サポート詐欺に電話してしまったら?対処法や警告の消し方を解説!
パソコンやスマートフォンでインターネットを使っている時、「ウイルスに感染しました」「個人情報が流出しました」などの警告が表示されることがあります。しかし、文面を真に受けてサポート窓口に電話をしてはいけません。
これは、警告を表示して利用者からお金を騙しとる詐欺です。セキュリティに関する知識の少ない利用者をターゲットにしています。
警察などが注意喚起を行っていますが、サポート詐欺の被害額は年々増加しています。インターネット社会では誰もが被害に遭う可能性があります。一人一人が正しい知識を持ち、詐欺に対処する必要があります。
この記事ではサポート詐欺の仕組みや対処法、警告の消し方を詳しく解説します。
実際に警告メッセージが表示されても冷静に対処できるよう、あらかじめ知識を身につけておきましょう。
サポート詐欺とは?
サポート詐欺とは、ウェブサイトを開いた利用者に偽の警告メッセージを表示し、サポート窓口を装って金銭を騙し取る特殊詐欺のことです。国内では2015年頃から話題になり始め、芸能人などの被害も報告されています。
一般的にパソコンやスマートフォンなどでインターネットサーフィンを行っている最中に被害に遭うことが多いです。警告メッセージが表示されたとしても、実際にはウイルス感染や個人情報の漏洩は起こっていません。
しかし、突然アラーム音が鳴ったり、全画面に黄色や赤の警告が表示されたりすると、焦って電話をかけてしまう利用者が多いのも事実です。このように利用者の不安を煽って対応を急がせ、最終的にはサポート料金と称して、金銭を振り込ませるのが目的です。
サポート詐欺は利用者の不安に付け込む卑劣な詐欺です。
あらかじめ詐欺の手口や対処法を把握し、被害に遭わないようにしましょう。
サポート詐欺に関する相談件数は高止まりが続いており、警視庁、国民生活センター、情報処理推進機構(IPA)らが被害の拡大を防止するため、注意喚起を行っています。
IPAの統計によると、「偽セキュリティ警告」の相談件数は2022年に過去最高の2365件に上りました。
また、被害額も増加傾向にあります。国民生活センターのデータによると、サポート詐欺の平均被害金額は年々増加。2016年度は平均2万3千円ほどでしたが、2021年度は14万円と約6倍に膨れ上がりました。
サポート詐欺で詐欺師が指示する支払い方法は「プリペイド型電子マネー」が中心です。これまではクレジットカードがほとんどでしたが、2020年にプリペイド型電子マネーが逆転。2021年度には、サポート詐欺被害の約8割がプリペイド型電子マネーを利用したものとなっています。
プリペイド型電子マネーはコンビニで簡単に購入できるため、インターネットの操作に明るくない高齢者でも被害に遭いやすくなっています。現に、国民生活センターに寄せられる相談のうち、60歳以上の高齢者が約半数を占めています。
サポート詐欺でお金を騙し取る仕組み
サポート詐欺はどのような仕組みでお金を騙し取っているのでしょうか。サポート詐欺の流れについて解説します。
突然警告が表示されても慌てないように、詐欺師の手口を把握しておくことが大切です。
偽の警告メッセージが表示される原因のほとんどは「ウェブ広告」です。収益化を行っているウェブサイトでは、広告を表示してその閲覧数やクリック数で収益を得ています。
詐欺師が仕掛けた悪意ある広告が利用者に表示されてしまうということが起こります。
また、偽警告を表示するためだけのウェブサイト自体を用意していることもあります。利用者が検索結果に表示されたリンクを踏むと、こうした悪意あるウェブサイトに飛んでしまいます。
ウェブサイトにアクセスした利用者に対し、あらかじめ仕掛けておいた警告画面を表示します。実在する有名企業の名前を騙り、利用者を信頼させるのが特徴です。
「ウイルスに感染しました」「個人情報が漏れました」などの不安を煽る内容であることが多く、「すぐに対応しないと大変なことになる」と対応を急がせてきます。キーボードやマウスを操作しても画面が消えないようにしていたり、大きな警告音を鳴らし続けたりして、利用者をパニックに陥らせる場合もあります。
詐欺師は利用者の不安を煽り、偽のサポート窓口に電話をかけるよう誘導してきます。米Googleや米マイクロソフトなど、有名企業のサポート窓口だと偽って電話番号を表記している場合もあり、騙されてしまう人が多いのが現状です。
