「投資により儲けたはずなのに、お金を出金できない…。」そんな事例を訴える、「FX詐欺」の相談が増えています。

FX詐欺は海外の事業者が絡んでいることが多く、相手方への責任追及が難しいことも珍しくありません。そのため、何より大事なことは「あらかじめ詐欺の手口を知っておき、被害に遭わないこと」だと言えるでしょう。

そこで今回は実際の事例をもとにした、FX詐欺の典型的な手口や見分け方について、簡潔にまとめました。

この記事を読むと分かること

・FX詐欺の典型的な手口

・違法性のあるツールや取引と、そうでないものの見分け方

・FX詐欺の被害に遭わないために知っておきたいこと

・FX詐欺の被害に遭ってしまった場合の対応

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FX詐欺(架空FX取引詐欺)とは?実際の事例と手口

FX詐欺(架空FX取引詐欺)とは?実際の事例と手口

FX(外国為替証拠金取引)の普及に伴い増加しているFX詐欺について、消費生活センターや財務局などが警笛を鳴らしています。

まずはそんな公的機関に寄せられた相談をもとに、FX詐欺の手口について解説します。

参考元:独立行政法人国民生活センター
「儲ってるのに出金できない!?海外FX取引をめぐるトラブルにご注意」
関東財務局「海外に所在する無登録業者とのFX取引等にご注意ください!」

海外の業者を通した外国為替証拠金取引(海外FX取引)による詐欺が増加中

FX詐欺の被害報告の中で多く見られるのが、「海外の業者を通した外国為替証拠金取引(海外FX取引)」によるものです。

そもそもFX(外国為替証拠金取引)とは外貨を交換することであり、基本的には「外国為替のレートの変動により利益を得る」ことを目的としています。この行為自体に違法性はありません。そしてその性質上、海外業者が関わってきやすいことも確かです。

問題となるのはこの海外業者に、悪質なものが混じっていた場合です。

指定された「自動売買ソフト」等へ入金後、増えたお金を引き出せなくなる

国民生活センターなどの公的機関には、「自動売買ソフト」を起点とした詐欺の被害報告が多く寄せられています。

インターネット上の広告やメールマガジンで投資の勧誘を行い、詐欺ソフトを購入させることが、FX詐欺の典型的な手口だと言えるでしょう。

このような詐欺ソフトを使うと、一見投資が成功し、大きな利益が生じているような画面を見ることができます。これを見た利用者は、さらなる投資に励もうとするでしょう。

ただし実際のところ、増えた数字は単なる見せかけのものであり、利益どころか入金済みのお金でさえ出金不可能となることが多々あります。

また詐欺の手口が巧妙である場合、「最初の1回のみはお金を引き出せた」といった手法で、利用者に安心感を与えようとする場合もあります。

1年半前、「絶対にもうかる」とのインターネットの広告を見て50万円のFX自動売買ソフトを購入した。ソフトの代金は国内の業者に支払い、その業者の指示で海外に取引口座を作って100万円を入金した。

当初大きな利益が出たので信用し、約400万円を追加で入金した。約500万円が約2,000万円にもなったが、国内の業者に「引き出したい」と伝えてもいろいろ理由をつけて決済させてもらえず、現在まで1円も引き出せていない。

引用元:独立行政法人国民生活センター
「儲ってるのに出金できない!?海外FX取引をめぐるトラブルにご注意」

出金手数料や所得税などを理由にさらなる入金を要求される例も多い

FX詐欺の手法によっては、「利益が出たので所得税を支払わなければならない」「出金には海外の業者を通すため手数料がかかる」といった様々な名目で、追加の入金を要求されることもあります。このタイミングで「騙された」と気付く被害者も少なくありません。

この場合、詐欺の被害者は投資に使ったと思ったお金に加え、さらなる損失を受ける形となってしまいます。

インターネット広告の他、マッチングアプリや出会い系サイトが起点となる場合も

従来のFX詐欺の典型的な手口は「優秀な自動売買ソフト」をうたうインターネット広告を起点としたものでしたが、近頃はマッチングアプリや出会い系サイトなどを通し、一対一で詐欺を勧誘するという手法が増加しています。

この場合、相手方は海外の詐欺業者そのものであることも多いです。この場合は日本語の不自由さをごまかすために、あえて眉目秀麗な外国人のプロフィールを用いていることがあります。

マッチングアプリなどを通して知り合った美人や美男子に、FX取引を勧められた場合などにおいても注意が必要と言えるでしょう。

ちなみにマッチングアプリを使った手口の場合、マッチング後に「LINE」などの外部サービスへ、やり取りを誘導されることが多いです。これは詐欺犯が、マッチングアプリの運営の目を逃れるためだと考えられます。

参考元:独立行政法人国民生活センター
ロマンス投資詐欺が増加しています!-その出会い、仕組まれていませんか?-」

自動売買ツールそのものは詐欺ではない:FX詐欺の見分け方

自動売買ツールそのものは詐欺ではない:FX詐欺の見分け方

自動売買ツールが起点となりやすいFX詐欺ではあるものの、自動売買ツールそのものが違法な存在というわけではありません。

ここからは、正当な取引とFX詐欺の見分け方について解説します。

FX取引には必ずリスクがあるため、「必ず儲かる」と断言する相手は危険

為替レートには必ず増減のリスクがあります。「必ず儲かるFX取引」は存在しません。

それにもかかわらず、「100%利益を得られる」「元本保証」などをうたう業者や勧誘相手については、気を付けておいた方が良いでしょう。

ちなみに金融商品取引法は、金融業者に対し「不確実な事項について断定的判断を提供」することなどを禁じています。「絶対に儲かる自動売買ツール」という謳い文句は、これだけでも違法と言えます。

