lreport/article/000/80/)
【事例③】有名人の渡航費として大金を振り込んだケース
被害者の属性:40代 女性
被害額:約300万円
詐欺師の手口:日本への渡航費用
SNSで男性アイドルを名乗る男性からメッセージを受け取った。日本への渡航費用として約300万円を請求され、「有名人に会えるかも」という淡い期待から振り込みをした。その後、詐欺師は逮捕され、犯罪利用口座には計479人の女性から、約3億3千万の被害金が振り込まれていたことが判明した。
(参照:神戸新聞)
国際ロマンス詐欺の見分け方|早い段階で詐欺を見抜くポイント
国際ロマンス詐欺に遭うと、被害者は金銭的な損害だけでなく、精神的な苦痛を味わうことになります。あらかじめ詐欺を見抜くポイントを知っておけば、深刻な被害に遭う前に自分で気づくことができます。
主な見分け方のポイントは次の3つです。
- 顔写真や画像で検索をかける
- 会話内容の矛盾点を探す
- ほかのSNSを探ってみる
詐欺師が自分の写真をプロフィールに登録することはありません。インターネット上に転がっている他人の顔写真や画像を勝手に拝借していることがほとんどです。このため、顔写真や画像で検索をかければ、その画像の出所を探ることができます。
画像検索の方法はとても簡単です。Googleが提供する「Google画像検索」なら、たったの数分で画像検索ができます。スマートフォンやパソコンからGoogle画像検索にアクセスし、調べたい画像をアップロードするだけです。
同じ写真や似たような写真がすでに別人の名前で使われているとすれば、どちらかが偽物である可能性が高いと言えます。時には詐欺師として注意喚起されているウェブサイトに辿り着くこともあります。
詐欺師は別人になりすましているため、会話内容に矛盾が残ることがあります。相手のストーリーによく耳を傾け、プロフィールとの整合性が取れているかをよく確認しましょう。言葉の使い方にも要注意です。
例えば、次のような点に注意してみると良いでしょう。
- ヨーロッパに住んでいるはずなのに友達欄にはアフリカの友達ばかり
- 身の上話はスラスラと答えるが、質問をすると途端にたどたどしくなる
- 中東で従軍しているにも関わらず、送られてくる写真の風景がアジアっぽい
- 「今撮った」と送られてきた写真の時間帯がおかしい
国際ロマンス詐欺は組織的に犯行を行っている場合もあり、詐欺師の中でマニュアルが使いまわされている可能性が考えられます。このため、主張するプロフィールと実際の会話・写真が一致しないことが起こりえます。
詐欺師はマッチングアプリだけでなく、フェイスブックやインスタグラム、X(旧Twitter)などのSNSで活動していることがあります。特に複数のターゲットと同時並行で交流している場合、会話の齟齬を防ぐために同じプロフィールを使っていることが考えられます。
名前や画像、会話内容で検索をかけ、相手のプロフィールや友達をよく確認してみましょう。SNSに投稿している内容や言語も詐欺師を見極めるヒントになります。
少しでも怪しいと思ったら、その直感を大切にして、相手とのやり取りをやめるようにしましょう。
国際ロマンス詐欺に騙されないためには?
