任意整理でブラックリストに載るのはいつまで?完済後から何年でクレジットカードが使えるのかも解説
任意整理の大きなデメリットといえばブラックリストに載ることです。
ブラックリスト登録されるとクレジットカードが使えなくなるなど生活が不便になることがあります。
そこで今回は任意整理をした後、いつまでブラックリストの期間が続くのか解説します。
ブラックリストの期間が伸びる危険行為や、リストから消された時にすべきことなど任意整理をする前に知っておきたいことをお伝えするので参考にしてください。
任意整理でブラックリストに載る仕組み
まずは任意整理をするとブラックリストに登録される仕組みについて解説します。
ブラックリストの特徴や目的について確認してください。
ブラックリストに登録されるまでの流れについてもお伝えするので、任意整理におけるブラックリストの全体像をつかみましょう。
そもそもブラックリストとは何か?
任意整理などの債務整理ではブラックリストが話題になることが多いですが、具体的に何なのかよく分からない人も少なくないでしょう。
日本には個人の分割払い、借金の返済、借金やクレジットカードの申し込みに関する履歴を記録した信用情報を記録している指定信用情報機関と呼ばれる組織があります。この組織が保管している信用情報に返済の遅延や債務整理に関する情報が記載されると、この信用情報がブラックリスト化します。
各種金融機関やカード会社は審査の際に申し込み者の信用情報を取り寄せるため、信用情報に債務整理の記録があると自動的に審査に落ちます。実質的に信用情報がブラックリストとして扱われるわけです。
多くの企業が審査の判断材料にする信用情報ですから、傷が付くとブラックリストに入ったと言われるのは、あながち間違いではないでしょう。
任意整理後にブラックリストに載るまでの流れ
ブラックリスト入りのタイミングを正確に知るために、任意整理からブラックリストに登録されるまでの流れを確認してください。
ブラックリストに登録されるには信用情報に債務整理の情報が記録される必要があります。誰が情報を記録するよう指示するのか見ていきましょう。
任意整理では、最初に債権者に任意整理を開始したことを知らせます。弁護士に依頼した場合、この通知のことを受任通知と呼びます。
債権者である金融機関や信販会社は受任通知を受けると、登録している指定信用情報機関に顧客の債務整理に関する情報を信用情報に記載するよう依頼します。指定信用情報機関が債務整理の情報を記載すればブラックリストに載ることになります。
通常、受任通知は郵送されるため、任意整理の依頼から1週間以内には債権者に通知が届きます。通知を受けたのが金融機関の場合、任意整理の情報を反映するよう迅速に指定信用情報機関に依頼します。しかし、信用情報の内容はすぐに更新されません。最新の情報が反映されるまで1週間~1ヶ月ほどかかると言われています。
弁護士に任意整理を依頼してからブラックリストに登録されるまで1ヶ月はかかるでしょう。
ブラックリストの登録はいつ消えるのか?
ブラックリストに登録されることで生じる問題の多くは、信用情報に任意整理の記録が残ることで生じます。
任意整理をする人にとっては、任意整理の記録がいつ消えるのかは最大の関心事です。登録が解除されるタイミングは様々な条件によって異なるため詳しく見ていきましょう。
最低でも5年間はブラックリストに登録される
信用情報に記録された任意整理の情報は最低でも5年間は残ります。借金の金額によって記録が保存される期間が伸びることはありません。
5年という期間が定められているのは金融庁のガイドラインや信用情報機関の運用方針によるものです。信用情報機関は個人の信用に関する重要情報を保管することが目的のひとつです。そのため信用に大きく関わる任意整理などの金融事故情報は長期間保有されます。
また、金融庁のガイドラインでは信用情報機関に事故情報を5年間保存するよう定めています。
情報が記載された信用情報機関によって登録期間は異なる
信用情報機関には次の3つの組織が存在し、それぞれ任意整理の情報の保持期間が異なります。
JICC | 任意整理の情報を5年間保存します。受任通知を受け取った債権者が任意整理の通知を信用情報機関にしてから5年です。最もシンプルなケースと言えるでしょう。 |
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CIC | 債務整理で支払いを約束した借金を完済してから5年でブラックリストが解消されます。借金を払えず当初の予定よりも返済が遅れると、そのぶんだけブラックリストの期間が伸びるので注意です。 |
KSC | 銀行や信用金庫が登録しています。顧客が支払えない場合は保証会社が代わりに支払うため、保証会社の支払いが完了してから5年がブラックリスト期間になります。 |
