借金減額のからくりと安全性|借金減額シミュレーターのしくみとデメリットも解説
借金減額をアピールする広告がネットや雑誌で頻繁に宣伝されています。手軽に借金を減らせるような印象を受けますが本当でしょうか。
そこで今回は借金減額のからくりについて解説します。どのような仕組みで返済額を減らすのか、悪徳業者ではないのかなど気になるポイントが分かります。
さらに、借金減額シミュレーターについても取り上げます。動作のからくりや、デメリットなど知っておきたい重要ポイントをまとめて確認しましょう。
本当に借金減額できるのか?危険性はないのか?
まずは借金減額サービスの特徴や安全性について確認しながら、本当に借金を減らせるのか確認しましょう。借金減額がどういったものなのか知ることで、大げさな表現を用いた広告に惑わされなくなります。
借金減額サービスの概要を知りたい方にも参考になる内容です。
借金減額サービスの目的と頻繁に宣伝される理由
借金減額サービスの目的は返済が難しくなった借金を減らすか無くすことです。法律を利用するだけでなく、金融機関のサービスなども使って借金の負担を軽くします。
借金減額サービスの多くは法律事務所によって提供されており、2000年代の多重債務問題を受けて国も債務整理などの借金減額サービスを後押ししていたこともありました。
メディアで借金減額が何度も宣伝される理由は高額な報酬を得られる場合があるためです。法定上限金利以上で借りていた場合、高額な過払い金が発生するため法律事務所が受け取る報酬額が増えます。
高額な報酬と聞くと弁護士費用の支払いが心配になりますが、借金とは異なり利息がかからないことも多いです。
適切な借金減額サービスを利用すれば返済が軽くなるため、生活を再建するのに役立ちます。
必ず借金を減額できるわけではない
借金減額サービスは弁護士などの専門家によって提供されていますが、必ずしも借金が減るわけではありません。
借金を減らすためには、債権者にこちらの主張を受け入れてもらうなどの交渉が必要になる場合があります。自分の判断だけで決められるケースは少ないです。法律家に借金減額を依頼しても成果が出ないこともあります。
宣伝では借金を減らせた事例をいくつも紹介するので、依頼すれば借金を減らせるように感じます。しかし、中には成功率が70%程度の手法もあるため、借金削減をする場合は借金の内容によって適切なやり方を選ぶことが重要です。
借金減額には危険なものもある
借金減額サービスの中には危険なものも含まれています。悪質な業者が善良なサービスを装っている場合もあるので注意が必要です。
借金減額をうたいながら高額な手数料を請求して何もしない業者や、相場よりも大幅に安い費用を提示する無資格の偽弁護士などの事例はいくつもあります。さらに、過払い金が見つかったと嘘をつき、高額な追加費用を請求してくることも考えられます。
詐欺ではないものの一般的な債務整理を「国が公認している借金削減」と誇張した表現でアピールすることもあります。借金削減に関連したサービスを選ぶ場合は慎重な対応と債務整理に関する知識が欠かせません。
代表的な借金減額のからくり
ここからは借金減額サービスの具体的な内容について詳しく解説していきます。代表的な借金減額の方法は次の3つです。
- 借り換えローン
- 債務整理
- 過払い金請求
それぞれ借金を減らすアプローチが異なるため、特徴とメリット・デメリットを確認しておきましょう。
借り換えで利息を減らす
最もシンプルで手軽な借金減額サービスは借り換えローンです。
借金で苦しむ人の多くは高額な利息が問題になっています。多重債務に陥ると利息の支払いだけで精一杯になり、残債が一切減りません。こうなっては事実上返済は不可能です。
借り換えローンは低い金利で借入をして、そのお金で借金を完済します。利息の支払いが減るので毎月の返済額を減らせます。借入先が一本化されることで意図せず返済を忘れてしまう危険性を回避できるところも魅力です。
借り換えローンを提供しているのは金融機関や消費者金融です。誰もが知っている大手が手掛けているものもあるため利用しやすい借金減額サービスと言えます。
最近はカードローンから利用できる借り換えローンもあり、特別枠が提供されるので、さらに使いやすくなっています。
債務整理の制度を利用する
主に法律事務所によって提供されている借金減額サービスが債務整理です。債務整理には次の3つがあり、それぞれ特徴が異なります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
任意整理では債権者と借金の減額や利息の免除について交渉します。裁判所が関与することはなく、多くのケースで債権者と債務者が依頼した弁護士が今後の返済計画について話し合います。法律上の定めは無く、慣習として行われています。
個人再生と自己破産は裁判所で行われる法律上の手続きです。個人再生は2000年以降に制定されたもので、借金を大幅に削減できる代わりに財産を借金返済のために没収される場合があります。
自己破産は古くからある制度で、債務者が裁判所に返済が困難であることを申し立て、主張が認められると返済が全額免除されます。