「国際ロマンス詐欺に騙されないためには?」という問いに対する対策は重要です。詐欺師は巧妙な手法で被害者を惑わし、経済的な損失や心理的な苦痛を引き起こす可能性があります。そこで、以下の3つのポイントが重要です。
国際ロマンス詐欺に騙されないようにする方法としては、以下の3つが挙げられます。
- お金が絡む相談はすべて断る
- 個人情報を教えない
- 共有されたサイトにアクセスしない
国際ロマンス詐欺に関わらず、見知らぬ人からのお金が絡む相談はすべて断ることが大切です。いくら相手に恋心を抱き、信頼関係ができていると思っていても、それは所詮インターネット上でのこと。あなたの身近にいる家族や友人と比べて、その関係は薄いと考えるべきです。
お金が絡む相談は、たとえ家族や友人からの相談でも躊躇うでしょう。それが会ったことのない知人の知人からの相談だとしたらどうでしょうか。インターネット上で出会った相手から相談を受けたときも、それと同じ気持ちで対処することが必要です。
多くの場合、詐欺師は「あなたとの将来のために」と言って断れない状況を作ってきます。しかし、いくら恋人でも出会って間もない相手にお金を無心するのは異常です。自分ひとりで判断できない場合には、信頼できる第三者や専門家に相談しましょう。
インターネット上でのやり取りでは、なるべく個人情報を教えないことが重要です。相手からは詐欺行為をされなくても、ほかの詐欺師に情報を売られたり、迷惑行為を受けたりする可能性があります。
個人情報には氏名・住所・電話番号だけでなく、資産状況や家族構成、銀行口座番号なども含まれます。個人同士のメッセージなら秘匿性が高いと考えがちですが、見知らぬ人とのメッセージはオープン空間にも等しいと言えます。自分や周りの人を危険に巻き込まないためにも、個人情報の公開には特に慎重になるようにしましょう。
国際ロマンス詐欺の被害から身を守るためには、相手から共有されたURLにアクセスしないことが重要です。URLをクリックして個人情報を入力したり、仮想通貨(暗号資産)の取引を行ったりすると、その情報を抜き取られてしまう可能性があります。
特に信頼性の低いサイトや保護されていないサイトには注意が必要です。なお、仮想通貨(暗号資産)のWebサイトに誘導された場合には、金融庁のホームページ(https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency02/index.html)から登録有無を確認することをおすすめします。
サイトにアクセスしたい場合には、URLからではなく、Googleなどの検索エンジンで検索をかけるようにしましょう。これにより、詐欺被害に遭うリスクを大幅に下げることができます。
国際ロマンス詐欺に遭ったらどうする?
「すでに投資や振り込みをしてしまった…」
「お金を渡したら相手と連絡が取れなくなった…」
このような状況になっている方は迅速な対処が必要です。
相手から被害金を取り戻せるかどうかは被害初期の行動にかかっていると言っても過言ではありません。
被害に気づいた段階で腹を括り、必要に応じて周囲の人の助けを得ながら、被害回復に努めるようにしましょう。
実際に国際ロマンス詐欺に遭った場合には、次の3つのステップで対処していきます。
- STEP1 金融機関や投資サイトに連絡する
- STEP2 できる限り証拠を集める
- STEP3 専門機関に相談する
まずは送金に利用した金融機関や投資サイトに連絡をします。さらなる被害拡大を防ぐためにも重要なステップです。
振り込みの場合には金融機関に取引口座の凍結を依頼し、仮想通貨(暗号資産)の取引の場合には投資サイトの運営宛に返還請求を試みましょう。取引をした記録や取引相手の情報を伝えることで、被害救済に動いてくれることがあります。
詐欺師と連絡が取れなくなってしまう前に、できる限りの証拠を集める必要があります。実際に被害に遭ったことを証明し、詐欺師の逮捕や被害金を取り戻すためにも重要なステップです。
収集する証拠としては、次のようなものが挙げられます。
- 詐欺師とのやり取りの記録(メッセージ、SNS、メールなど)
- 送金日時、送金額、送金先口座番号が示された明細
- 詐欺師の画像、名前などの情報
- 詐欺師から詐欺を受けたことを証明するもの(偽の情報や不正な要求など)
こうした情報は詐欺師を追跡するだけでなく、他の被害者を出さないためにも役立ちます。さらなる詐欺被害を防ぐためにも、早急な証拠集めが肝心です。
ある程度の証拠を揃えたら、専門機関に相談します。国際ロマンス詐欺は刑事事件あるいは民事事件として被害を訴えることができます。ただし、相手が国外にいる場合が多いため、自力での被害救済はほぼ困難です。
国際ロマンス詐欺に遭った場合、被害者支援や法的なアドバイスを実施している専門機関に相談しましょう。相談先としては「国民生活センター」「警察」「弁護士」の3つが挙げられます。
