インスタグラム勝手に写真を転載された時の対処法を解説|事例や予防法も分かる
今回はインスタグラムで勝手に写真を転載された場合の対処法について解説します。
総務省が2021年に発表した資料によると、ネットのプライバシー違反に関する相談の約7割が写真などの投稿を削除して欲しいというものでした。
実際、インスタグラムでも写真の無断転載は芸能人から個人まで大きな問題になっています。
今後はより個人レベルの著作権違反や肖像権違反が増えると考えられます。
自身や家族の写真がインスタグラムで無断使用された場合にすぐ対応できるように、削除を含めた対処のやり方を確認しておきましょう。
勝手に使われた写真を削除できるケース
まずはインスタグラムに無断転載された写真を削除できるケースについて解説します。
インスタグラムは写真の無断転載を認めないというよりも、著作権侵害などの法律に違反する行為を見過ごさないという立場をとっています。
そのため、これから取り上げる条件を満たさないと削除してくれない可能性があるでしょう。
事前に削除できる条件を確認しておけば、効果的な行動を選択できます。
肖像権とは自分の姿を許可なく撮影されたり、撮影したものを公開されない権利のことです。明文化されていませんが、憲法13条の幸福追求権に強い関係性があるとされています。
肖像権は法律で定められた権利ですから、侵害されれば裁判で損害賠償請求ができます。被害回復を兼ねて、無断転載された写真の削除を求められるでしょう。
転載写真が肖像権侵害だと認められるには次の条件を満たす必要があります。
- 個人を特定できる写真である
- 自宅などのプライベートスペースで撮影されている
- 本人の許可を得ていない
- 多くの人の目に触れるところに掲載されている
転載された写真に写っているものがプライバシーと一切関係なくても、自分で撮影したものなら著作権侵害を根拠に削除を請求できます。
道端で咲いている花の写真であっても、撮影者の感情や思想が反映されていると判断されれば著作物となり、著作権で保護されるでしょう。
思想が反映されている写真と言われると難しく聞こえますが、人が撮影した写真であれば感情や思想が反映されているとされるのが基本です。
つまり、スマホなどを使い自分で撮影した写真なら著作物として扱われます。
特定の人の写真を無断で投稿して、写真に写っている人を誹謗中傷する行為は名誉棄損罪や侮辱罪に該当する違法行為です。
被害者はインスタグラムに投稿の削除を求められます。
名誉棄損罪や侮辱罪は発言内容の正しさは問題にされません。「整形失敗して目が左右で違いすぎる」のような相手の社会的評価を下げる内容であれば名誉棄損と判断される可能性があります。
どちらも刑法で処罰対象となっているため、条件次第では刑事告訴もできます。
転載写真の削除が難しいケース
転載写真の中には削除が難しいものがあります。
自分の顔が写っているにもかかわらず無断転載の写真を削除できないのは納得いきませんが、法律できちんと認められているケースに関しては受け入れるしかありません。
削除できない写真の条件を把握して、無駄な削除申請を避けるようにしましょう。
写真のメインが自分以外のものと判断される場合、その写真に関して肖像権を主張するのが難しい場合があります。
画面の端に小さく写っていたり、顔の一部しか写っていない場合は写真の被写体として扱われにくいです。
風景の一部として扱われます。
とくに顔が小さく判別が難しい場合は肖像権違反にはなりにくいです。インスタグラムの規約を読んでも、個人の特定が難しい写真については削除対象外と判断できます。
ただし、自分で撮影した写真に関しては著作権を主張できるので削除できる可能性があります。
イベント会場など大勢の人が写真に写りこむような環境で撮影された写真に関しても、肖像権を主張するのが難しいケースがあります。
自分の顔がハッキリ写っていても、その他大勢の人も同じようなサイズで写っている場合、自分をメインの被写体にした写真だと主張するのには無理があります。
イベント会場でそういった写真を友達が撮影し、それを受け取ってインスタグラムに投稿した場合、この条件に当てはまる可能性があるので注意しましょう。
情報を多くの人に伝える目的で写真を提供している場合、著作権違反にならないケースがあります。
報道、批評、研究において、情報を伝える際の資料として著作物を引用することは著作権法で認められています。これに該当した場合、削除を運営に申請しても認められにくいです。
例えば話題になっている事件・事故があり、インスタグラムに投稿した写真が報道資料として扱われる場合は、このケースに該当するため、転載された写真を削除できない可能性があります。
