X(旧Twitter)なりすましの対処法と見分け方を解説!運営が削除しない時の対策
X(旧Twitter)のなりすましは芸能人だけでなく、一般の利用者も注意が必要なほどに被害が広がっています。
そこで今回は、なりすましされた場合にすぐ対応できるように対処法を解説します。
場合によってはX(旧Twitter)の運営に被害を報告するだけで解決する場合もあるので、なりすましを確認次第、対処できます。
運営が対応してくれない場合の対策や、X(旧Twitter)なりすましの見分け方など実践的なノウハウも紹介するので、実名でX(旧Twitter)を利用している方は参考にしてください。
X(旧Twitter)のなりすましを放置した場合に起こりうる被害についてお話しします。
X(旧Twitter)のなりすまし行為はネット掲示板の誹謗中傷とは違い、放っておけば落ち着くものではありません。
なりすましのリスクを正確に把握して、素早い対応ができるようにしましょう。
なりすましは誰かを装うだけでなく、その人の友人知人やフォロワーに対して誹謗中傷を繰り返すことがあります。
友人の知り合いがそういった発言をリポストして友人に知らせると、なりすましされた本人との関係がギクシャクします。
誤解だと言っても本人そっくりのアカウントであるため信用してもらえない場合もあるでしょう。
ひどいケースではなりすましを秘密のアカウントである裏アカと勘違いされ、「あの人は裏では知り合いを馬鹿にしている」と信頼を失います。
なりすましを放置しておくと詐欺行為を始めることがあります。なりすました相手が被害対策に消極的なタイプだと分かると、本格的に動き出します。
友人のふりをしてフォロワーに怪しい情報商材や副業セミナーを紹介したり、不動産の購入を勧めるなど定番の詐欺を仕掛けてくるでしょう。
なりすましの犠牲者が人から信頼されるタイプの場合、詐欺の被害が拡大する可能性があります。
本人が止めるように言っても聞き入れないことが多く、厄介ななりすましのひとつです。
なりすましが裏アカと勘違いされると炎上するリスクが高まります。フォロワーに迷惑行為を続けるのでフォロワーの不満が溜まり、それが自分に向けられます。
なりすましアカウントが人気のインフルエンサーに誹謗中傷を繰り返している場合はとくに危険です。
インフルエンサーのフォロワーから非難のDMが飛んできたり、なりすましが行った暴言ポストに対する謝罪を求められる可能性があります。
なりすましだと説明しても証拠を提示できなければ納得してもらえません。
X(旧Twitter)のなりすましに対処するには加害者の目的を把握して、それに応じた対策をすることが重要です。相手の狙いが分かれば先回りして対処できます。
加害者の目的のひとつは個人的な恨みの解消です。不満を抱いている相手に嫌がらせをするために、なりすましを行います。
なりすましアカウントで暴言を吐いたり、わいせつな画像や、フェイクニュースを投稿して、被害者の評判を下げるやり方を好むことが多いです。
金銭目的でなりすましを行う者もいます。フォロワー数が多く、なりすましに上手く対応できそうにない相手を対象に偽のアカウントを作り、フォロワーに詐欺を行います。
代表的な詐欺行為は、「ワンクリック詐欺が仕掛けられたサイトに誘導する」「クレジットカードの番号を聞き出す」などです。
人の注目を集めるために有名人になりすます例も後を絶ちません。
X(旧Twitter)アカウントを持っていない芸能人やインフルエンサーを装いポストをして、周囲の反応を楽しみます。
なりすましは法律で禁止されていません。しかし、X(旧Twitter)でのなりすましは犯罪行為を伴うことが多く、次に挙げる権利侵害に該当する場合があります。
- 侮辱罪
- 名誉毀損
- 肖像権侵害
- 著作権侵害
- プライバシー権侵害
- パブリシティ権侵害
なりすましの際に相手の写真を無断でプロフィール画像に利用することが多いため、肖像権侵害の要件を満たす場合があります。
相手のアカウントを完全にコピーするために、写真を無断転載するので著作権侵害が問題になるケースが多いです。
相手の名誉を傷つけるために、なりすましアカウントを使い誹謗中傷をすれば名誉毀損や侮辱罪といった犯罪に該当する可能性があります。
芸能人など、よく知られる人物になりすました場合はパブリシティ権の侵害に当たることがあります。
開示請求や告訴をする場合、根拠となる罪状を提示する必要があるため、ここで挙げたなりすましと関連性のある権利侵害を覚えておくとスムーズに書類を作成できるでしょう。
