後払い・ツケ払い現金化は貸金業者と同じ!弁護士や司法書士が債務整理できるケースを解説
後払いやツケ払い現金化で借金を抱えたら債務整理で借金を減らしたいところですが、貸金業者ではないため利用できるのか不安です。
そこで今回は後払い・ツケ払い現金化の借金を債務整理できる理由と、どういったケースでできるのか条件を解説します。
さらに、ツケ払い現金化の債務整理をするメリット・デメリットや、失敗しないためのポイントなど、後払いの支払いを軽くしたい人に役立つ情報をお伝えします。
後払い・ツケ払い現金化は債務整理できる?
結論から言うと、後払い・ツケ払い現金化の借金は多くのケースで債務整理の対象になります。
債務整理ができる理由は後払い・ツケ払い現金化が貸金業とみなされるためです。
後払いやツケ払い現金化は商品を購入して、それを売却することで買取代金を振り込んでもらうか、購入した商品のレビューを書いて報酬を受け取ります。
お金を受け取り、受け取った金額以上のお金を業者に渡すため実質的には貸金業と同じです。
金利はありませんが、取引の際に請求される手数料が金利と同じ意味合いを持つと考えていいでしょう。
日本貸金業協会も、ツケ払い現金化は貸金業にあたる可能性があると言っています。
経済活動の視点から考えて貸金業とみなすことができるなら、債務整理の対象になりえます。
貸金業ではないため債務整理はできないという主張は認められない可能性が高いです。
後払い・ツケ払い現金化の債務整理に成功した事例
後払い・ツケ払い現金化の債務整理をイメージしやすいように、後払いの支払いが全額免責され、支払った分も全額返ってきた事例を見てみましょう。
2022年に被害者は買取タイプの後払い現金化サイトを利用しました。
所有するスマートフォンやタブレットの写真を送ったところ、その後に買取代金が振り込まれたそうです。
男性は同様の取引を4ヵ月ほど繰り返し、業者が求める商品の発送を行わなかったため、違約金として買取代金と査定額の60%を請求されました。
その後、被害者は損害賠償請求の訴訟を起こし、2023年10月17日、大阪簡易裁判所にて被告の業者と代表取締役の共同不法行為が成立。
被害者が支払いを求められていた借金は無くなり、支払った分も全額返金されました。
後払い・ツケ払い現金化を債務整理すべき条件
後払い・ツケ払い現金化はカードローンなどの一般的な金策とは特徴が異なるため、従来通りの債務整理をすると上手くいかない場合があります。
削減額の少ない債務整理をしないように、どういったケースで後払いやツケ払い現金化の債務整理をすべきなのか条件を解説します。
債務整理による借金の削減額が債務整理の費用よりも大きい
借金問題は金額が少ないうちから対処することが大切ですが、借金の総額が4万円程度しかない場合に債務整理をするのはおすすめできません。
借金が少ないにもかかわらず神経質に債務整理を行うと、減らせる借金の額よりも法律家に支払う代金のほうが高くなります。
債務整理をすることで経済的な負担が増しては意味がありません。
債務整理をするなら削減額が法律家に支払う代金よりも大きくなることを確認してください。
多重債務に陥るリスクが高い
多重債務で返済の見通しが立たなくなったら債務整理を決意すべきタイミングです。
複数の貸金業者からお金を借りたために法律が定める上限金利に達してしまい、後払いアプリでお金を用意して返済している人は要注意です。
既に多重債務に陥っているので債務整理を検討すべきでしょう。
後払いやツケ払い現金化をいくつも利用して借金を返していくうちに、意図せず多重債務になっているケースもあります。
借金を返すために後払い業者を頻繁に使っているなら、すぐに弁護士などの法律家に相談すべきです。
債権者から催告状や訴訟予告が送られてきた
後払いサービスを提供している業者から代金の支払いを催促する通知が届くようになったら債務整理の準備をしてください。
ツケ払い現金化の業者は支払いを延滞すると罰則金として商品代金の50%以上を請求することがあります。
催告状が送られてきたら、より重い支払いを要求してくる可能性が高まるので、迅速に対応する必要があります。
訴訟予告が届いた場合は訴訟を起こされるリスクを考慮して弁護士や司法書士に今後の対応についてアドバイスをもらいましょう。
必要に応じて債務整理の手続きをしてくれます。
債務整理について詳しくは下記の記事で解説しています。
⇒債務整理をするとどうなる?メリット・デメリットや悪影響を抑える方法を解説
後払い・ツケ払いの借金を債務整理しなくていいケース
後払い・ツケ払い現金化を使いすぎて支払いに困ると債務整理を考えますが、生活に影響を及ぼすこともある債務整理はおいそれとできる解決手段ではありません。
デメリットを考慮すれば債務整理をせずに問題を解消すべき時もあります。
債務整理の手続きを行う前に、業者に連絡して分割払いにできないか相談してみましょう。
ツケ払い現金化など後払い形式の資金調達サービスは一括払いが基本なので、複数回に分けて支払う方法に変更できれば債務整理をしなくとも借金を支払える場合があります。
なお、分割払いをお願いする場合は、支払う意志があることをアピールすることが大切です。
分割払いを断られても、家族など近しい人に立替てもらえれば債務整理を回避できます。
後払い・ツケ払い現金化はどの債務整理が最適か?