実際に電話をかけると繋がりますが、相手は詐欺師です。あの手この手でお金を騙し取ろうと画策してきます。最も有効な対策は、警告メッセージに記載されている番号に電話をかけないことです。
かける前に電話番号で検索をかけるのも良いでしょう。詐欺師が電話番号を使いまわしていれば、詐欺の番号だと気づくことができるはずです。
実在の企業のサポート窓口を騙っている場合には、検索エンジンから公式ホームページにアクセスして確認するのもおすすめです。
詐欺師は電話口で「警告メッセージを消す」「遠隔で調査・修理する」などと偽り、遠隔操作アプリやソフトウェアをインストールするよう指示してきます。
指示されるがままに、アプリやソフトをインストールすると、外部からパソコンやスマホにアクセスできるようになってしまいます。第三者がクレジットカード番号や口座情報などの個人情報を盗めるようになるため、かなり危険です。
遠隔操作アプリやソフトを入れたとしても、実際は調査や修理は行っていません。何かしらの対応をしたと思わせ、修理費用やサポート契約費用などと称してお金を騙しとるのが目的です。
支払い方法はクレジットカードやコンビニで購入できるプリペイド型電子マネーが多いようです。
一度支払っても「番号が間違っていた」「処理できなかった」などと言って、再度の支払いを求められるケースもあります。
サポート詐欺の事例
ここでは、実際のサポート詐欺の事例をご紹介します。
夜中に、パソコンでインターネットを利用していたところ、突然、警告音が鳴り、パソコン画面に、ウイルスに感染しているので電話するようにとの警告画面が表示された。表示されていたサポート窓口に電話したところ、「パソコンがウイルスに感染しているので除去します。コンビニに行って3万5000円分のプリペイド型電子マネーを買って、番号の部分を削って、番号を伝えてください。このまま待っているので、電話はこのままにしてコンビニでプリペイド型電子マネーを買ってきてください」と言われた。指示に従って、コンビニに行って、プリペイド型電子マネーを購入し、電話の相手に番号を伝えたが、「番号が間違っている。もう一度3万5000円分購入してくるように」と言われ、不審に思って電話を切った。その後、パソコン専門店でパソコンを見てもらったが、ウイルスには感染していなかった。返金してほしい。(70代男性)
引用元:そのセキュリティ警告画面・警告音は偽物です!「サポート詐欺」にご注意!!
パソコンでインターネットを使用していたら、突然大きな警告音が鳴り、画面にウイルス感染の表示が出た。驚いて表示されている電話番号に連絡すると、「ウイルスに感染している。3年間のサポート契約が必要」と片言の日本語で言われ、約5万円をカード決済した。遠隔操作で何か作業されたが、不審な気がしたので解約したいとメールで連絡したが、返信がない。(60代女性)
引用元:使用中に偽の警告表示! 慌てて事業者に連絡しないで(見守り情報)_国民生活センター
実際にパソコンやスマートフォンに表示される警告画面としては、以下のようなものがあります。
引用:熊本県警察
警告画面が表示された場合の対処法
インターネットを利用する全ての人がサポート詐欺の被害に遭う可能性があります。
実際に警告画面が表示されても焦らないよう、事前に対処法を知っておくことが重要です。警告画面が表示された場合の対処法について解説します。
何よりも重要なのは「電話をかけない」ことです。不安を煽る内容に焦ってしまうかもしれませんが、まずは深呼吸をして落ち着きましょう。
相手から提示された情報をそのまま鵜呑みにするのは非常に危険です。電話番号や公式ホームページで検索をかけるなど、情報が正しいかどうか自分でも確認する習慣をつけましょう。
家族や友達など身近な人に話してみるのも詐欺被害を避ける上で有効です。
警告画面が表示された場合、詐欺かもしれないとは分かっていても、本当に大丈夫かどうか不安になってしまうものです。その不安を解消する方法は2つあります。
- 公式窓口に確認する
- 消費者ホットラインに相談する
公式窓口への相談は、警告画面に表示されている番号ではなく、検索エンジンから改めて企業の公式ホームページにアクセスして、サポート窓口に電話をかけましょう。
公式窓口であれば、詐欺の事例にも詳しいため、不安を取り除くことができるでしょう。
消費者ホットラインとは消費者庁が運営している相談窓口です。トラブル全般について経験豊富な相談員に相談することができます。電話番号は全国共通で「188番(局番無し)」です。