X(旧Twitter)では数多くのなりすましが起きています。多くは有名人を対象としたもので、本人の知らないところで暴言ポストをするケースが目立ちます。
しかし、最近では一般の方が標的になる事例も増えてきました。
誰がどういった被害を受けて、どんな結末を迎えたのか見ていきましょう。
長年、大手テレビ局でアナウンサーを勤めてきたA氏は、看板番組で突然なりすましの被害を受けていることを告白しました。
A氏は自分の名前を付けられたアカウントが、自分のふりをしてポストを繰り返していることと、そのアカウントとは全く関係が無いことを視聴者に伝えます。
身に覚えのない発言について何度も問い合わせが来るようになり、スタッフが対応に困ることが増え、この状況を何とかしないといけないとA氏は思ったそうです。
さらにA氏はX(旧Twitter)で運営の方法を変えて欲しいとX(旧Twitter)の運営会社に要望を出します。
その放送がされてから10分ほどで問題のなりすましアカウントは削除されました。
ポストも完全に削除され、それを聞いたAさんは運営会社に感謝しました。
テレビや雑誌で人気の教育評論家B氏もX(旧Twitter)でなりすまし被害を受けました。
どんな時でも温厚なキャラクターが好評を得ているB氏。
なりすまし犯はそれが気に入らなかったのか、B氏の名前を付けたアカウントで「教育で一番大事なことは暴力です」といったB氏の評判を下げるポストを続けます。
なりすましを確認したB氏は自身のブログでX(旧Twitter)のアカウントを作ったことがないことや、投稿されている写真やコメントも全て自分のものではないことを伝えます。
ブログの投稿がされてから7日後に問題のアカウントは凍結されました。
一般の方を対象に、人間関係を壊すために行われたと思われるなりすましの事例です。
会社員のCさんはFacebookとX(旧Twitter)になりすましアカウントを作られ、自身の評判を下げる投稿をされます。
加害者は誹謗中傷を含むポストをするだけでは足りなかったのか、Cさんのフォロワーに対してCさんの名誉を傷つけるDMを送り付けます。
このことにショックを受けたC三は精神的に不安定になり、仕事が満足にできなくなって会社をやめることに。
それでも続くなりすましに悩み弁護士に相談します。
弁護士は加害者が1人だと判断し、X(旧Twitter)のなりすましに絞って調査を始めます。
最終的には示談交渉で230万円ほどの和解金を得て解決しました。
ここ数年、10代のX(旧Twitter)利用者で増えているのがなりましを悪用した嫌がらせです。
Dさんは動画配信サイトに自分が作った動画を公開するのが趣味の、至って普通の高校生。
X(旧Twitter)もやっていましたが、一般的な高校生と同じく仲間内でフォローし合うだけの慎ましいものでした。
ある日、投稿した動画のコメント欄に中学生の頃の自分の写真をプロフィール写真にしたアカウントから誹謗中傷を受けます。
その後、なりすましアカウントの行為はエスカレート。
Dさんの友人にまで卑猥な嫌がらせコメントをするようになります。
プライベートにおけるトラブルなので自分で解決しようと思い、Dさんは誰にも相談せず耐え続けました。
なりすましアカウントが見破れるようになると、なりすまし被害に遭いにくくなります。
また、早い段階でなりすましに気づいて運営に通報すれば、偽のアカウントに迷惑をかけられる人を減らすのに貢献できるでしょう。
いくつか確認するだけで簡単になりすましを見破れるケースもあるので、見分け方のポイントを紹介します。
これまでは芸能人やインフルエンサー、有名企業など数多くのフォロワーがいる有名アカウントには認証バッジが付けられていました。
仕様が変わり誰でも認証バッジが付けられるようになりましたが、新設された公式マークを確認すれば簡単になりすましを見破れます。
公式マークは運営会社が有名人に限定して付与する「official」と書かれたマークのことで、アカウントネームの下に表示されます。
「なりすましかな?」と思ったら、まずは公式マークがあるか確かめてください。
芸能人や企業はX(旧Twitter)以外のSNSでもアカウントを持っていることがあります。
その場合は公式サイトからX(旧Twitter)のアカウントにリンクが貼られているので、すぐに正式なアカウントかどうか判断できます。