法律の専門家が借金を減らすために全力でサポートしてくれるため、信頼性の高い借金減額サービスです。
過払い金を利用する
3つ目に紹介する借金減額サービスは過払い金請求です。過払い金とは違法な金利によって生じた利息のことで、過払い金請求ではこれを貸金業者に返すよう要求します。
過払い金をそのまま依頼者が受け取ることは滅多になく、借金の返済に利用されるのが一般的です。過払い金が高額の場合は、借金を返したうえで残った分を受け取ることもできます。
過払い金請求で問題になるのは過払い金がある否かです。本来は法律家が時間をかけて調査しないと過払い金の有無は分かりません。過払い金があることを前提に話を進める法律事務所には注意しましょう。
借金減額シミュレーターのからくり
借金減額シミュレーターは、いくら借金を減らせるか瞬時に計算してくれるサービスのことです。
債務整理や過払い金請求の依頼を受けている法律事務所のWEBサイトで提供されています。
信頼できるものなのか確かめるために借金減額シミュレーターの特徴や、サービス提供側の狙いを解説しましょう。
借金減額シミュレーターの特徴としくみ
借金減額シミュレーターは借金の総額や月々の返済額などの情報を入力することで、即座に減らせる金額を教えてくれる便利なプログラムのことです。多くは無料で利用できるため、借金を減らしたい人が参考にしています。
WEBサイトやアプリから利用できますが、使用の際にサービスを提供している会社のサーバーに接続するものもあるため、ネットに接続していないと上手く機能しないケースもあります。
シミュレーターの多くはプログラムに従った画一的な動作をします。借金問題はケースバイケースであるため、シミュレータの出した試算はあくまで目安として受け止めるべきでしょう。
借金減額シミュレーターの基本的な流れ
借金減額シミュレーターを初めて利用する人のために使い方の基本的な流れを解説します。
正常な借金減額シミュレーターの動作を知っていれば怪しいシミュレーターを判別できるようになるので、ぜひ手順を確認してください。
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1Step
借金減額シミュレーターを起動させる
まずは借金減額シミュレーターを起動させます。シミュレーターのあるページを開くだけで動作する場合と、専用のボタンを押さないと動作しない場合があります。
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2Step
必用情報を入力する
借金総額や借入件数、毎月の返済額など様々な情報を入力するよう求められるため、正確に記入してください。
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3Step
確認ボタンを押す
全ての情報を入力したら、いくら減額できるか確認するボタンを押してください。すぐに結果が表示されます。
結果が表示される前後で、シミュレーターを掲載している法律事務所などに相談を申し込むよう促す場合があるので注意しましょう。
借金減額シミュレーターの狙い
借金減額シミュレーターは法律事務所で頻繁に見られます。法律事務所がシミュレーターを導入する理由は顧客の獲得につながると期待しているからです。
借金の返済に苦しんでいる人は返済額を少しでも削りたいと望んでいます。そんな潜在顧客を逃さないために借金減額シミュレーターが使われます。
シミュレーターで借金が減らせると知れば、債務整理や過払い金請求を依頼する動機付けになります。また、借金を減らせるかもしれないと考えて法律相談を申し込む人もいるでしょう。
このように借金減額シミュレーターは法律事務所と潜在顧客を結びつけるツールとして活躍してくれるため、こぞって導入されています。
弁護士との対面相談でシミュレーターを利用することもある
借金減額シミュレーターは法律事務所で法律相談を受ける場面でも使われることがあります。
法律相談で用いられるシミュレーターは弁護士や司法書士が監修している可能性があるので、WEB版よりも高い精度が期待できます。弁護士が利用者に質問しながらシミュレーターをカスタマイズしていくので、自分で試算するよりも正確です。
「せっかく法律相談を申し込んだのにシミュレーターを使うのか…」とガッカリする必要はありません。高精度のシミュレーターは相談をより効率的にしてくれるので、より充実したアドバイスを受けられます。
借金減額シミュレーターの精度が低い理由
借金減額シミュレーターは精度が高くありません。法律事務所のWEBサイトに掲載されているものであっても、弁護士の試算ほど正確な減額額は期待できないでしょう。
シミュレーターの結果を鵜呑みにしないように、シミュレーターの精度が低い理由を解説します。
どれだけ減らせるかは債務額や返済額だけでは分からない
債務整理や過払い金請求でどれだけ借金を減らせるか試算することは簡単ではありません。借金の総額や月々の返済額といった基本的な情報だけで正確な減額額を出すことは難しいです。