自分の姿が写っている写真であっても、プライバシーの配慮がなされていると削除申請が通りにくいことがあるようです。
インスタグラムは個人が特定できる写真に対しては削除を検討してくれます。
しかし、誰だか分からないように顔や全身にボカシを入れるなどの処理をすると、プライバシー上の問題が解消されたと判断されるのか、削除対象から外れることがあるとされています。
個人の特定ができなれば肖像権の侵害に該当しにくくなるため、インスタグラムの対応は妥当と言えるでしょう。
非公開アカウントで利用している人が無断転載した場合は削除の対象になりません。
著作権法では著作物の私的利用が認められています。人の目に触れることない非公開アカウントにおける投稿は全て私的利用と扱われる可能性が高いです。
著作者が転載されている事実を知ることなく終わるケースも多くあると考えられます。
ただし、非公開アカウントでもフォロワーが何万人もいるようなケースでは削除できる可能性があります。
公開アカウントと同じようにフォロワーには投稿が公開されるため、大勢のフォロワーがいれば私的利用の範囲を超えていると判断されるでしょう。
インスタグラムにはリポストと呼ばれる他人の投稿を自分の投稿に表示させる機能があります。ツイッターのリポストと似た機能で、インスタグラムが認めた投稿の引用方法です。そのためリポスト機能を使い投稿ごと転載された写真については削除できません。
リポストで写真を転載されるのを防ぎたい場合はシェア機能を無効にしてください。
次の手順でシェア機能をオフにするとリポストされなくなります。
- インスタグラムのアプリを起動してプロフィール画面を表示する
- アプリの画面からメニューボタンをタップする
- 「他の人による再シェアを許可」の設定をオンにする
リポスト機能が使われていなくても一般的な引用のルールを守って転載すると著作権法違反とはなりません。合法的に引用されている写真については削除請求しても受け入れられないでしょう。
著作権法が認める引用には様々なルールがありますが、SNSにおける写真の引用については次の4つのルールを守れば法律に違反しないとされています。
- 引用元を明記する
- 引用した写真をメインコンテンツにしない
- 引用部分と自身のコンテンツが簡単に区別できる
- 必要最小限の引用に留める
削除請求するのは、上の引用ルールに違反していることを確認してからでも遅くありません。
インスタグラム勝手に写真を載せられた事例
インスタグラムにおける写真の無断転載について詳しく知るために実際に起きた事件を確認しましょう。
インスタグラムは国内だけでも3300万人が利用しているSNSなので、芸能人から一般の方まで様々な人が被害に遭っています。
自分と属性が近い人が体験した無断転載トラブルを学んで、転載に対する予防意識を高めてください。
インスタグラムで勝手に写真を転載する事例は身近なところでも発生しています。よくあるのは友達が無断で知り合いや、その家族の写真を投稿してしまうことです。
家族ぐるみのお付き合いをしている場合はとくに危険で、プライバシー意識が希薄になるので自分の写真のような感覚で扱う傾向があります。
自宅の庭で子供たちが遊んでいる写真を、相手の親御さんに確認せずに投稿しトラブルになるのは珍しい話じゃありません。
ネットリテラシーが低いために、公開アカウントと非公開アカウントの違いが分からずに、プライベートの家族写真を公開してしまうケースもよくあります。
人気モデルの阿部朱梨さんはインスタグラムでダイエットに関するお役立ち情報を公開していますが、投稿した写真が無断転載されることに悩んでいました。
ある日、誹謗中傷とも取れるコメントが添えられて無断転載されている自分の写真を見て、阿部さんはインスタグラムの運営に相談します。しかし、情報系のアカウントは肖像権侵害には該当しないと言われて削除してもらえません。
無断投稿をしたアカウントに削除請求しても返信はありませんでした。
現在も阿部朱梨さんは打開策を探しているそうです。
インスタグラムで投稿した写真の一部が切り抜かれて、商品紹介に使用される事例がネットの掲示板などで報告されています。
目立つのはメルカリにおける無断使用で、商品を実際に使っている写真として掲載されています。他には容姿が美しい女性の写真を無断で加工し、プロフィール写真として使うケースもよく見られます。
インスタグラムに投稿されている写真をスクリーンショットで保存し、メルカリで販売しようとした事例もあり、著作権意識の低さを感じさせます。
メルカリ以外でも写真の無断使用は常態化しています。