債務整理には次の3つの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
どれを選べばいいか判断できるように、それぞれ手法を用いて後払い・ツケ払い現金化の債務整理をした場合のメリットとデメリットを解説します。
削減額が少ない「任意整理」
任意整理は債権者と借金の減額について直接交渉するタイプの債務整理です。
話し合いに裁判所が介入することがないため手続きにかかる負担が軽く、法律家に支払う費用も3つの債務整理の中で一番安いため手軽にできます。
一般的には一番用いられている債務整理手法ですが、後払いやツケ払い現金化においては効果を発揮しない場合もあるので注意が必要です。
1ヶ月の利用限度額が5万円~10万円程度しかない後払い現金化では、一社あたりの借金が極めて少ないため、借入1件ごとに借金を減らしていく任意整理では思うように残債が減らない可能性があります。
また、任意整理の主な目的は債権者に利息を免除させることなので、利息分が明確でない後払い現金化とは相性が悪いです。
任意整理を利用すべき時は、支払いをしなかったために多額の遅延損害金を請求された場合や、商品価格の倍の遅延損害金を求められた時です。
これらの金額が任意整理の相場である5万円を大きく超える場合に検討しましょう。
債務が複数ある場合は「個人再生」
個人再生は自宅などの重要な財産を保持しながら借金を現在の半分から5分の1に減らせる債務整理です。
借金をひとまとめに扱うため、個別の債務が小さい後払い・ツケ払い現金化でも効果的に借金を減らせます。
3年の返済期間が設けられていますが最長5年まで伸ばせるため、元々少ない後払い現金化の借金を返すには十分な時間でしょう。
一括払いが基本の後払い現金化は支払い期限が短いため、支払期間を3年に伸ばすだけでも返済にかかる負担が大きく軽減されます。
仮に借金の総額が50万円であっても、3年かけて支払うのであれば月々の支払いは約14,000円まで減らせます。
自己破産をすると生活に欠かせない重要な財産まで没収される可能性があるため、今の生活を維持したまま後払い現金化の借金問題を解決したい場合は個人再生を検討しましょう。
後払いの残債だけでは滅多に利用しない「自己破産」
自己破産は私財の多くを処分する代わりに借金の返済を全て免除してもらう債務整理です。
返済が事実上困難な債務を抱えた場合に利用する債務整理で、債務総額が大きくなりにくい後払い現金化では利用する機会はそれほど多くありません。
しかし、後払い現金化の他にもカードローンやクレジットカードのキャッシングなど、複数の資金調達サービスを利用して多数の債務を抱えている場合は自己破産を検討すべきです。
後払いやツケ払い現金化は貸金業者からお金を借りられない人が最後に頼る手段でもあるため、後払い現金化を使って自転車操業している場合は負債が積み重なっている可能性があります。
自己破産を活用すれば返済が難しくなった借金も一度に解消できます。
後払い・ツケ払い現金化の債務整理はどこに相談できる?
