先払い買取はキャリア決済や後払いアプリ決済を手軽に現金化できますが、ヤミ金の一種だと言われることも多いので利用をためらっている人が多いサービスです。

そこで今回は先払い買取がヤミ金だと言われる理由について解説します。巧妙な手口と、お金を借りられない人を狙った悪質な手法を確認してください。

被害に遭った場合の対処法についても取り上げるので、先払い買取に備えたい人にも参考になる内容です。

先払い買取の特徴と問題点

まずは先払い買取の特徴について解説していきます。街中のリユースショップのような買取サービスとは何が違うのか、どこが問題なのか見ていきましょう。

先払い買取が誰に向けたサービスなのか、業者の狙いはどこにあるのかなど、押さえておきたいポイントついても触れます。

先払い買取のサービス内容

先払い買取はスマートフォンやタブレットなどの商品を買い取って、買取額を指定口座に入金してくれるサービスのことです。

これまでの買取サービスと大きく異なるのは利用者が現物を持っていなくても査定してくれるところです。品物の写真を送る、または業者が指定する商品をWEBサイトから購入するだけで取引が成立し、買取額が振り込まれます。購入する場合、料金の支払いは1週間~1ヶ月ほど遅らせることができます。

写真を送るタイプは指定の日時までに商品を業者に送らないと罰則金が発生し、WEBサイトから購入する形式では期日までに商品の代金を支払わないとキャンセル料が生じます。

お金を借りられない人をターゲットにしている

先払い買取はカードローンやクレジットカードのキャッシングが利用できない人に向けて提供されています。

先払い買取の多くが「金融ブラックでも大丈夫」などと手軽にお金を受け取れることをアピールしていることからも、借りられない人をターゲットにした資金調達サービスであることは間違いありません。

カードローンやクレジットカードのキャッシングを過度に利用すると、借入額を制限した総量規制に引っかかるため借りられなくなります。そのため先払い買取は買取サービスを装って、規制の対象にはならないと利用者に思わせています。

先払い買取は取引を伴わない

買取サービスは物品のやり取りを伴うのが一般的です。買取業者が品物を査定し、依頼者が買取額に納得いったら取引が成立します。

先払い買取も査定と買取に関する契約を行いますが、取引の肝である物品のやり取りが無く、多くのケースで利用者がキャンセルを申し出るため、買取取引は行われません。

利用者が取引をキャンセルするのは、お金を受け取ることが目的だからです。一時的にお金が無くなった際に先払い買取でお金を工面し、給料日にキャンセル料を含めて料金を支払います。

買取サービスは本来、物品のやり取りを前提とした取引です。肝心の物のやり取りを省略した先払い買取は問題の多い取引と言えるでしょう。従来の買取サービスと同じように利用するのは危険です。

先払い買取の手続き方法と流れ

先払い買取の全体像を把握するために、手続き方法と流れを確認しましょう。

先払い買取には品物の写真を送る形式と業者が指定する商品を購入する形式の2つがあり、途中までは手続きの流れが異なります。

売りたい品物の写真を送る場合の流れ 商品を購入し即座に売却する場合の流れ
①WEBサイトから買取を申し込む②品物の写真を業者に送る③査定が行われる④買取額が入金される⑤品物を業者に発送する ①WEBサイトから買取を申し込む②業者が指定する商品を購入する③買取額が入金される④後日商品の代金を支払う

金券ショップなどの買取業者なら買取額を受け取った時点で取引終了ですが、先払い買取はこの後に品物の発送や、代金の支払いがあります。しかし、先払い買取の利用者は期日までにお金や品物を用意できないことが少なくありません。その場合、取引をキャンセルします。

キャンセルすると業者からキャンセル料を請求されます。商品を購入した場合は商品代金も請求されるため、支払いが高額になる場合もあります。

このように先払い買取では物品の授受がありません。お金のやり取りだけとなるため、手続きは古物買取よりも消費者金融などに近いです。

先払い買取がヤミ金だと言われる理由

取引内容を見ると先払い買取は古物買取よりも貸金業に近いです。しかし問題はそれだけではありません。問題の多いヤミ金業者に近いビジネスモデルをしています。

これから先払い買取がヤミ金だと判断できる根拠を解説していくので、その異常性や危険性を確認しましょう。

取引内容が貸金に該当する

古物の買取を行っているように見せかけて、実際は物品の販売や受取は一切やっていません。

先払い買取は実際にネットショップなどで行われている取引手法ですが、代金を支払った側は後で必ず品物を受け取ります。

品物の写真だけを査定して、利用者にお金を渡している今回の先払い買取は古物取引とは言えないでしょう。やり取りしているものはお金だけで、買取手数料やキャンセル料を請求していますから実質的に貸金です。

