5ch(5ちゃんねる)の開示請求は難しい?事例や費用も詳しく解説
5ch(5ちゃんねる・旧2ちゃんねる)に投稿された悪質な書き込みは、一定の条件を満たすことができれば開示請求が可能です。
5ちゃんねるの書き込みに対し、投稿者情報の開示を求める条件やその流れ、必要な費用などについて分かりやすくまとめました。
5chの開示請求ついて詳しく解説しています。
・5chの書き込みに対し開示請求を行う条件
・5chの開示請求を行う流れ
・弁護士に依頼して5chの開示請求を行うために必要なコスト
5ch(5ちゃんねる)にて悪質な書き込みを行った投稿者に開示請求を行うには、一定の条件を満たす必要があります。
開示請求に必要な、「自己の権利が侵害されている」「権利の侵害が明らかである」と認められるための詳しい条件や、開示請求のタイムリミットについて解説していきます。
5chの書き込みに対して開示請求ができるのは、「権利が侵害されたことが明らかであるとき」に限られます。
書き込みによる「権利の侵害」が認められる主な例について解説していきます。
- 名誉毀損にあたる誹謗中傷
- 侮辱罪にあたる誹謗中傷
- 信用毀損罪や業務妨害罪にあたる書き込み
- プライバシーを侵害する書き込み
- 脅迫にあたる書き込み
名誉棄損とは、インターネットを含む公然の場で、他人の名誉を傷つける行為を言います。
名誉毀損は「事実」を公然に知らしめることで成立しえます。例えば他人の前科や不倫、その他不名誉な事実を5ちゃんねるに書き込むことは、名誉毀損に当たる可能性があるでしょう。
名誉毀損は民事・刑事の双方で追及が可能です。もしも刑事裁判において名誉毀損罪が認められた場合には、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金が課せられます(刑法230条)。
また民事の場合であっても、自分の権利(名誉)が侵害されたことを理由とした開示請求や、裁判上の訴えが可能です。
侮辱罪とは、公然と他者を侮辱した場合に成立する可能性がある罪です。
侵害されたと見なされるのは名誉棄損と同じく「個人の名誉」ですが、名誉棄損と異なり、事実を示す必要はありません。
また書き込みの内容が曖昧であっても、特定の人や企業などに向けた侮辱であれば、この罪が成立し得ます。
侮辱罪が成立した場合には、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」が課せられます(刑法231条)。
参考:侮辱罪の適用例
インターネットサイトの被害法人に関する口コミ掲示板に,「詐欺不動産」,「対応が最悪の不動産屋。頭の悪い詐欺師みたいな人。」などと掲載したもの。
引用元:法務省公式サイト「侮辱罪の事例集」
嘘の書き込みによって通して社会的信用を損なわせたり、5ちゃんねるを通して営業妨害を行ったりした場合には、「信用毀損罪」や「業務妨害罪」が成立する可能性があります。
事実を公然に知らしめた際に適用されるのが「名誉棄損罪」であるのに対し、こちらは虚偽の情報の流布などに適用される罪と考えてよいでしょう。
住所や氏名といった個人情報、顔写真などを5ちゃんねるに書き込むことは、プライバシーの侵害に当たる可能性があります。
ここまでに触れてきた問題と異なり、プライバシーの侵害そのものを刑事罰に問うことはできません。
ですが「自身の権利が侵害された」として開示請求を行ったり、民事裁判を行ったりすることは可能です。
殺害予告、暴行予告といった脅迫に当たる書き込みには「脅迫罪」が成立する可能性があります。
その他の誹謗中傷や権利侵害と異なり、明確な脅迫と見られる場合には、直接警察に相談するのも良いでしょう。
投稿者の開示請求を行うためには、権利の侵害が明らかでなければなりません。これを言い換えると、「権利を侵害されたという証拠が必要」となります。
誹謗中傷やプライバシーの侵害などにより自身の権利が侵害されたと感じたら、スクリーンショットを撮り、それを印刷するなどして「証拠」を確保しておきましょう。
また開示請求を行うためには、当該スレッドのURLも確認しておく必要があります。
書き込みを行った人の住所や氏名といった個人情報を有しているのは、プロバイダ(インターネットサービスを提供している会社)です。