金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(中略)

二 顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為

引用元:金融商品取引法 第三十八条

海外の無登録業者を紹介する相手は危険

典型的なFX詐欺では、お金を詐取する海外業者と被害者の間に、国内の(あるいは日本語が堪能な)業者が存在しています。

「日本の広告を見て自動売買ツールの契約をしたら、海外に送金されるように指示された」というのは、FX詐欺の典型的な手口と言えるでしょう。

この場面で海外の、無登録業者を紹介された場合、その国内業者は詐欺に加担しているかもしれないと注意したいところです。

登録を受けている金融商品取引業者と危険な無登録業者の情報を確認しておこう

正規の金融商品取引業者は、いずれも財務局などへの登録を済ませています。

正規業者であれば必ず優良、とまでは言えないものの、「相手方が財務局に登録済みの正規業者であるか」を確認することで被害を防ぎやすいことは確かです。

また、金融庁は過去に詐欺などで警告書を発した無登録業者の情報を公開しています。

ただし相手方が社名や所在地を変えていた場合や、新しい違法業者が発生したことを考えると、「リストに名前が載っていなかったから安心」とまでは言えません。

参照:金融庁公式サイト「金融商品取引業者登録一覧」
参照:金融庁公式サイト「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」

FX取引詐欺の被害に遭わないために知っておきたいこと

FX取引詐欺の被害に遭わないために知っておきたいこと

FX詐欺の被害に遭わないために知っておきたいことは、2つです。

  • FX取引のリスクの説明をしない業者や相手方を信じない
  • 得体の知れない未登録の海外業者を通して投資を行わない

財務局への登録を済ませた正規業者のウェブサイトを見てみると、必ず「元本や利益が保証された金融商品ではない」といった注意書きを見ることができます。また、どんなに高い利益実績を誇るソフトやサービスであっても、「利用者の100%が資産を増やしている」といった煽り文句を掲げることはありません。

あまりに都合の良い広告や、インターネット上で知り合った人からの積極的な勧誘に惑わされないよう、注意したいところです。

FXによる投資詐欺に遭ってしまったら?損害回復はできる?

FXによる投資詐欺に遭ってしまったら?損害回復はできる?

ここからは、万が一FX詐欺に遭ってしまった場合に取るべき対応について解説します。

現実問題として海外業者への責任追及は困難

結論から言うと、特に海外業者が関わっている場合、詐欺についての責任追及は困難です。

金融庁が公開している警告書の発出を行った無登録の海外所在業者のリストにおいても、「代表者などの氏名は不明」といった記載が散見されます。このことは、詐欺などの被害に遭った人が複数いるにもかかわらず、相手方の正体を見いだせなかったことを意味します。

そして相手方が分からないのであれば、詐欺の立証も国際指名手配などの対応も困難と言わざるを得ません。詐欺ソフトなどには提供元の会社や代表者の名前が見受けられるかもしれませんが、その情報が本当のものとは限らないのが事実です。

また国内の仲介業者が存在した場合であっても、相手方の特定や、詐欺への関与の立証が困難であることは多々あります。

「振り込め詐欺救済法」により損害回復を受ける条件は厳しい

損害回復が難しいFX詐欺ではあるものの、特定の条件下であれば「振り込め詐欺救済法」が適用される可能性があります。

ただしこの法律によって損害回復を受けるためには、「振込先が国内の金融機関、かつ相手方が振り込んだお金をいまだ出金していない」という条件を満たす必要があります。

振込先が海外口座である場合や、すでに詐欺犯によって入金したお金を引き出されてしまった場合、「振り込め詐欺救済法」は適用されません。

参考元:金融庁公式サイト「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」

被害に遭ったら「消費生活センター」や「金融庁」などへ相談を

消費生活センターは、FX詐欺の被害に遭ってしまった方に対し「消費生活センター」や「金融庁金融サービス利用者相談室」への相談を呼び掛けています。

実際問題として「泣き寝入り」となってしまう被害者が多いFX詐欺ではあるものの、「詐欺の証拠が揃っている」「複数の被害報告が寄せられている」といった状況であれば、弁護士や警察への相談も有効かもしれません。

自分が今、どういった対応を取れるのかを知るためにも、公的サービスの相談窓口へ連絡してみることが推奨されます。

このとき可能であれば、業者に関する情報や、やり取りの記録を保存・確認しておくと良いでしょう。

参照:独立行政法人国民生活センター「全国の消費生活センター等」

まとめ:FX詐欺の典型的な手口と被害に遭わない方法

まとめ:FX詐欺の典型的な手口と被害に遭わない方法
  • FX詐欺とは一般に、「絶対儲かる」などの謳い文句とともに詐欺ソフトを販売し、投資金などを詐取する詐欺の1つ。近頃はマッチングアプリなどを使った手口も増えている
  • 海外の無登録業者が関わっていることも多く、この場合は損害回復が非常に難しくなる
  • 被害に遭わないためには「リスクの説明をしない業者や相手方を信じない」ことを徹底したい

FXは「お金が減るリスク」がある投資方法の1つです。そのリスクを説明せず、「必ず儲かる」「元本保証がある」と投資を勧める相手方は、おおむね危険な存在と考えてよいでしょう。

詐欺の被害に遭わないためには、「うますぎる話に惑わされない」「無登録の海外業者を通して取引を行わない」ことを徹底したいところです。

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