そもそも古物買取においてキャンセル料が発生することは基本的にありません。

法定上限を超える金利が設けられている

先払い買取を利用すると必ず高額な手数料を請求されます。業者の要求どおりに品物を送った場合や、代金を支払った場合でも年利換算で20%に迫る手数料となるため、契約内容を履行しても高額な手数料を支払うことには変わりありません。

これまで問題になった先払い買取では、利用者が25,000円を受け取ったケースで43,000円を請求されました。支払い期限が1週間だった場合、手数料18,000円は年利に換算すると3744%です。法律が定める上限金利は最大でも20%ですから、先払い買取の金利がいかに法外なものか分かるでしょう。

違法な取り立てを行う

古物買取では考えられないことですが、先払い買取とは違法な取り立てをすることがあります。

先払い買取の実態は貸金であり、運営しているのはヤミ金です。債務者に渡したお金はどんな手段を使っても回収するため、取り立ては激しいものになります。ヤミ金業者の代表的な取り立ての手口を紹介しましょう。

  • 電話や訪問による取り立て
  • 暴力をふるう
  • 脅迫する
  • 周囲の人に嫌がらせをする
  • 勝手に財産を差し押さえる
  • 受任通知を受けても取り立てる

法律では債務者の自宅や職場に直接訪れる取り立ては禁止されていますが、ヤミ金業者は取引の時点で違法行為をしているため、違法な取り立ても平気で行います。

期限を過ぎても支払わないようなら厳しい取り立てを受けるでしょう。 

貸金業登録をしていない

先払い買取は実質的に貸金業であるにもかかわらず貸金業登録をしていません。

法律では貸金業を営む者は内閣総理大臣または都道府県知事の登録が必要だと定めています。登録を行わずに営業している貸金業者は違法営業となり、ヤミ金です。

ヤミ金が貸金業登録をしないのは違法な金利で貸付を行うためです。貸金業登録をすると監査を受けるため、不適切な金利で営業していると、すぐに処罰されます。

また、違法な取り立て行為をすることも登録をしない理由のひとつです。

先払い買取に伴う危険性

先払い買取は受け取った金額の2倍近く請求される場合もあるなど注意が必要なサービスです。

しかし、危険性は高額な請求だけではありません。私生活にも大きな影響が及ぶ場合があるため、先払い買取の注意点について見ていきましょう。

会社に迷惑がかかる

先払い買取の厳しい取り立ては会社にまで及ぶことがあります。事前の通知なしにやって来て職場で返済するよう要求してくるため、精神的に大きなプレッシャーを受けるでしょう。周囲に同僚がいる状況で、「ATMへ行って金を引き出してこい!」と恫喝してきます。

本人だけでなく上司や同僚、受付に借金の取り立てに来たと告げることで、相手が動揺してヤミ金の要求を全て飲むように仕向けることもあります。

会社での取り立てが続くようだと解雇のリスクも心配です。

他の闇金から押し貸しを受ける

先払い買取に申し込む際、氏名や住所、電話番号などの個人情報を業者に知らせます。多くのネットサービスでは当然の手続きなので違和感は無いかもしれませんが、相手はヤミ金です。反社会的な組織とつながっているケースも少なくありません。他のヤミ金にも自分の個人情報が流れる可能性は高いでしょう。

ヤミ金にだまされて落ち込んでいるところに、押し貸しをされるリスクも十分に考えられます。押し出しはターゲットの口座に突然お金を入金して、利息を付けて返せと脅す犯罪行為です。先払い買取でお金を受け取るために口座番号を教えているので、いつ押し貸しされてもおかしくありません。

先払い買取の被害事例

先払い買取の危険性をよりイメージしやすいように、被害の実例を紹介しましょう。先払い買取は新しいタイプのヤミ金であるため、まだそれほど目立つ事例は多くありませんが、いずれのケースも被害は深刻です。

具体例を知ることで先払い買取のリスクを再確認してください。

スマホやゲーム機の写真を送ると即入金

2011年11月頃、茨城県でスマートフォンの写真を送って現金を受け取り、それから1週間後に高額な違約金を請求される事件が起きました。

被害者はいずれも茨城県に住む男性で、写真を業者に送信したところ即座に買取金が振り込まれたそうです。被害者は取引の際に取引とは関係ない年収などの情報を聞かれて違和感を覚えましたが、すぐに入金してくれたこともあって、業者を問い詰めたり、警察に通報することはありませんでした。