最適な相談先は、どのような対応を求めるかによって異なります。
- 対処法を知りたい▷▷▷国民生活センター
- 詐欺師を逮捕してほしい▷▷▷警察
- 法的なサポートを受けたい▷▷▷弁護士
求める対応をよく検討し、必要に応じて複数の機関に相談するようにしましょう。なお、何をしたら良いのか悩んでいる場合には、まず「国民生活センター」で対処法を尋ねてみることをおすすめします。
国際ロマンス詐欺を疑っている方、詐欺の対処法を知りたい方はまず、国民生活センターに相談しましょう。警察や弁護士よりもカジュアルな相談を受け付けています。
国民生活センターには「越境消費者センター(CCJ)」という国際的なトラブルに特化した窓口が設置されています。国際ロマンス詐欺も国際トラブルに当てはまるため、CCJが相談窓口として最適です。詐欺の状況を整理し、相談先や対処法を示してくれます。
ただし、詐欺師を捜査したり、直接詐欺師とやり取りしたりすることはできません。あくまでも、今後の行動の目処をつけるために利用することをおすすめします。
専門機関 | 越境消費者センター(CCJ) |
連絡先 | https://www.ccj.kokusen.go.jp/ |
相談方法 | 専用フォームからメール送信 |
できること | ・手が詐欺師かどうか相談できる ・どのような対処をするべきかわかる |
最寄りの警察署に被害届を提出すれば、詐欺師逮捕に向けて警察に動いてもらうことができます。被害届を出すには、詐欺被害を受けたことを証明する証拠が必要です。あらかじめ用意しておくようにしましょう。
しかし、国際ロマンス詐欺では詐欺師の特定が非常に難しいとされています。たとえ逮捕ができたとしても、自動的にお金が返ってくるわけではありません。警察には「民事不介入の原則」があり、金銭トラブルに関与することはできないため、別途民事上の法的措置を検討することになります。
専門機関 | 警察 |
連絡先 | 最寄りの警察署または警察総合センター(#9110) |
相談方法 | 直接訪問または電話 |
できること | ・被害届を提出できる ・詐欺師の捜査に動いてくれる ・詐欺師を特定・逮捕できる場合がある |
金銭被害の対応に困っている場合、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで法的な観点からアドバイスを受けることができます。
警察が詐欺師を逮捕しても、騙し取られたお金を返してもらうためには、示談交渉や民事訴訟などの手続きが必要になることがあります。こうした手続きでは、有力な証拠や交渉力を要するため、法律のスペシャリストである弁護士に相談すると安心です。
専門機関 | 弁護士 |
相談方法 | 直接訪問、電話、メールなど |
できること | ・金銭被害の救済に動いてくれる ・示談交渉や民事訴訟を代理できる ・法的なアドバイス・サポートを受けられる |
詳しい内容については、「国際ロマンス詐欺の解決のために弁護士ができること」にて解説します。
国際ロマンス詐欺に対処する際の注意点
国際ロマンス詐欺に遭った場合には適切な対処が必要になります。しかし、詐欺に動揺するあまり、冷静さを欠いた行動をしてしまうこともあるでしょう。時にはさらに被害を拡大させたり、被害救済が難しくなったりすることも考えられます。
ここでは、国際ロマンス詐欺の被害を最小限に抑えるためのポイントを解説します。詐欺被害に対処する際には次の点に注意しましょう。
- 自力で解決しようとしない
- 詐欺の時効に気をつける
- 二次被害に遭わないようにする
まずは自力で解決しようとしないことです。詐欺被害の救済には、冷静な判断や専門的な支援が不可欠です。切羽詰まって詐欺師に直接返金を迫ってしまうと、返金の手数料と称してさらなる送金を要求されるなど被害を拡大させるおそれがあります。
自分の力を過信せず、困ったときは迷わず周囲に頼るようにしましょう。警察や弁護士に相談するのに躊躇する場合には、信頼できる家族や知人に話すのも手です。
国際ロマンス詐欺は、相手を騙して金銭を詐取することから、詐欺罪に当たります。詐欺罪は刑事と民事の両方から責任を追及できますが、その時効には注意が必要です。
刑事上の詐欺罪(刑法246条)の時効は詐欺行為から7年です。詐欺罪は厳密な構成要件が定められており、その全てに当てはまる必要があります。詐欺罪で有罪になると10年以下の懲役が科されます。
ただし、詐欺罪が確定しても、詐取されたお金がただちに戻ってくるわけではありません。
民事上の詐欺(民法96条)で請求できるのは、不法行為に基づく損害賠償です。時効は加害者・損害に気づいたときから3年間です。詐欺に気づかないまま時間が経過したとしても、詐欺行為のときから20年が経過したときは、損害賠償請求権が時効消滅します。
詐取されたお金を取り返すためには、民事上の措置を検討することになりますが、詐欺の時効は比較的短いため注意が必要です。被害が発生した時点で速やかに専門機関に相談し、適切な手続きを取るようにしましょう。