公式サイトから直接リンクが貼られていなくても、Facebookやインスタグラムからリンクされているケースもあるので、公式サイトにあるSNSのリンクは全て確認しておくことをおすすめします。
X(旧Twitter)から公式サイトや他のSNSにリンクを貼るのは、なりすましでも可能なので参考にはなりません。
昔からX(旧Twitter)を使っている人だと知っていたらアカウントの作成年月日を確認すると、なりすましかどうか容易に判別できます。
アカウントの作成年月日はX(旧Twitter)のアイコンを選択して表示されるプロフィールから確認できます。アカウントが作られた年と月が表示されるはずです。
相手がいつからX(旧Twitter)を利用しているか分からない場合でも、ごく最近に作成されたアカウントであれば、なりすましを警戒すべきです。
杜撰ななりすまし犯はX(旧Twitter)のアイコンやヘッダーの画像を初期設定のまま利用しています。
知名度の高い人や企業のアカウントが初期設定のアイコンを使うことは基本的にあり得ません。自身の顔写真やシンボルマークを表示させるのが一般的です。
ただし、本人の顔写真が使われているからといって本物のアカウントとは限りません。
X(旧Twitter)のアイコン画像は簡単に複製できるため、やろうと思えば本物と全く同じアイコンやヘッダー画像に設定できます。
なりすましを確認したら被害が大きくなる前にできることがあります。お金をかけずにすぐできるものから、法的措置を含む本格的なものまで、対処のやり方は様々です。
複数の対処法を知っていれば、なりすまし被害の内容に合わせて最適な対応ができるでしょう。
なりすましを確認したら、ただちにX(旧Twitter)の運営会社に報告しましょう。
ネットの口コミでは悪く言われることもある運営ですが、なりすますについては厳しい態度でのぞむと明言しています。
実際、なりすましが明らかなケースでは本人が削除請求をすると、門談アカウントが凍結されることもあります。
報告のやり方は次の手順で行います。
- なりすまし犯のポストをページに表示する
- ポストの歯車アイコンをタップし、「報告」を選択する
- 「なりすましされています」を選択する
アカウントを乗っ取られている場合は手順3で「乗っ取り」を選択してください。
この方法のメリットは、なりすましポストを確認後すぐに対応できるところです。数タップで運営に報告できます。
なりすましの状況をより詳細に伝えて、運営に迅速対応を促したい場合は通報用のメールフォーム(https://help.X(旧Twitter).com/ja/forms/authenticity/impersonation)を活用してください。
フォロワーが戸惑わないように、なりすましの存在を報告しましょう。アカウントネームをよく確認することと、ポストに誹謗中傷が含まれていればなりすましを疑うように伝えます。
なりすましアカウントのリンクを貼ったり、ネームを公開するのは加害者を刺激して状況を悪化させる危険性があるため、よく考えて行ってください。
自分のアカウントとなりすましアカウントの違いについて知らせることも重要です。見分けるポイントが分かればフォロワーの不安も軽くなります。
なりすましに誹謗中傷や詐欺をされた場合の対処法を伝えるのも忘れないでください。
通報が数多く寄せられれば運営が重い腰を上げることもあります。
なりすましの嫌がらせが犯罪の要件を満たす場合は警察に相談することを検討してください。
嫌がらせ行為がエスカレートしてくると運営の忠告やポストの削除だけでは状況が改善されない場合があります。
警察に報告する場合は確かな証拠を用意することが重要です。なりすまし犯が行った犯罪を警察に調査してもらうためには告訴状を提出し、受理してもらう必要があります。犯行の証拠がなければ告訴状の受け取りを拒否されるでしょう。
告訴できるかどうか不安な場合は警察のサイバー犯罪相談窓口に問い合わせてください。
どう対処すべきか分からない場合は、ネットトラブルを専門にしている弁護士に相談することをおすすめします。
被害の内容から効果的な対処法を提案してくれるだけでなく、今後のことについても教えてくれるので気持ちが落ち着きます。
示談交渉から民事訴訟、刑事告訴まで数多くの法的措置に対応できるところも強みです。一番効果のある手段でなりすましに対処できます。
開示請求のような比較的軽い法的手段を用いて加害者と直接交渉し、事態を解決することも期待できるでしょう。