しかし、1週間が過ぎると業者から商品が届かないと連絡が来て、商品の代金に違約金として数万円を上乗せした金額を送るよう要求してきたと言われています。

その後、警察に被害が届けられるようになり捜査が開始され、東京都に住む45歳の男性をはじめとする11人が逮捕されました。被害額は数億円規模になると報道されています。

買い取り金額より30%以上高いキャンセル料を請求

男性は先払い買取を利用して資金調達を繰り返していました。不満はあったものの、所有する物品の写真を業者に送ってお金を受け取り商品は送らず、月末の給料日にキャンセル料を支払うような使い方をしていたそうです。

キャンセル料は一定ではなく、受け取った金額より30%以上高い場合もありました。カードローンと比べても明らかに高い金利になっており、最終的な金利を計算したところ年利で360%を超えていたそうです。

また、このケースでもヤミ金業者は利用者に手取りや勤続年数、雇用形態など古物売買に無関係な情報を知りたがったと報告されています。

先払い買取がヤミ金かどうか見破る方法

ここまでの内容で先払い買取が危険なヤミ金であることが明らかになりました。しかし、買取サービスの中には健全なものもあります。ヤミ金と区別ができないと資金調達に困るため、違法な先払い買取を見分ける方法をお伝えします。

貸金業登録番号を確認する

最も効率的にヤミ金かどうか判別する方法は、貸金業登録番号を確認することです。

物品のやり取りをせずに、お金の授受だけ行う先払い買取は間違いなく貸金業者です。適切に貸金業登録をしていなければ違法営業となるため、ヤミ金と判断できます。

もし登録をしていれば金融庁か地方自治体の職員が業者を監査するため、法律に違反する営業はできません。

貸金業登録番号は業者のWEBサイトに記載するよう法律で定められているため、番号が無かった場合はその時点で利用を控えましょう。

番号が確認できた場合は登録貸金業者情報検索サービスを使って番号が登録されているか確認してください。

古物商許可番号を確認する

古物売買を行う業者は古物商許可を受けるよう法律で定められています。先払い買取は形式上、古物のやり取りをするため古物商許可証は欠かせません。先払い買取には2つの取引形式がありますが、いずれも古物売買に該当します。

貸金業登録番号と同様、古物商許可番号がWEBサイトに記載されていなければ、法律に違反する営業をしているヤミ金の可能性があるでしょう。

番号が正規のものか調べるには各都道府県警察のWEBサイトを見てください。古物商許可番号と業者のリストを確認できます。

キャンセル料や手数料を確認する

危ない先払い買取業者はキャンセル料を設定しています。彼らが利益を上げる手口の源泉はキャンセル料であるため、キャンセル料に関する情報は必ず記載されています。もし無ければキャンセル料を徴収できません。

キャンセル料は宿泊施設などでも設けられていることがありますが、古物売買では滅多に見かけません。キャンセル料がWEBサイトに記載されていれば、ヤミ金を疑いましょう。

買取額の10%を超えるようなキャンセル料や手数料を設けているところはさらに危険です。決して申し込まないでください。

先払い買取でキャンセル料を支払う必要がない理由

先払い買取で問題になるのはキャンセル料です。キャンセル料のために支払額が買取額の2倍近い金額になる場合もあります。

しかし、先払い買取のキャンセル料は法律に違反するため、その大部分は支払う必要がありません。

なぜ支払わなくていいのか詳しい理由を解説しましょう。

上限金利を超えている

先払い買取の金利は年利換算で300%以上に達することもあるほど、常識はずれな高さです。上限金利をはるかに超える値なので、間違いなく違法です。

法律では上限金利を超える部分の利息に関しては支払う必要がないとされています。先払い買取の場合、1週間で買取額の30%がキャンセル料として請求される場合もありますが、これは年利300%以上です。

上限金利の20%で2万円を1週間借りた場合に付く利息は約78円です。法律に従えば、これを超える部分のキャンセル料については支払う必要がないため、ほぼ全額支払わなくていいことが分かるでしょう。

法律上必要な手続きをしていない

先払い買取は貸金業登録や古物商許可証の届けなど法律上必要な手続きを行わないまま営業しているため、違法営業です。法律に違反する状態で結んだ契約は無効になるため、先払い買取業者の都合で設けられた契約内容の多くは破棄されます。