目立つ事例をいくつか紹介しましょう。
- アダルトサイトに掲載されていた
- 顔写真がブログのプロフィール写真として使われていた
- 飲食店で撮影した写真がグルメレビューサイトで盗用されていた
女性の場合、写真の無断使用だけでなく、一緒にメールアドレスも盗まれて迷惑メールが届くようになることも考えられるでしょう。
写真の転載が二次被害をもたらすリスクは軽視できません。とくにアダルトサイトで盗用されるケースは注意が必要です。
いかがわしいサイトで盗用されないよう写真の内容にも注意すべきでしょう。
インスタグラム勝手に投稿された写真の削除方法
この項目では無断転載された写真を削除する方法について解説します。
インスタグラムに掲載されたケースと、外部サイトに転載された場合に分けて削除法をお伝えするので、様々なケースに対応できるようになるでしょう。
また、身近な人に転載された場合の対処についても紹介します。
インスタグラム内で写真が転載された場合の削除方法は2通りあります。
- 運営会社に削除をお願いする
- 無断転載した相手に削除を請求する
どちらを利用するかは無断転載した相手次第です。投稿内容が転載だらけで、しかも写真に相手を侮辱するようなコメントが付け加えられている場合は即座に削除請求すべきでしょう。
悪意をもって意図的にやっているのでメッセージでやめるよう言っても効果はありません。
フォロワー数が少なく、SNSの経験も浅いような相手の場合、気まぐれで転載した可能性が高いので、メッセージによる簡単な削除請求でも写真を取り除いてくれるでしょう。
強制的に写真を削除する場合は運営に削除請求するのが一番です。著作権や肖像権を侵害していると明確に確認できる場合は削除に応じてくれます。
まずはアプリから削除請求する手順を解説しましょう。
- 転載された写真を含む投稿を表示します
- 画面右上の「3つの点でアイコン」をタップして「報告する」を選択
- 報告理由の一覧から「知的財産権の侵害」を選択
著作権を侵害している明確な証拠がある場合は著作権報告フォームを利用することもできます。
権利侵害の内容をより詳細に説明できるため、状況が深刻な場合はこちらを利用するといいでしょう。
運営会社に削除を請求した場合、法律違反の証拠が不十分だと写真が削除されるまでに時間がかかります。
早いケースでは24時間以内に対応してくれることもありますが、数日経っても連絡すら無い場合もあるようです。
一刻も早く削除して欲しい場合は転載した本人に直談判する方法もあります。
転載した相手に直接削除を請求する場合の手順は次のとおりです。
- メッセージ機能で写真を削除するよう伝える
- 転載写真のコメント欄でも削除請求をする
ポイントはオリジナルの写真と転載された写真を並べて、分かりやすく証拠を提示することです。著作権者からの削除要求であることを明確にしましょう。
相手が外国人である場合は翻訳するのも忘れないでください。DeepLを利用すれば精度の高い翻訳文がコピーアンドペーストでできます。
インスタグラム以外のWEBサイトやアプリで転載された写真を削除する場合、サイトの運営会社に請求するのが基本です。
少しでも早く削除されるように、投稿のコメント欄やメッセージ機能を使って転載した相手に削除するよう伝えるのも忘れないでください。
運営会社に削除請求をする場合は問い合わせフォームを利用します。
大手企業であれば問い合わせフォームを設けていますが、見当たらない場合は会社情報ページにメールアドレスが公開されていないか確認してください。
サイトのどこを見ても問い合わせ先のメールが無い場合は、調査権を持つ弁護士に頼ることになるでしょう。
顔を合わせることが多い友人知人に無断転載された場合は穏やかな解決法を選びましょう。
インスタグラムの運営会社に削除請求をすると、著作権者の要請により投稿が削除したことを運営が相手に伝える可能性があります。
相手の不注意とはいえ、投稿を強制的に削除しては反感を買うでしょう。運営に請求する前に、転載をした相手と直接会って話をするほうが賢明です。
SNSやインターネットのマナーを知らない場合、指摘するだけで対応してくれるでしょう。
今後のお付き合いも考えた対処を心がけてください。
ストーリーに転載された画像は24時間が経過すれば自動的に削除されます。
放っておけば消えてしまうため、対応しなくても大きな問題にはなりにくいですが、投稿するたびに転載されるなど常習性がある場合は対処が必要でしょう。
ストーリーの投稿を削除する場合、悪質アカウントとして運営に報告するのが効果的です。個別の投稿を削除するのは現実的ではないため、問題アカウントの停止を運営に願い出ましょう。