どの信用情報機関に記録が残っているか分からない場合は完済から5年を目安にしてください。
任意整理のブラックリスト期間は自己破産に比べて短くなる場合も
任意整理は手軽さや安さの面で他の債務整理方法よりも頻繁に利用されていますが、メリットはそれだけではありません。ブラックリストの期間が自己破産や個人再生よりも短くなることがあります。
KSCに自己破産の情報が記録された場合、消されるまでに10年かかりますが、任意整理なら5年でブラックリストが解消されます。
自己破産や個人再生でブラックリストに登録されると、信用情報から債務整理の記録が消された後もローンの審査が通りにくいなどのデメリットがあります。
ブラックリストの悪影響を最小限に抑えたいなら、任意整理を使って借金トラブルを解決できないか検討すべきでしょう。
企業独自のブラックリストに登録されたら解除されない
ブラックリストは指定信用情報機関が管理するもの以外に、金融機関や信販会社が保有するものがあります。
信用情報機関のブラックリストは最長でも10年ほどで解消されますが、一般企業である金融機関や信販会社が管理しているブラックリストに名前が載ると消えることはありません。仮に解消されることがあっても、タイミングを調べたり、リストから名前が消えたことを確認することは難しいでしょう。
企業のブラックリストは社内やグループ企業で幅広く共有されます。そのため、銀行を対象に任意整理をしたなら、銀行が提供する融資サービスだけでなく、銀行が発行するクレジットカードの作成や新規の口座開設すらできなくなる可能性もあります。
この状態は長年続くこともあるため、任意整理の対象を選ぶ際はよく吟味する必要があるでしょう。
任意整理後のブラックリスト期間を延ばす危険な行為
ブラックリストに登録される期間は条件次第で延長されることがあります。
生活の利便性を上げてくれるクレジットカードなどの決済サービスが利用できないと不便です。
安易にブラックリスト期間を延ばさないためにも、期間延長につながる危険行為を確認しておいてください。
借金を返済しない
任意整理の情報がCICに記録された場合、ブラックリストが解消されるのは借金の返済を終えた5年後です。
債権者が返済完了をCICに通知しない限り任意整理の情報が消されることはないため、借金を返さなければブラックリストの状態は続くことになります。
CIC以外の信用情報機関に情報が記録された場合でも返済の遅延や不履行が信用情報に追記されるため、ブラックリスト期間はさらに伸びます。
借金を返済しなければ個人信用情報は汚れていくため、金融機関からの信頼は底なしに落ちていくでしょう。
何度もクレジットカードに申し込む
ブラックリストが解消する頃になると、繰り返しクレジットカードを申し込む人が少なくありません。
何年もクレジットカード無しの生活を過ごしてきたため、カードが欲しい気持ちは分かりますが、頻繁に申し込むとブラックリスト期間をいたずらに延ばすことになります。
カード会社はカードの申し込みがあったことを信用情報機関に通知するため、そのことが信用情報に記載されます。
信用情報にいくつもカード申込の記録があることは印象がよくありません。カード会社や金融機関に「お金に困っている」と疑われる危険性があります。
支払い能力を疑われて審査に落ち続けたらブラックリストに登録されているのと変わりません。
焦る気持ちを抑えて、クレジットカードの申し込みは月1回程度にしましょう。
債務整理を行う
任意整理をした後に再び債務整理を行うとブラックリストの期間を延ばすことになります。
ブラックリストが解消するには最後の債務整理から5年以上経過する必要があるため、債務整理を再び行うとカウントがリセットされます。最後の債務整理から4年経って再度自己破産や個人再生をした場合、これまでの4年間が無駄になるでしょう。
また、任意整理をした借金の残債があるうちに別の債務整理をすることは、裁判官の印象を悪くする原因にもなります。
身勝手な債務整理は自分の首を絞めるだけなので慎みましょう。
ブラックリストに登録されるとできなくなること
ブラックリストに登録されると生活が一変するかもしれないと不安に感じている方も多いでしょう。そこで ここではブラックリストに登録されるとできなくなることについて解説します。
ブラックリストに登録されている期間は最低でも5年と長期に及びます。注意点を確認して 適切に対処できるようにしましょう。
分割払いができなくなる
クレジットカード以外にも分割払いが利用できなくなる場合があります。
たとえば携帯キャリアが提供しているスマートフォンの分割払いのなかには契約の際に審査が行われるものがあり、ブラックリストに登録されていることが分かると審査をパスできません。
また、携帯電話の回線を契約する際も支払い能力を審査するケースがあり、その場合もブラックリストが原因で契約できないことがあります。