あらかじめセキュリティ対策ソフトを導入しておくと、サポート詐欺の被害を受けるリスクを減らすことができます。セキュリティ対策ソフトはウイルス感染や不正アクセスを防ぐ効果があります。
企業によっては、セキュリティに関する相談サポートをセットにしたサービスを販売しているところもあります。中には低コストで導入できる製品もあるため、いざという時に備えて導入しておくと安心です。
警告画面・警告音の消し方
警告画面や警告音の消し方として最も有効なのは「ブラウザを消す」ことです。ただし、中にはパソコンが固まってしまい、マウスやキーボードを操作しても消えないケースもあります。操作ができない場合には「コマンドでの強制終了」を試してみましょう。以下、詳しい操作方法を解説します。
警告画面や警告音を消すためには、メッセージが表示されているブラウザを閉じます。前のページに戻る方法や該当ページのみを閉じる方法もありますが、ブラウザ自体を消す方が確実です。
ブラウザを消す操作ができなくても、コマンドで強制終了する方法はあります。以下の手順で行いましょう。パソコンのOSごとにご紹介します。
1.「Ctrl」+「Alt」+「Delete」を同時に押す
2.「タスクマネージャー」を選択
3.Googleなど利用しているブラウザを右クリック
4.「強制終了」を選択
1.「Option」 +「 Command 」+「 Esc」を同時に押す
2.「アプリケーションの強制終了」の中から利用しているブラウザを選択
3.「強制終了」を選択
サポート詐欺に電話してしまったらどうする?
サポート詐欺だと気づかず、記載の電話番号に電話してしまった場合はどうしたら良いのでしょうか。電話しただけならば電話番号を知られるだけで、金銭的な実害はありません。詐欺師のネットワークで悪用される可能性があるため、不安な方は着信拒否や電話番号の変更をおすすめします。
では、すでに遠隔操作アプリやソフトウェアをインストールしてしまった場合、個人情報を教えてしまった場合、決済処理をしてしまった場合はどうでしょうか。これらの場合には迅速な対応が求められます。
これ以上被害を広げないために資産や個人情報を守りつつ、専門機関に相談する必要があります。
まずはインストールしてしまったアプリやソフトウェアを削除します。その上で、パソコンをインターネット回線から切り離しましょう。有線LANをパソコンから抜き、Wi-Fiをオフにします。こうすると、個人情報を盗まれる確率が低くなります。
より安全な対策として、パソコンを初期化する方法があります。ただし、全てのデータが消えてしまうため、慎重な対応が必要です。素人が自己判断で初期化するのはあまりおすすめできません。
すでに遠隔操作された可能性がある場合には、各種ID・パスワードを変更しましょう。
Googleなどのブラウザに覚えさせていたもの、メモなどパソコンに保存していたものは変更する必要があります。
クレジットカード番号や電子マネー番号を伝えている場合、情報を盗まれている可能性がある場合には、早急にカード会社・管理会社に連絡しましょう。
サポート詐欺の被害にあった旨を伝え、決済処理を止めてもらう必要があります。会社によっては救済措置の制度を設けているところもあります。
サポート詐欺の被害に遭ったら、最寄りの警察署に相談します。サイバー犯罪の相談窓口に電話やメールで相談する方法もあります。
警察に相談する際には、集められるだけの証拠を持っていきましょう。「警告画面のスクリーンショット」「電話番号」「電話内容」「電子マネーやクレジットカード情報」「被害額」など、メモに書いて整理しておくとスムーズです。
警察に被害届を出しても、被害額が自動的に戻ってくる訳ではありません。詐欺師から支払ったお金を取り戻したいなら、弁護士に相談することをおすすめします。
被害額を回収する方法としては示談交渉や法的措置があります。弁護士であれば、相手との交渉から裁判まで一括で任せることが可能です。
最適な手段を選んでくれるため、被害額の回収確率が高まります。
サポート詐欺でお金を騙し取られたら弁護士に相談しよう
サポート詐欺は、相手の不安な気持ちにつけ入る卑劣な犯罪です。突然の警告メッセージに驚き、慌てて偽のサポート窓口に電話してしまう方も少なくありません。あらかじめ詐欺の実態を把握し、冷静に対処できるようにしておきましょう。
サポート詐欺被害に遭ってしまったら、警察に被害届を提出するとともに、弁護士に相談することをおすすめします。法律の専門家に任せることで、より確実に被害額を回収することができます。