投資詐欺とは?その手口の一覧と弁護士への相談のすすめ
「投資詐欺」は、個人を相手取った詐欺の手口の1つです。
独立行政法人国民生活センターによると、この詐欺の被害者の多くは高齢者である一方、若年者を対象とした詐欺的な勧誘も増加傾向にあります。
投資詐欺の主な手口と見分け方、被害に遭ってしまった場合の対処法を中心にまとめました。
・投資詐欺の手口や事例
・投資詐欺の見分け方
・投資詐欺の被害に遭ってしまった場合の対処方法と相談窓口
まずは国民生活センターや金融庁などが警戒を促している、具体的な投資詐欺の手口について解説していきます。
- 「未公開株」の購入を促す投資詐欺
- 「外国通貨」の購入(FX)を促す投資詐欺
- 「暗号資産」「仮想通貨」の購入を促す投資詐欺
- 悪質なファンド販売業者(無登録業者)による投資詐欺
- 投資セミナーやオンラインサロンを通した投資詐欺
- マッチングアプリなどを使った「国際ロマンス詐欺」
- LINE上の投資詐欺グループに参加させるなどの、SNSを使った投資詐欺
投資詐欺の手口の1つとして挙げられるのが、「未公開株」の購入を促すというものです。
- 近々上場する、値上がり確実の株式を購入できる
- 発行会社との特別なコネにより、証券会社を通さずに株式を購入できる
このような名目で、指定の口座への入金などを要求します。
その後、株券などが届かないことを疑問に思い業者に問い合わせを行っても、振り込んだお金が返ってくることはありません。
業者から上場間近で大儲けが出来ると言われ、未公開株を購入。業者からは株券の代わりに「預り証」を渡されたが、株券は手元に届かなかった。不審に思い発行会社に確認したら上場予定は全くないと言われた。
引用元:未公開株購入の勧誘にご注意!~一般投資家への注意喚起~ : 金融庁
そもそも未公開株の販売が可能なのは、「その株式の発行会社」と「登録を受けた証券会社」に限られます。
「近々上場する未公開株を特別に購入できる」と勧誘されても、応じないようにしましょう。
- 「絶対に儲かる」と称してFX自動売買ソフトを購入させる
- 海外のサイトでの投資を勧誘され、入金したが出金できない
このような手口で行われるのが、外国通貨を使った投資詐欺(FX詐欺)です。
特に海外の業者が関わっている場合、詐欺罪の追及や損害回復は困難と言わざるを得ません。
現実問題として、泣き寝入りをせざるを得ない被害者が多い詐欺の1つと言えます。
インターネットの広告を見つけ、業者に資料を請求した。その後、業者から電話がきて、
「海外の業者がシステム開発したFX自動売買ソフトを限定500人に販売している。月15%ずつ増えていく」と説明されて契約した。
(中略)
その後、ソフトを販売した国内の業者に、元金と同額の出金を依頼したが、「取引をすべ
て終了しなければ出金できない」と言われた。業者は「我々はソフトの販売会社であり、
海外の業者に仲介しているだけ」と言っている。解約して返金してほしい。
引用元:儲もうかってるのに出金できない!?海外FX取引をめぐるトラブルにご注意
独立行政法人国民生活センターによると、年間3,000件以上の相談が寄せられているのが「ファンド型投資商品」をうたう業者とのトラブルです。
ファンドとは複数の出資者から資金を集め、それを用いた投資などにより得られた利益を出資者に還元する仕組みを指します。
この手口の詐欺では勧誘に応じて出資を行った後、相手方と連絡が取れなくなるなどして元本を出金することができなくなります。
また巧妙な手口が用いられた場合には、一定期間のみ配当を還元することにより、安心感を抱かせようとする場合があります。
近頃増えているのが、投資セミナーやオンラインサロンを通した投資詐欺です。
もちろんすべてのセミナーやサロンが悪質というわけではありませんが、下記の要素のある会合には注意が必要と言えるでしょう。
- 特定の金融商品(特に未公開株、海外ファンドなど)への勧誘
- 紹介料が発生する金融商品の紹介(マルチ商法・ねずみ講)
セミナーやサロンを通した詐欺は、大学生などの若年層がターゲットとなることも多いです。
マッチングアプリや言語交換アプリ、出会い系サイトなどで、一般に容姿端麗な外国人の画像を用いて行われるのが「国際ロマンス詐欺」です。
相手方への直接の入金を求められるケースもあるものの、近頃増えているのは詐欺サイトを用いた投資詐欺です。
「自分が成功した投資方法だから」「二人の将来の資金のため」といった名目でマッチング相手などに投資を勧誘された場合には、注意が必要と言えるでしょう。またこの詐欺は、実際に外国人によって行われることが多いものの、プロフィール写真はインスタグラム等からの無断転載であることが一般的です。
SNS上で数多く見られるのが、「LINE」で突然投資グループに加えられたという報告です。
一般にこれらの投資グループは、投資で莫大な利益を得ている「先生・リーダー」役の人物と、複数の「生徒」役の人物で構成されます。
先生役の人物の指示により生徒役が投資に成功する様を見せられ、投資への意欲を搔き立てるのがこの詐欺の特徴です。
指示に従い特定の口座やサイト(詐欺サイト)に入金を行うと、先生役とも生徒役とも連絡がつかなくなる可能性があります。
悪意のある投資詐欺と、そうでない投資家や金融機関はどのように見分けることができるのでしょうか。