ブラックリストを解消しないと携帯電話関連のサービスが円滑に契約できないことが増えるでしょう。
他にも普段の買い物で利用しているショッピングローンが使えなくなる可能性があります。
クレジットカードが作れない
ブラックリスト期間中はクレジットカードを作れなくなります。任意整理をした信販会社や金融機関が発行するカードはもちろん、それ以外の全てのカードが新規作成できなくなるので生活の利便性は大きく損なわれます。
大手ネット通販サイトはコンビニ決済をはじめ様々な決済サービスに対応しているため問題はありませんが、クレジットカード決済にしか対応しないところもあります。
また、旅行ではクレジットカードが無いと利用できないホテルやレンタカーもあるため、不便を感じることが増えるでしょう。
クレジットカードが再び作れるようになるのは任意整理の情報が記録された信用情報機関によって異なります。CICに記録された場合は借金の完済から5年後です。JICCの場合は、情報が記録されてから5年後になります。KSCは保証会社が借金を立替てから5年です。
賃貸契約が難しくなる
ブラックリストは賃貸契約にも悪影響を及ぼします。部屋や家を借りる際、家主が家賃保証会社を利用するよう求めてくる場合があります。
家賃保証会社にはいくつか種類がありますが、信販会社が運営しているものについては審査に落とされる可能性が高いです。
すでに賃貸契約を結んでいるケースでは問題ありませんが、借金の返済のために安い部屋に移ろうと考えている場合は注意が必要です。
物件を仲介している不動産会社に事情を伝えて、契約の際にブラックリストが問題にならないか相談しましょう。
賃貸契約などの保証人になれない
ブラックリスト期間中は支払い能力が無いとみなされるため、保証人になれなくなります。
借金の保証人になるケースは滅多にありませんし、危険な行為だと考えている人も多いでしょう。しかし、お子さんの奨学金を契約したり、配偶者が住宅ローンを契約する際にも連帯保証人が求められます。こういったケースで保証人になるのは家族ですから、他に頼る親族がいなければ困ることになります。
同様に高額なリフォームを行う時も連帯保証人が求められることがあります。
保証人になれないことで、高額なサービスが利用できないケースは増えるでしょう。
信販会社を利用するサービスが使えない
スポーツジムのようなサブスクリプションに近い支払い方式のサービスには、支払いを確保するために信販会社を利用するものがあります。代表的なものをリストアップするので利用しているサービスがないか確認してみてください。
- スポーツジム
- パソコン教室などのスクールサービス
- 車のメンテナンスサービス
- 健康食品の定期購入
- クラウドサービス
- 美容院の定期カット
- ソフトウェアのサブスクリプション
- 各種保険
これらのサービスは定期契約をする代わりに安価に提供されていることが多いです。ブラックリストに入ることで、生活の利便性だけでなく費用面でも不利になることがあると覚えておきましょう。
ブラックリストが解除されたらやるべきこと
ブラックリスト期間が終わっても即座に元の状態に戻るわけではありません。信用情報に傷が付いた状態が長期間続いたことの影響は残ります。
ブラックリストに登録されてから借金を全て返済し、十分な時間が経過した後にすべきことを解説しましょう。
本当に解除されたか確認する
ブラックリストが解消しても、それが通知されることはありません。信用情報機関は時期が来れば個人の信用情報から任意整理の情報を削除してくれますが、それを本人に通知する義務は無いため、削除されたかどうか確認する必要があります。
利用したことがないクレジットカードに申し込んで審査に通れば、ブラックリストから除外されたと判断できるでしょう。しかし、任意整理の情報が残っていれば信用情報にカード申込の情報が記録されるためおすすめできません。
ブラックリストが解消されたか確認する場合は3つの信用情報機関に開示請求をしてください。インターネットや郵送で簡単に請求できます。
分割払いの実績を作る
ブラックリストの期間が長く続くと信用情報のローン履歴が白紙になります。金融機関は融資の際にローン履歴を見て適切に返済されていることを確認するため、ローン履歴が空白だと支払い能力が無いと判断される場合もあります。
借入やクレジットカードの手続きがスムーズに進むようにローンの実績を作りましょう。クレジットカードが無い状態でローンの実績を積み上げるには携帯キャリアが提供している分割払いや、キャッシング枠の無いクレジットカードがおすすめです。
任意整理後のブラックリストについて弁護士に相談するメリット
任意整理によってブラックリストに登録されたらどうなるのかは、借金や信用情報の内容によって異なります。
安易な判断でブラックリストに対処しようとすると、かえって状況を悪化させることがあるため危険です。