契約書に書かれている極めて短い返済期限や、期限を超えると罰則金が発生するなどの取り決めも契約が無効になることで効力を発揮しなくなります。

契約が無効になるため、キャンセル料や手数料の支払いは貸金業法など法律に従って行われます。前述したとおり支払い額は極めて少ないものになるでしょう。

キャンセル料を請求された場合の対処法

高額なキャンセル料を支払うよう要求された場合は、落ち着いて適切に対応することが大切です。

ヤミ金業者はすぐに支払うよう請求してきますが、焦ってお金を渡すと2度と戻ってこない可能性もあります。

冷静に行動できるように対処法を解説します。

ヤミ金に強い法律家に相談する

いくらヤミ金が違法営業だからといって、法律を知らない個人が1人で対応できるほど簡単な問題ではありません。真っ当な貸金業者とは違い、ヤミ金は資金の回収に尋常ではない執着を見せるため専門家の支援が必要です。

おすすめはヤミ金トラブルに強い弁護士です。ヤミ金は弁護士に対しても救急車を呼ぶなどの嫌がらせをしてきます。弁護士としての実績よりもタフなメンタリーとヤミ金対応の経験を評価して、依頼する法律事務所を決めましょう。

警察に被害を報告して話を聞いてもらう

暴力的な取り立て被害に遭った場合は地元の警察署に相談してみましょう。外傷や自宅が破損したなどの具体的な被害がある場合は警察のサポートが期待できます。

ただし、警察は民事不介入という大原則があるため、商取引で生じたトラブルについては対処してくれないことが多いです。たとえ上限金利を超える手数料を請求されても動いてくれないでしょう。

また、具体的な被害があっても捜査や裁判の手続きがあるため、被害金を取り戻すのに時間がかかります。

被害者の会に参加する

先払い買取が大規模に行われた場合、大勢の被害者を生み出すことがあります。そういったケースでは被害者が集まって被害者の会を結成する場合があるので、ネットで被害報告を数多く見かけたら被害者の会があるか確認してみましょう。 

被害者の会は集団訴訟をひとつの目的としているため、参加すると通常よりも少ない弁護士費用で頼りになる弁護士のサポートを受けられる可能性があります。 

他の被害者とヤミ金被害について相談できるので、2次被害に遭いにくくなるメリットもあるので、被害者の会がある場合は参加を検討してみてください。

先払い買取を装うヤミ金に関するよくある質問

先払い買取を装うヤミ金は利用者の知識不足を突いてくることが多いです。被害に遭わないためにも先払い買取に関して詳しくなりましょう。

これまでの項目でカバーしきれなかった先払い買取の基本知識を解説するので、ぜひ確認してください。

先払い買取自体は合法ですか?

一般的には、先払い買取は商取引のひとつで、サービスや品物を受け取る前に代金を支払う取引のことです。 この先払い買取については合法です。

しかし、今回の記事で紹介した先払い買取は貸金業にもかかわらず必要な届出をしておらず、違法な手数料を請求しているため合法ではありません。あくまでヤミ金業者が古物の買取サービスを装っているだけで、本来の先払い買取とは全く異なります。品物を送っても正確に査定されない、もしくは届いていないと嘘をつく可能性があります。

先払い買取と後払い現金化の違いは?

先払い買取と後払い現金化はどちらも商品を業者に渡すことなく、お金を受け取れるためよく似ています。しかし、後払いは商品を購入した後、それを業者に売却せずにレビューを投稿して報酬を受け取るところが違います。

後払い現金化は報酬を受け取った時点で取引が完了するためキャンセル料が発生しませんが、その後に商品の代金を支払う必要があり、そこで高額な手数料を請求されます。

先払い買取と同じく品物のやり取りは無く、受け取った金額に手数料分を上乗せして業者に渡すため、後払い現金化もヤミ金です。

まとめ:先払い買取のキャンセル料は支払わなくていい!しかし無視は厳禁

先払い買取の実態はヤミ金で、利用すると高額なキャンセル料や手数料を請求されますが、上限金利を超える分については一切支払う必要がありません。上限金利に収まる利息は少額であるため、事実上、返済は業者から受け取った分だけになります。

しかし、ヤミ金の回収は甘くありません。無視しても取り立てが止まることはなく、職場にまでやって来ます。個人でできる対応には限界があるので、様々な法的手続きが利用できる弁護士に対処を依頼しましょう。ヤミ金業者は受任通知を受けても取り立てを止めませんが、弁護士なら裁判所に保護命令を求めたり、警察が動くよう働きかけることができます。

一筋縄ではいかない先払い買取トラブルは焦らず適切に対応することが大切です。まずは弁護士に相談してみましょう。

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