借金を減額したい場合、考えることは数多くあります。減額額に影響する代表的な要素を紹介しましょう。
- 借入先(貸金業者や銀行など)
- 借入期間
- 借金減額手法(債務整理や過払い金請求など)
- 保証人の有無
- 保有財産
- 生活費
- 裁判所の判断
- 債務者の健康状態
- 家族構成
- 債務整理を過去に行っているか
これ以外にも債権者の借金減額に対する姿勢の違いが影響することもあります。たとえば学資ローンは金利が低く返済の負担が軽いため、債権者が借金減額に否定的です。
いくつもの要素が絡み合って減額額が決まるため、簡易的なネットのシミュレーターの結果は実際の減額額と大きく異なる場合があることを覚えておきましょう。
借入状況によっては1円も減額してくれない
借金減額シミュレーターが借金を減らせると試算しても、1円も減額できない場合があります。現実とは全く異なる結果に驚きますが、珍しいことではありません。
借入の状況によっては債権者が減額に応じてくれません。しかし、そのことをシミュレーターは考慮しないため間違った試算をします。
担保付の借入の場合、担保を処分してからでないと減額交渉は進みません。また、保証人がいるケースでは保証人が返済を拒否すると借金減額が頓挫することもあります。
一般的な借入以外で借金減額シミュレーターを利用する場合は注意が必要です。
借金減額シミュレーターのデメリットと注意点
借金減額シミュレーターは試算を間違える以外にもトラブルを引き起こすことがあります。
生活に悪影響が及ぶ可能性もあるため、借金減額シミュレーターの気をつけたいデメリットについて確認しましょう。
注意点を事前に知っていればシミュレーターが引き起こすリスクに対処できます。
個人情報を渡すことになる
借金減額シミュレーターのなかには利用者の個人情報を大量に要求するものがあります。メールアドレスはもちろんのこと、氏名や住所、電話番号、勤務先まで記入するよう求めてきます。
借金の減額額を試算するのに電話番号や住所は必要ありません。にもかかわらず試算に大量の個人情報を必要とするのは不自然です。個人情報を収集する目的でシミュレーターを設置している可能性があるでしょう。
借金の返済に困っている人の名簿を欲しがる闇金業者は多いため、借金減額シミュレーターを利用する人の個人情報は悪質な貸金業者にとって価値があります。
個人情報の入力が必要なシミュレーターの利用は、よく考えて行いましょう。信頼できるサイト以外では入力を控えるべきです。
法律事務所から勧誘を受ける
借金減額シミュレーターを利用する際に電話番号やメールアドレスを入力すると、しばらくしてからシミュレーターが掲載されている法律事務所から勧誘を受けることがあります。
直接的な勧誘ではなく、アンケートやヒアリングの形式をとることもありますが、実態は債務整理や過払い金請求の勧誘です。
ヒアリングをすることで、より詳細に減額額が分かると伝えられますが、最終的には対面による法律相談を勧められるケースも多く、煩わしさを感じることもあるでしょう。興味が無い場合はキッパリ断ることが大切です。
悪質な業者への誘導である場合も
悪質な業者が借金減額シミュレーターを掲載している場合もあるので警戒してください。
借金問題とは関連性の無いサイトで借金減額シミュレーターを見つけた場合は特に注意が必要です。サイトのコンテンツのように見えますが実は広告で、情報を入力して結果を確認するボタンを押すと外部サイトに飛ばされます。
リンク先のサイトは弁護士や司法書士を装ったWEBサイトになっており、偽りの借金減額サービスを紹介していることもあります。こういったサイトでは相場よりも高い金利で借り換えローンを勧めています。利用しても負担が増えるだけです。
安全な借金減額シミュレーターの選び方
借金減額シミュレーターには危険なものも含まれています。高額な弁護士費用を請求されたり、意図せず闇金からお金を借りてしまう危険性があるので、安全なシミュレーターを選ぶポイントを解説します。
借金減額サービスを考えている方は参考にしてください。
個人情報を要求しない
個人情報を入力するよう要求しないシミュレーターを選びましょう。借金の減額額を試算する場合に電話番号や住所は不要です。実際、大手が提供しているシミュレーターは個人情報を入力しなくても使えるものがあります。
個人情報の入力を集める目的でシミュレーターを提供している可能性もあるので、電話番号や勤務先に関する詳細な情報を求められたら利用をやめましょう。
記入欄に情報を記入しただけで情報を送信することも技術的に可能であるため、必要事項を入力する前に内容を一通り確認することをおすすめします。
大手弁護士事務所が管理運営している
安全性を重視するなら大手弁護士事務所が管理している借金減額シミュレーターを利用しましょう。
性能の悪いシミュレーターを掲載していると評判に傷が付くため、きちんと専門家が作成に携わったものを提供しています。
大手は知名度が高く顧客の獲得に困っていないので、シミュレーターを集客に利用しないところも見逃せません。個人情報を求められたり、しつこい勧誘を受けることは滅多にありません。