後払い・ツケ払い現金化の債務整理を法律知識の無い方が自力で行うのは難しいです。
債務整理の申し立ては誰でもできますが、専門知識を持った法律家のサポートが無ければ望む結果は得られないでしょう。
債務整理を相談できる代表的な法律家は司法書士と弁護士です。
それぞれ後払い・ツケ払い現金化の借金を削減するうえで、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認してください。
司法書士
司法書士は登記のプロフェッショナルで、債務整理については条件付きで代理人も務められます。
しかし、司法書士の力が最大限発揮されるのは任意整理に限られるため、後払い・ツケ払いの債務整理では十分に活躍できないケースもあるので注意が必要です。
後払い現金化の1社あたりの借金は最大でも10万円ほどですが多くは約5万円であり、司法書士の任意整理にかかる費用は1社あたり3万円~5万円なので割に合いません。
個人再生や自己破産では書類作成しかサポートできないため、自分で裁判の手続きができる人でないとサービスを有効に活用できないでしょう。
後払い・ツケ払い現金化の債務整理において司法書士が頼りになるのは、貸金業者からも多額の借金があり、任意整理でも残債が減らせる場合などに限られます。
弁護士
弁護士は多くの債務整理において代理人として手続きができるため頼りになります。
後払い現金化の借金を効率的に削減できる自己破産や個人再生でも裁判官との面接や、債権者への説明会を依頼人の代わりにやってくれます。
また、債務整理では借金について詳しい情報を入手する必要がありますが、弁護士であれば業者に元本や返済履歴の情報を請求できます。
借金の内容を正確に把握できるので、効果的な債務整理ができるでしょう。
業者に都合がいい身勝手なルールで支払いを求められている場合は、弁護士の活躍で法律に準拠した適切なかたちで返済していけます。
後払い・ツケ払い現金化を債務整理するメリット
安くない費用を支払ってまで後払い現金化の債務整理をすべきなのか迷っている人のために、債務整理をするメリットについて解説しましょう。
メリットを確認しておけば、債務整理が有効か判断しやすくなります。
また、債務整理の使いどころも分かります。
まとめて借金を解消できる
複数の業者からツケ払い現金化をして借金を作った場合、債務整理をすると借金をまとめて解消できる可能性があります。
後払いやツケ払い現金化は支払い能力の審査をしないところも多く、業者を変えながらお金を次々に受け取れます。総量規制の対象にならないため、法律を根拠に業者が申し込みを断ることもありません。
後払い現金化のリスクを知らなければ簡単に借金が膨らむでしょう。
自己破産や個人再生なら、いくつも積み重なった借金でも1度の債務整理で借金を無くせるか、大幅に減らせます。
返済の催促を止められる
法律家に債務整理を依頼すると最速で、その日のうちに業者からの取り立てが止まります。
悪質な業者は法律で禁止されている会社への訪問や電話で取り立てを行うため、仕事を続けるのが難しくなる危険性があります。
このような闇金まがいの取り立てを受ける前に、借金返済の催促を受けるようになったら弁護士か司法書士に事情を話しましょう。債務整理が始まれば催促を止める手続きを迅速に行ってくれます。
全ての債務整理で行ってくれるので、取り立ての不安を感じたら債務整理を急ぎましょう。
後払い現金化を繰り返す悪循環から抜け出せる
後払い現金化に一度でも頼ると、それなしでは生活ができなくなる場合があり危険です。
後払い現金化を前提としたお金のやりくりになるため、家計はすぐ火の車になります。
債務整理をすれば、こういった好ましくない生活設計を見直すことができます。
債務整理の対象になった業者に後払い現金化を申し込むことが困難になるため、強制的に後払いを繰り返す習慣を止められます。
司法書士によってはファイナンシャルプランナーを紹介してくれるので、よりスムーズに現金化を繰り返す悪循環から抜け出せるでしょう。
後払い・ツケ払い現金化を債務整理するデメリット
後払い・ツケ払い現金化の借金を減らしたい人は債務整理のデメリットについても確認してください。
人間関係を悪くしたり、債務整理以前と同じ生活が出来なくなる可能性もあるので、債務整理の経験が無い人は要注意です。
新規の借り入れが難しくなる
カードローンをはじめとする金融機関からの借り入れは一切できなくなります。
後払い現金化で多額の債務がある場合、有効な債務整理は自己破産か個人再生ですが、利用すると必ず金融ブラックとして扱われるようになるため、どの金融機関に新規の借入を申し出ても認めてもらえません。
さらに厄介なことに闇金業者がお金を貸すと誘いをかけてきます。
もし誘いにのって借入をすると多額の返済を求められても債務整理することができずに苦しむことになるでしょう。
正規の金融機関から借入ができなくなる期間を確認してから債務整理をしてください。
債務整理の種類 | 借入できなくなる期間 |
---|---|
個人再生 | 5年 |
自己破産 | 5年~10年 |
保証人に迷惑をかける
個人再生などで債務整理を行うと後払いの借金だけでなく、他の借金も対象になります。
もし借金に保証人が設定されていたら、債務整理をすることで保証人に返済義務が生じるので注意してください。
親族が保証人になっている場合、督促状がその親族に送られる可能性があります。
自分のことを信頼して保証人になってくれた身近な人に大きな迷惑をかけることになるでしょう。