専門家である弁護士の助言を受けるのが理想的ですが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。代表的なメリットを2つ紹介しましょう。
ブラックリストに登録されているか確認してくれる
弁護士は企業に対して情報開示を請求できる職権を持つほど情報収集力に長けています。ブラックリストに登録されているか否かも迅速に確かめてくれるでしょう。
ブラックリストに登録されている確認する場合、個人信用情報機関に開示請求をするだけなので個人でも比較的簡単にできます。しかし、仕事が忙しい場合は申請方法や申請書の書式などを調べるのに時間がかかります。億劫がって調べるのが遅れることも十分考えられます。
弁護士なら正確かつ最短でブラックリストに関する情報を収集して伝えてくれるため、忙しい時でも素早く対応できます。
ブラックリストの注意点や期間の短縮について助言をくれる
信用情報を取り寄せても素人には内容を正確に読み取れないことがあります。債務整理に関する情報を確認するくらいなら問題ありませんが、何か重要な情報を見落としたら問題です。
弁護士なら信用情報から様々な情報を読み取れます。取得した情報からブラックリスト期間がいつまで続くか大まかな見通しを教えてくれることもあります。場合によってはブラックリスト期間を短くするヒントをもらえるケースもあるでしょう。さらに信用情報に不備があれば、それを修正するよう申請してくれます。
ブラックリストに登録されたことで何に注意すればいいかは人それぞれです。専門知識が豊富な弁護士からアドバイスを受けられれば、ブラックリストに万全の体制で挑めるでしょう。
任意整理後のブラックリストについてのよくある質問
ここまでブラックリストの期間に関する話題を幅広く解説してきましたが、任意整理とブラックリストに関しては他にも知っておきたい重要なことがあります。
知恵袋などで見かける、よくある質問形式でポイントを解説していくので、任意整理のブラックリストについてさらに詳しくなりましょう。
ブラックリスト期間中も貸してくる業者がいるのは本当ですか?
ブラックリスト期間中もお金を貸してくれる業者はいますが、闇金である可能性が高いため利用するのは危険です。
ブラックリストに入ると怪しい業者から融資を受けませんかと勧誘の電話がかかってくることがあります。法外な金利をかけられ、法律違反の取り立てを行うため絶対に利用しないでください。
任意整理だけなら勧誘されるリスクは低いですが、その後に自己破産を行った場合は要注意です。自己破産者の情報は官報に記載されるため、誰でも調べられます。
自己破産をした人はしばらく債務整理ができなくなるため、お金を借りると返済から逃れる術を失います。
ブラックリストに登録されたら借金は控えましょう。
ブラックリストに登録されたことを知られることはありますか?
任意整理をしてブラックリストに登録された場合、その情報が公表されることはありません。債権者がカード会社や金融機関である場合、個人情報の管理は厳重に行われているため、周囲の人に知られることはないでしょう。
注意したいのは身近な人が連帯保証人になっているケースです。任意整理をすると連帯保証人に、そのことが通知されるので、任意整理をしていることが知られます。
もし任意整理が成立したらブラックリストに登録されると思われるでしょう。
完済後5年経っても解除されない場合はどうすればいいですか?
CICに任意整理の情報が記録された場合、借金を完済してから5年が経過すればブラックリストが解除されます。
完済から5年が経ってもブラックリストが解消されない場合、指定信用情報機関に開示請求をして任意整理の情報が残っているか確認しましょう。もし残っているようなら信用情報の内容を最新のものに更新するように訂正を申請しましょう。
申請には次の書類が必要になるので、事前に用意してください。
- 身分証明書
- 任意整理の契約書
- 完済証明書
もし弁護士に任意整理を依頼していた場合は、その弁護士に事情を相談することをおすすめします。
まとめ:任意整理後のブラックリスト入りを過剰に警戒するのは危険
任意整理でブラックリストに登録されてから解除されるまで約5年かかります。
借金の完済が解除タイミングに影響する場合もあるため、少しでも早くブラックリストから抜け出したい場合は1日でも早く完済を目指しましょう。
より正確な解除時期を知りたい場合は弁護士などの専門家に相談してみてください。ブラックリスト期間中に注意すべきことも教えてくれます。
ブラックリストに入ると数多くのデメリットに悩まされますが、それでも借金の返済が難しい場合は任意整理を進めるべきです。遅くなるほど家計の立て直しが難しくなります。
弁護士に任意整理を依頼すれば、5年後にブラックリストが解除されない場合にも対応してくれるので、円滑に信用情報を回復できるでしょう。