さらに資金に余裕があるため、シミュレーターが最新事情を反映したものにアップデートされやすいです。
借金減額の体験談
借金減額サービスで実際に借金を減らすことができるのか確かめるために、体験談を紹介していきます。
借金減額シミュレーターを使って借金を削減した事例も取り上げるので、シミュレーターがどのように役立つのか知りたい方にも参考になります。
詐欺ではなかった
借金減額シミュレーターがバナー広告の一種だと思い、それまで一切触れないできました。しかし、借金に苦しむ友人がシミュレーターを使って借金を減らしたと聞いて驚きました。
友人はリボ払いを使い過ぎて元本が減らずに困っていましたが、法律事務所のシミュレーターを試したところ返済方法を変えれば元本を削減できると分かり、法律事務所に債務整理を依頼したそうです。その結果、利息の支払いを減らすことができ、元本を順調に減らせるようになりました。
この話を聞いて借金減額シミュレーターが詐欺でないと分かり、その後シミュレーターを提供していた法律事務所に私も債務整理を依頼しました。
安心して使えた
銀行や消費者金融、さらにはクレジットカードで借金をして、気付くと多重債務者になっていました。
そんな時、たまたま見ていた弁護士事務所の借金削減シミュレーターを試してみたところ、大きく借金を減らせることを知り、すぐに弁護士に相談しました。
シミュレーターは個人情報を求めることもなく、迅速に減額額を教えてくれたため不安を感じることなく使えたと思います。
匿名で利用できたことも個人的には助かりました。おかげで周囲に知られることなく債務者整理を進められました。
詳しい話は弁護士と相談しないと分からない
住宅ローンやオートローンを利用する予定があったため、これらが利用できる借金減額サービスを探していました。
借金減額シミュレーターは広告的要素が強いと感じていましたが、試してみると借金が減らせない場合でも後日連絡が来ることがなかったため、信頼できるサービスだと感じています。
しかし、正確な減額額を知ることはできなかったため、弁護士に法律相談を申し込みました。相談では減額額についてシミュレーターよりも詳しい情報を得られるため、借金減額に関する情報を知るには専門家との対面相談が一番だと思います。
借金減額シミュレーターのからくりに関するよくある質問
見落としている点がないか確認するために、借金減額シミュレーターの仕組みについてのよくある質問を紹介します。
ブラックリストとの関係や、有料版のシミュレーターについてなど気になるポイントを解説していきます。
借金減額シミュレーターを最大限活用したい場合は、ぜひこの項目にも目を通しておきましょう。
シミュレーターを使うとブラックリストに登録されますか?
借金減額シミュレーターを利用してもブラックリストに登録されることはありません。
借金を減らすために債務整理や過払い金請求を行うとブラックリストに登録されて、新規の借入ができなくなる可能性があります。しかし、シミュレーターを使ったことが直接の原因になることは考えられません。
ブラックリストに登録されるには、金融機関や貸金業者などの指定信用情報機関に登録している企業が金融事故情報を通知する必要があります。シミュレーターの使用が金融事故になることはありません。
有料のシミュレーターは信頼できますか?
有料の借金減額シミュレーターは危険です。一般的に、借金減額シミュレーターは法律事務所において無料で公開されています。借金が減らせることを知ってもらい、借金減額サービスに申し込んでもらうことが狙いであるため、有料にして間口を狭めるようなことはしません。
有料シミュレーターは借金減額について詳しくない人からお金をだまし取る目的で設置されている可能性があります。個人情報の収集をしている場合もあるので、有料のシミュレーターは利用しないようにしてください。
借金減額診断やシミュレーターの内容は嘘ですか?
借金減額シミュレータや自動診断機能の内容は不正確なこともありますが、意図的に嘘をついているわけではありません。
ただし、悪質な業者が検証もせずに借金が減らせるからと債務整理を勧めることがあります。この場合はシミュレーターの結果を信頼できないでしょう。
誠実な法律事務所で掲載されているシミュレーターでも診断結果を大きく間違う場合があります。
シミュレーターの結果だけで判断せずに、弁護士や司法書士の話も必ず聞きましょう。
まとめ:借金減額を望むならシミュレーターよりも法律家がおすすめ
ネット広告などで見かける借金減額サービスを利用すれば借金を減らせる可能性があります。法律事務所に掲載されているものであれば法律相談につながっているため、借金減額についてより詳しい話を聞けるきっかけにもなるでしょう。
借金減額シミュレーターがはじき出す減額額は参考程度に留めてください。WEB版は精度が低く、勧誘や悪徳業者につながる危険性もあるため用心が欠かせません。
本気で借金を減らしたい場合はシミュレーターを使わずに法律事務所で相談してください。借入状況や債権者の特徴についても考慮しながら借金を減らせるか検証してくれるので、安全に適切な行動が取れるでしょう。