債務整理の前に連帯保証人が付いた借金だけ繰り上げ返済をするなどして対策してください。
後払い・ツケ払い現金化の債務整理で失敗しないコツ
後払いの債務整理には、消費者金融やカード会社など貸金業者からの借金と異なる注意点があります。
どういった点に気をつければ後払い・ツケ払いの借金を解消できるのか、債務整理で失敗しないコツを確認しましょう。
没収される可能性のある品物を確認しておく
後払い現金化では様々な借金をまとめて減額したり、返済を免除できる債務整理手法を用いることが多いため、没収される可能性のある高価な資材を債務整理を始める前に確認しておきましょう。
気をつけたいのはスマートフォンやバイク、パソコン、時計といった毎日利用するものです。
これらの品物は高価で換金性が高いため、借金返済のために没収対象になりやすいです。
資材を没収されると借金の元金が減るメリットがありますが、今までどおりに生活できなくなるのは困ります。
没収される品がある場合は代替え品やサービスを検討してください。
法律家の依頼料に見合うだけ借金を減らせるか調べる
経済的な負担を減らすために行う債務整理で逆に負担が増しては意味がありません。
債務整理をする前に、どれだけ借金を減らせるのか試算してください。
試算が難しい場合は法律家にお願いしましょう。
企業や団体に情報を請求できるため、債務整理でいくら減らせるか正確な見積が作れます。
高額な遅延損害金を請求することも多い後払い現金化ですが、違法な貸金と裁判で判断されると取引自体が無効となり、支払ったお金が戻ってくることもあります。
個人で総支払額を調べるのは簡単ではないため、返金されることも想定して法律家に試算を依頼しましょう。
返済は期日までに行い延滞しない
債務整理を考えている場合、返済は期日までに済ませるように心がけましょう。
支払いを遅延すると任意整理ができなくなる危険性があります。
後払い現金化では借金を削減する効果が低い任意整理ですが、費用が安く、遅延損害金を免除できるメリットがあるため、選択肢のひとつに残しておくべきです。
また、支払いを延滞すると業者に差し押さえのような強制執行を許すリスクもあります。
こちらのペースで債務整理ができるように延滞だけはしないよう注意しましょう。
現金化したことを法律家に伝える
借金ができた経緯について、お世話になる法律家にしっかり伝えておきましょう。
債務整理のやり方によっては現金化でできた借金は対象にならない場合があります。
債務整理は借金で生活苦になっている人の人生を再生するためのものですが、借金を作った理由によっては債務整理が認められません。たとえばギャンブルで作った借金の債務整理は難しいです。
現金化でできた借金も同様に債務整理の対象外になる可能性があります。
債務整理が利用できるか判断するために、相談した法律家には現金化でできた借金であることを伝えてください。
債務整理が難しい場合は他の手段を提案してくれます。
自己破産では現金化について触れない
現金化をして作った借金は自己破産の対象にできない場合があるため、自己破産をするつもりなら現金化に関する質問には慎重に答えましょう。
自己破産を裁判所に申し立てると、いくつか書類を作成するように求められますが、その書類の中で現金化をしたか質問されることがあります。
裁判官との面接では現金化について聞かれることは滅多にないため、書類で現金化に関する質問を見つけたら冷静に対処しましょう。
もし面接で現金化について聞かれた場合は正直に答えることをおすすめします。
面接で虚偽答弁をしたことが発覚すると債務整理が認められません。
後払い・ツケ払い現金化の債務整理でよくある質問
後払い・ツケ払い現金化の債務整理を考えている人がよくする質問について取り上げます。
債務整理に際して、どういったことを気にしているのか確認しましょう。
債務整理の対象にしている後払いアプリに関しては難しいですが、対象にしていない後払いアプリや新規で利用するものについては利用できます。
しかし、債務整理をしている最中に新たな借金を作る行為をすることは免責不許可事由の「不当な債務負担行為」に該当する危険性があるため危険です。
もし免責不許可事由に該当すると裁判所が判断すれば、免責は認められません。
自分の首を絞める結果になる恐れがあるため、債務整理中に後払いアプリを利用するのは控えましょう。
支払い方法にスマホのキャリア決済を利用できる後払いアプリがありますが、これを利用してできた借金を債務整理すると回線契約を強制的に解約させられるリスクがあるため注意が必要です。
キャリア決済を使った場合、債務整理の相手になるのは携帯回線を提供している企業になります。
回線に加えてインターネットサービスや他の電子マネーを手掛けている場合もあるため、携帯回線の強制解約の影響が広範囲に及ぶ可能性もあるでしょう。
債務整理の相手企業を忘れずに確認してください。
記事の中で触れなかった債務整理の注意点が分かります。
まとめ:後払い・ツケ払い現金化の債務整理は削減額を確認することが大事
後払い・ツケ払い現金化は事業内容が貸金業と実質的に同じであるため、支払いが難しい場合は債務整理ができます。
後払い現金化の債務整理で重要なのは借金の削減額を確認することです。
1件あたりの債務が少ないと任意整理では十分な削減効果が期待できません。
その場合は自己破産や個人再生といった手法を採用することになるでしょう。
削減額を正確に試算して、適切な方法で後払い・ツケ払い現金化の借金を債務整理してください。