投資詐欺の被害に遭わないため、知っておきたいポイントについて解説します。
すべての投資にはリスクがあります。
それにもかかわらず、「絶対に儲かる」「元本保証がある」といったうまい話のみを持ちかける個人や業者には警戒すべきだと言えるでしょう。
そもそも投資のリスクを隠して勧誘を行う行為は、金融商品取引法上で固く禁止されています。
金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(中略)
二 顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
引用元:金融商品取引法 第三十八条
金融商品取引業者として正式な認可を得ていない業者との取引は、トラブルの原因となることが多いです。
名前を聞いたことのない業者から金融商品を紹介された場合などには、まず「免許・許可・登録を受けている業者一覧」(金融庁)を確認してみると良いでしょう。
- 正規業者が必ずしも優良業者と保証されているわけではない
- 違法業者が正規業者を騙って詐欺を行う場合がある
といった事情を鑑みると、「正規業者の名前を使っていれば安心」と言えるわけではありません。
未公開株や私募ファンドを合法的に取り扱える業者は、非常に限られます。「上場間近の未公開株を買える」「非常に利幅が大きい海外のファンドに出資できる」といった勧誘は、詐欺の可能性が高いと言えるでしょう。
「金融商品を家族や友人などに紹介すると、紹介料が入る」といったマルチ商法は、投資商品にも用いられる場合があります。
そしてマルチ商法を行う業者との間では、「勧誘に応じて投資をしたが、元金を返金してもらえない」といったトラブルが数多く報告されています。
マルチ商法そのものが違法というわけではないものの、「友人などに紹介すると紹介料がもらえる」投資商品や取扱業者は、利用しない方がよいでしょう。
投資詐欺は、翻訳ツールを使った外国人によって行われることも多いです。怪しい日本語のメッセージによる投資の勧誘は、信じない方がよいでしょう。
また外国人であることを逆手に取った、「国際ロマンス詐欺」にも注意が必要です。
名前を聞いたことのない業者から投資の勧誘を受けた場合には、X(旧X(旧Twitter))などのSNSでその名前を検索してみるのも一考です。
もしも「怪しい」「詐欺」といった評判が並んでいるようであれば、違法業者が関わっている可能性が高いと言えるでしょう。
投資詐欺の被害に遭ってしまった場合の対応方法や相談先について、簡潔に解説していきます。
「振込先が国内の金融機関、かつ相手方が振り込んだお金をまだ出金していない」という限定的な条件を満たすのであれば、「振り込め詐欺救済法」による損害回復が可能な可能性があります。
投資詐欺の被害に遭ったと思ったら、早急に「振込先の金融機関」へ相談しましょう。
参考元:金融庁公式サイト「振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ」
全国に設置されている国民生活センターや生活相談窓口は、詐欺を含む消費者トラブルの相談に対応しています。
「詐欺の被害に遭ってしまったが、誰にどう相談すればいいか分からない」という場合には、まずお近くの国民生活センター等を利用してみるのも良いでしょう。
参考:国民生活センター公式サイト「全国の消費生活センター等」
投資詐欺の被害に遭ってしまった場合には、警察に出向いて被害届を出すことも有効です。
特に同じ業者の被害に遭った人が複数人存在した場合、被害届が逮捕のきっかけとなるかもしれません。
証拠が不十分な場合や相手方が海外にいる場合、相手方が不明な場合、詐欺罪の追及が困難であることは事実です。
「警察に動いてもらえるかどうか分からない」という場合には、警察相談専用電話「#9110」番で相談してみるのも良いでしょう。
消費者トラブルや詐欺に強い弁護士に相談・依頼することで、投資詐欺の損害回復を受けられる可能性があります。
相手方の情報が不足している状況であっても、弁護士の権限(弁護士会照会)により責任の追及に必要な個人情報を取得できるかもしれません。
損害回復が可能かどうかを知るためには、「初回相談無料」の法律事務所などを利用してみるのも良いでしょう。
弁護士への報酬は、依頼する法律事務所やケースによって大きく異なります。
- 相談料 5,500円程度~
- 着手金 10万円程度~
- 報酬金 回収額の10%程度~
その他、ケースや依頼先によっては日当や実費が発生する可能性があります。
- 投資詐欺には様々な手口があるが、「絶対に儲かる」「元本保証」をうたう業者は総じて危険
- 未公開株や私募ファンドへの投資勧誘には応じないようにしよう
- マッチングアプリなどを通して詐欺が行われる可能性もあるため注意
- 被害に遭ってしまった場合には金融機関や消費生活センター、警察や弁護士などへ相談しよう
投資詐欺の手口は多様化していますが、その被害に遭わないためにはやはり「旨い話を信じない」ことが重要です。
少しでも怪しいかも、と思ったなら、身近な人や消費生活センターに相談してみるのが良いでしょう。
また詐欺の被害に遭ってしまった場合には、できる限りの証拠を確保した上で、警察へ弁護士に相談することも有効です。