最近は無料で相談できる弁護士も多いので、軽い気持ちで問い合わせできる点も魅力です。
X(旧Twitter)はなりすましに厳しく対処すると明言しているものの、報告しても対応してくれない場合があります。
迷惑行為には日本の法律を遵守して対処していると言われるX(旧Twitter)ですが、法律に記載の無いなりすましについては独自の判断が下されることもあるようです。
運営が対処してくれない場合に備えて、運営に頼らない対処方法を知っておきましょう。
なりすましが行った個人情報や名誉毀損を含む投稿を削除したい場合は削除仮処分を裁判所に申し立てるのが効果的です。
削除仮処分とは民事保全法に基づいて裁判所が暫定的に問題投稿などの削除命令を発する制度のことで、X(旧Twitter)がこの処分を受けた場合、処分に従い対象の投稿を削除することになります。
仮処分は通常の裁判に比べて半分以下の期間(約1ヶ月~2ヶ月)で削除処分が出されるため、早急に削除する必要がある投稿がある場合に利用できます。
本格的な裁判は避けたいけれど、何とか早期に事態を解決したい時には示談交渉が最適です。
示談交渉に持ち込む方法は色々ありますが、プレッシャーをかけて相手が示談を望むようにする開示請求を使ったやり方もよく知られています。
次のような流れで示談交渉に持ち込めます。
- 開示請求を裁判所に申し立てる
- 意見照会書が加害者に届く
- 告訴される危険性を感じ加害者が示談交渉を申し込んでくる
意見照会書は開示請求の対象になった加害者に届く書類で、何かしらの権利侵害を根拠に自分の個人情報が開示されようとしていることが相手に伝わります。
意見照会書には加害者が侵害した権利と罪状が記載されるため、読めば刑事告訴をされる可能性があることを確認できます。
前科が付くリスクを嫌う人物であれば示談交渉をして告訴を免れようとするでしょう。
交渉では告訴のカードがあるため、こちらの削除要求が通りやすくなります。
X(旧Twitter)のなりすましについて、よくある質問の答えを紹介します。
なりすましトラブルは冷静な対応が求められるケースが多いので、不安なことや疑問があれば解消させておくことが大切です。
X(旧Twitter)のなりすましに関する知識を深めるのにも役立ちます。
- 加害者になりすましを止めるようDMしたほうがいいですか?
- 加害者にDMでなりすましを止めるよう直接交渉すると相手を刺激する場合があるので危険です。
自身の行為が犯罪になる危険性を認識していない10代の若者が、冗談半分の軽い気持ちでやっているケースでは直接交渉してもいいでしょう。
しかし、悪意を持って嫌がらせをしている場合は、なりすましの効果を確信させるだけです。
どうしても直接交渉をしたい場合は弁護士を介して行うことをおすすめします。加害者が個人的な恨みを抱いている場合でも、弁護士とは冷静に話し合える可能性があります。
- X(旧Twitter)を匿名で利用していても通報すれば対処してくれますか?
- 本名とは異なる匿名性の高いハンドルネームでX(旧Twitter)を利用している場合、なりすまし被害を訴えてもX(旧Twitter)の運営会社が動いてくれない場合があります。
ハンドルネームと本人の結びつきが弱いため、誹謗中傷が本人の評判や名誉に影響しないと判断されます。
また、誰かになりすますことは法律的に問題がないため、なりすました上で権利侵害を行わないと運営会社に対処をお願いするのは難しいです。
運営会社が動いてくれやすいのは利用しているハンドルネームが自身と強く結びついている場合です。
ハンドルネームに対する誹謗中傷が本人にも影響するため、名誉毀損や侮辱罪が成立する可能性があります。
動画配信サイトでハンドルネームを使い顔を見せる動画を配信していることを伝えるなど、ハンドルネームと本人のつながりをX(旧Twitter)の運営にアピールする必要があるでしょう。
X(旧Twitter)のなりすましは今後さらに深刻化していく危険性を秘めています。
対処するには頻繁にエゴサーチをしてなりすましを警戒し、発見したら運営に即座に報告、フォロワーへの注意喚起を促すといった対応が必要です。
ただし、被害を報告しても運営が動かないことがあるので、その場合は弁護士に相談しましょう。
民事と刑事の裁判に加えて、示談交渉にも対応をしてくれます。
なりすましを法的措置で解決するためには開示請求から始める必要があり時間がかかるため、弁護士に依頼するなら早い段階からお願いしましょう。