アカウントの停止を請求する場合は次の手順で行ってください。
- 相手のアカウント画面を開き、右上のメニューから「報告する」を選
- 「アカウントを報告」を選ぶ
- 「このアカウントはinstgramコミュニティガイドラインに違反していると思う」を選ぶ
- 「不適切なコンテンツを投稿している」を選ぶ
インスタグラムに投稿した写真を無断転載されないための対策
転載写真を削除するには手間と時間がかかります。削除にかかる負担を軽減して、より生産的な活動に時間を使えるように無断転載を防ぐ対策をしましょう。
いずれの対策も比較的簡単にできます。
アプリのインストールが必要なケースもありますが、スマホだけでもできるため、ぜひ試してみてください。
まず最初にやっておきたい対策は、人目に触れるところに「無断転載禁止」と明記することです。
軽い気持ちで写真を拝借している人や、ネットリテラシーが無いために無断使用している人には効果があるでしょう。
しっかりと意思表示することで転載を許可しないことをアピールできるため、転載された時により著作権侵害を主張しやすくなるメリットもあります。
条件次第で転載を認める場合は、その旨と問い合わせ先を併記しておくといいでしょう。
写真に透かしを入れると著作物であることを手軽に示せます。透かしを入れることでフリー素材との差別化ができ、安易な転載を減らせる効果が期待できます。
透かしにはインスタグラムのアカウント名や本名など個人が特定できるものを選びましょう。プロフィール写真としてアイコンを使っている場合でも、アカウント名など確実に個人を識別できるものがおすすめです。
写真に透かしを入れるにはアプリを使いましょう。AppStoreなどでウォーターマークと入力して検索すると便利なアプリが見つかります。
インスタグラムの投稿を公開するつもりがない場合はアカウントを非公開に設定することをおすすめします。
非公開アカウントの投稿は一般公開されないため、転載のリスクを最小限に抑えられるでしょう。しかし、フォロワーには投稿が通知されます。
すでに悪質なアカウントにフォローされている場合は写真を盗用され続ける危険性があります。状況次第では新たにアカウントを作成する必要があるでしょう。
また、アカウントページのURLをブラウザに直接入力した場合にも自分の投稿が表示されます。
完全な非公開とはならないので気をつけてください。
自分で削除できそうにない場合は弁護士に依頼しよう
写真を転載された場合、個人でできることには限界があります。インスタグラムに削除を請求しても応じてくれるとは限りませんし、削除しても転載が止まる保証はありません。
また、本来は削除が認められるケースでも、違法性を上手く証明できず運営が動いてくれない場合もあるでしょう。
そんな時に頼りになるのは弁護士です。転載の状況から、どの権利侵害を主張すべきか適切に見定めてくれるため、削除請求が通りやすくなるでしょう。
提出すべき証拠の選定や書類の作成もしてくれます。仕事で忙しい場合でも削除請求が滞ることはありません。
相手が転載をやめない場合や、インスタグラムがなかなか動いてくれないケースでは、弁護士に刑事告訴や民事訴訟を依頼できるでしょう。
法的強制力を持った措置が行われるため、悪質な転載が止まることを期待できます。
問い合わせ先が明記されていない外部における転載については、弁護士だけが頼りのケースもあります。
直接問い合わせできなくても、調査権を使い運営者の氏名や事業所の所在地などを入手して法的手段を用いることができます。
いきなり依頼するのが不安な場合は初回の相談が無料で利用できる弁護士事務所で、転載写真を削除できるか教えてもらうところから始めてみるといいでしょう。
まとめ:インスタグラム勝手に写真を使われたら迅速な対応が大事
インスタグラムに投稿した画像は様々な場所で転載されるリスクがあります。
インスタグラム内で転載された画像は運営に削除請求をすることで解決を図れますが、外部サイトで転載された場合は法的拘束力を持った手段を利用することになるでしょう。
無断転載を放っておくと写真が次々に転載される危険性があるので、転載を確認したらすぐに削除に向けて動き出すことをおすすめします。
頼りになるのはネットの著作権問題に詳しい弁護士です。無断転載で被った被害を慰謝料として請求することもできます。
写真の削除だけでは問題が解決しない場合は、弁護士に依頼することを検討してください。
Instagramでのロマンス詐欺については下記で解説しています。
⇒インスタを使ったロマンス詐欺の手口と対処法|見破る方法も解説