そしてプロバイダの情報保有期間以内に手続きを行わなければ、相手方を特定できず、訴訟などの対応を取ることができません。
情報の保有期間は一般に3ヶ月~6ヶ月(業者によって異なる)です。
そのため開示請求を希望する場合は、可能な限り早く手続きを取る必要があるでしょう。
5ちゃんねるの書き込みによって自己の権利が侵害された場合に、投稿者の開示請求を行う流れについて解説します。
5chの開示請求を行うには、一般に「運営会社への開示請求」と「プロバイダへの開示請求」の2段階をそれぞれ行う必要があります。
ただしほとんどの場合、5ちゃんねるの運営元は個人の開示請求に応じていません。
そのため現実問題として、開示請求を行うには下記の方法を取る必要があります。
- 裁判所にて「発信者情報開示命令申立て」を行う
- インターネット上のトラブルに詳しい弁護士に相談・依頼する
(裁判所での手続きの代行も可)
5chの運営元による開示請求が完了すれば、発信者のプロバイダ(インターネット事業者)などを確認できます。
※弁護士に依頼することで、同時に「権利を侵害する書き込みの削除」の申請も可能です。
5chの運営会社から得られたプロバイダ情報を使うことで、プロバイダに対して「投稿者の氏名や住所」の開示請求が可能となります。
ただしこの手続きには、数ヶ月を要することも多いです。また開示請求を断られてしまった場合には、弁護士への相談や裁判所での手続きが必要となる場合があります。
相手方の名前や住所が分かれば、刑事または民事による訴訟が可能となります。
刑事訴訟による刑罰を求めるべきか、民事訴訟による損害賠償請求を求めるべきかは被害の状況や書き込みの内容などによって変わります。
基本的には弁護士などの専門家に相談し、ケースバイケースの対応を取る形となるでしょう。
自身の権利の侵害が認められ、相手方の特定が完了しても、現実問題として損害賠償請求などが難しい場合は多々あります。
例えば相手方が生活保護の受給者で支払い能力がない場合、裁判を起こしたとしても損害賠償請求を行うことは困難でしょう。この場合は現実問題として、権利の侵害を受けた側が泣き寝入りをせざるを得ません。
(ただし刑事訴訟が可能な場合には、相手方の支払い能力にかかわらず、その罪を追求できる可能性があります)
またプロバイダの情報の保有期間が過ぎていたり、権利を侵害されたという明確な証拠を用意できない場合にも、結果として損害賠償の請求などが難しく、「逃げ切り」を許してしまう可能性が高くなります。
明らかに刑法に違反している場合などを除き、5chの書き込みに対し開示請求を行うためには弁護士の助けが必要となることが多いです。
弁護士(法律事務所)に相談し、5chの運営元やプロバイダなどへ開示請求を行ったり、裁判所での手続きなどを代行してもらったりするための費用は、依頼先や被害状況によって異なります。
それでも強いて相場を挙げるなら、必要な費用の例は以下のようになります。
弁護士に依頼して5chの開示請求を行うために必要な費用(目安)
開示請求のみの場合 | 合計20万円前後~ |
開示請求の後に損害賠償請求を行う場合 | 合計80万円前後~ |
初回のみであれば無料、あるいは安価で対応してくれる法律事務所も多いため、下記のポイントを確認するためにも、一度専門家に相談を行うことをおすすめします。
- そもそも開示請求が可能かどうか
- 損害賠償請求などが可能かどうか
- 弁護士などに支払う報酬や諸費用が、損害賠償金を上回らないか
- 悪質な書き込みの開示請求を行うには、「自己の権利が侵害されている」「権利の侵害が明らかである」「プロバイダの情報保有期間以内である」といった条件を満たす必要がある
- 5ちゃんねるの運営に個人で開示請求を行っても満足な結果が得られないことは多い。基本的にはインターネットトラブルに強い弁護士への相談が推奨される
5ちゃんねるの開示請求は、一人の力で行うことが難しく、結果的に費用がかさみやすかったり、一人の力で行うことが難しく、結果的に費用がかさみやすいといった懸念が多いです。
それでもインターネット上に残る名誉棄損やその他の権利の侵害を残しておくと、後の利益にかかわります。
悪質な書き込みによる被害を受けた場合には、損害賠償請求などが可能かどうかも含め、一度専門家に相談してみるのが良いでしょう。