国際ロマンス詐欺では二次被害にも注意が必要です。二次被害には、詐欺師によるものと弁護士によるものがあります。
詐欺師による二次被害は、ほかの詐欺師に個人情報を流されることで起こります。詐欺組織内でターゲット認定されてしまうと、瞬く間に個人情報が売り買いされ、再び狙われることがあります。場合によっては、連絡先や口座番号を変更しなければならないこともあります。
弁護士による二次被害は、詐欺被害回復を宣伝する弁護士に着手金を支払うことで起こります。国際ロマンス詐欺では相手を特定したり、被害金を回収したりすることは非常に困難ではありますが、「必ず回収できる」と謳って被害者から高額な費用を請求することがあります。
あらかじめホームページの内容をよく確認し、信頼できる弁護士を選ぶようにしましょう。
国際ロマンス詐欺の解決のために弁護士ができること
詐欺被害に遭った場合、弁護士などの専門家によるサポートを受けると安心です。国際ロマンス詐欺の解決のために弁護士ができることを解説します。
- 個別の事情に合わせた解決方法を提案できる
- 刑事告訴のサポートを受けられる
- 被害金を回収できる可能性を高められる
弁護士は詐欺の手口や被害額、被害状況から、最適な解決方法を提案できます。被害回復を図るためには、自分の置かれている立場を正確に把握することが必要です。
どのような選択肢があり、どのような解決を望むのかによって、選ぶべき手段は変わってきます。弁護士に相談すれば、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた上で選択できます。
国際ロマンス詐欺は刑事上の詐欺罪に当たるため、詐欺師に対して刑事告訴を検討できます。刑事告訴をするには、十分な証拠や警察や検察への対応が必要になるため、法律の専門家に依頼すると安心です。
弁護士は被害者の代理人として立ち、告訴状や証拠資料の作成、被害者との交渉、裁判上の手続きをすることができます。国際ロマンス詐欺被害で傷ついた被害者の負担を軽減することにも繋がるため、必要に応じて相談を検討しましょう。
国際ロマンス詐欺に遭った場合、まず被害金の回収を求める方が多いでしょう。結論として、被害金の回収は非常に難しいと言えます。ただし、被害回復分配金や民事上の手続きを利用することで、被害金の一部を回収できる可能性はあります。
こうした手続きは被害者自身で行うこともできますが、法律に基づいた手続きが必要になるため、予備知識なしには理解が難しいことが考えられます。
被害回復の手段を知りたい場合には、まず弁護士に相談すると良いでしょう。
送金先の銀行口座を凍結し、詐欺師がお金を引き出せなくすることで、被害回復を図る制度があります。主に振り込め詐欺を想定した制度であり、詐欺師が詐取したお金を被害者に分配します。
被害回復分配金を請求するには、まず送金先の金融機関に口座凍結を依頼し、一定期間内に申請をする必要があります。犯罪利用口座だと認められ、口座にお金が残っていれば、申請をした被害者に対して被害金が分配されます。
ただし、詐欺師は送金されたお金をすぐに引き出してしまうため、被害回復につながることは稀だと言えます。たとえ被害額が満額残っていても、ほかに被害者がいれば戻ってくる金額は一部です。
弁護士や警察の調査により、詐欺師の身元が判明している場合には、示談交渉や法的手続きに進むことができます。刑事告訴や民事訴訟などの裁判上の手続きは、詐欺師にとっても負担が大きいため、示談交渉で解決できる可能性があります。
国際ロマンス詐欺を弁護士に依頼する際の費用相場
国際ロマンス詐欺被害を弁護士に依頼する際には、依頼内容に応じて弁護士費用が必要となります。一般的な弁護士費用には「相談費用」「着手金」「報酬金」があります。このうち、着手金は依頼の成否に関わらず、必ず支払うことになります。
法律相談 | 30分5000円〜 ※初回相談は無料としている場合もあります。 |
着手金 | 1件あたり10万円〜 |
報酬金 | 詐欺師から回収できた金額の4〜16% |
その他 | 資料取り寄せ費用や交通費などの実費、裁判代理の日当など |
こうした費用は依頼する範囲や弁護士によって変動します。まずは初回相談時に見積もりを出してもらうようにしましょう。
国際ロマンス詐欺に騙されたらまずは周囲に相談を!
国際ロマンス詐欺は相手の恋愛感情につけ込んだ卑劣な犯罪です。「私は騙されるはずはない」と思っていても、知らないうちに相手のペースにはまっていることもあります。一度相手を信頼してしまうと、詐欺だと気づくのが遅れ、被害回復ができなくなる可能性が高まります。
顔の見えない相手と出会う際には、「詐欺かもしれない」という意識を持つことが大切です。少しでも怪しいと感じたら、身近な人に相談すると良いでしょう。
もし被害を受けてしまったら、被害を最小限に抑えるためにも、国民生活センターや警察、弁護士に相談してください。