クレジットカード不正利用の手口と対策を徹底解説
「現金を持ち歩く時代は終わった。」
今や時代はキャッシュレス決済が普及し、各社こぞって導入を展開しています。店頭での支払い、ネットでの支払い、すべてに使用できるクレジットカードは、私たちの生活に欠かせない存在になったといえます。
しかし、その裏で、クレジットカードの不正利用が横行しているのをご存じですか?自身の知らないところで勝手にクレジットカードを使用される事件が後を絶ちません。
本記事では、クレジットカードの不正利用がどのように行われているのか、その手口と対策について徹底解説していきます。
クレジットカードの不正利用とは?
クレジットカードの不正利用とは、カード情報が無断で使用されることです。
不正利用される原因は、カードそのもの盗難、カード情報の漏洩のいずれかになります。
不正利用はカード所有者の知らない間に行われ、気付いたころには「利用限度額まで使われていた…」、「数百万円もの請求書が届いた…」、なんて事態もめずらしくありません。
私たちが詐欺師からクレジットカードを不正利用されないためには、数ある巧妙な手口を理解し、適正なセキュリティ対策を講じなければなりません。
クレジットカード不正利用6つの手口と対策
クレジットカードの不正利用は様々な手口で行われます。昨今、詐欺の技術は常に進歩しているため、次々と新しい手口が出回ります。
そんな中、現在もっとも主流とされている6つの手口について解説します。
- フィッシング詐欺
- スキミング
- ECサイトからの情報漏洩
- なりすましメール
- 架空のネットショッピングサイト
- コンピューターウイルス
①フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は、偽のウェブサイトを通じてカード情報を騙し取る手口です。
詐欺師は、正規の銀行やカード会社を装ったサイトを作成し、ユーザーにログイン情報やカード詳細を入力させます。偽サイトは、見た目が本物と酷似していて見分けが困難です。
対策するには、サイト内の情報を鵜呑みにしてはならず、不審なメールにも応答しないことが重要です。また、正規の銀行やカード会社のサイトに自身の手でアクセスし、URLに不審点がないか確認しましょう。その他にも、セキュリティ対策が更新されたブラウザを使用することや、カード利用時の二段階認証の設定が効果的な防止策です。
⇒フィッシング詐欺にあったら?対処法や実例、詐欺の見分け方を解説!
②スキミング
スキミングは、カードリーダーに不正装置を取り付けて情報を盗む手口です。
詐欺師は、コンビニATMや銀行の無人ATM店舗などに小型の「スキマー」と呼ばれる特殊装置を取り付け、クレジットカードの情報を盗み取ります。
従来は、カードを差し込む際にカード情報を盗み取られていましたが、現在は非接触型(タッチ決済)のスキマーもあり、カードを近づけるだけでも情報を盗み取ります。
スキミング対策は、カードリーダー周辺に不審な装置がないか確認することが重要です。また、ICチップ搭載カードに変更による対策も有効です。
ICチップ搭載カードは、情報が暗号化されていて簡単にはカード情報を盗めません。磁気ストライプのカードを使用している方は、早めにICチップ搭載カードに変更しましょう。
③ECサイトからの情報漏洩
ECサイトから、カード情報を抜き取る手口も存在します。
ECサイトとは、自社の商品やサービスをインターネット上で販売するサイトです。
パソコンやスマートフォンが普及し、インターネットを利用するユーザーが増えたため、これまで実店舗のみで販売していた業者もECサイト展開することが増えてきました。
しかし、セキュリティが不十分なECサイトの場合、不正利用やカード情報を盗まれるケース、サイバー攻撃によるデータベースへの侵入によって情報漏洩するケースもあります。
ECサイトを利用する際は、「SSL暗号化」しているサイトのみ利用してください。
SSL暗号化とは、安全にデータをやり取りするための対策です。データが暗号化されていれば、悪意ある第三者がデータを得たとしても解読される心配はほとんどありません。
④なりすましメール
なりすましメールは、大手の銀行や宅配業者、警察や自治体といった公共機関から送信されたように見せかけたメールを使い、個人情報やクレジットカード情報を盗む手口です。
なりすましメールの多くは、緊急性を装ってユーザーに情報の入力を急かしてきます。
たとえば、「クレジットカードの不正利用が確認されました。今すぐパスワードを変更してください。」などと動揺を誘います。
対策方法としては、少しでも不審に感じたメールに応答しないことです。
特に、個人情報やクレジットカード情報を求めるメールには注意してください。こうしたメールが届いた場合は、企業やカード会社、公共機関に自身で直接問い合わせをしましょう。
⑤架空のネットショッピングサイト
架空のネットショッピングサイトは、高級ブランド品や入手困難なプレミア品といった人気商品の在庫が大量にあるように見せかけ、購入意欲を逆手にとって情報を抜き取ります。
こうした詐欺サイトで買い物をしても、実際に商品が届くことはありません。
そればかりか、入力したクレジットカード情報、住所や電話番号といった個人情報まで盗まれてしまうため、二重の被害につながる恐れがあります。
対策としては、少しでも怪しいと感じたショッピングサイトは利用しないことです。
簡単には手に入らない商品の在庫が大量にあったり、相場からかけ離れた安値で売られていたりといった場合、架空のネットショッピングサイトの可能性が高いです。
⑥コンピューターウイルス
コンピューターウイルスによるクレジットカード情報の盗難は、ユーザーのコンピューターシステムに潜入し、情報を盗み出す手口です。
情報を盗み出す際は、マルウェアと呼ばれるプログラムが使われます。
マルウェアとは、悪意のあるソフトウェア全般を示す言葉で、コンピューターウイルス、スパイウェア(トロイの木馬など)、ワーム(自己複製型ウイルス)などの総称です。
また昨今では、ランサムウェアと呼ばれる被害が拡大しています。ランサムウェアに感染すると、パソコンの画面が動かなくなったり、ファイルが開けなくなったりし、その復元のために代金の支払いを要求されます。
しかし、代金を支払っても、実際に復元されることはほとんどありません。
対策するには、コンピューターに最新のアンチウイルスソフトを導入することです。また、定期的なシステムスキャンをし、信頼できるアプリのみ使用するのが推奨されます。
クレジットカードを不正利用された際の対処法
クレジットカードの不正利用が疑われる場合、迅速かつ的確な対応が重要です。
具体的には、以下の順序に従って対処してください。
- 請求内容の確認
- カードの利用停止
- 必要があれば警察へ届出
①請求内容の確認
クレジットカードの不正利用が疑われる場合、まずは請求明細を確認してください。
家族の誰かが利用した可能性や、知らない店舗での利用が記載されていないかを確認することが重要です。利用明細の、日付・利用先・金額についてよく確認しましょう。
特に、利用先に注目し、身に覚えがないかを確認してください。また、身に覚えがない名称であった場合でも、インターネットで検索をかけると詳細が判明する場合があります。
なお、以下は利用日と明細の日付が異なる例なので注意してください。
- インターネットショッピング:購入日ではなく商品発送日で表示
- ホテルなどのオンライン予約:利用日ではなく予約日で表示
こうした日付のタイムラグも考慮し、請求明細を確認してみてください。
もし、身に覚えのない不正利用が見つかった場合は、即座にカード会社へ連絡しましょう。
②カードの利用停止
クレジットカードの不正利用が見つかったら、カード会社へ連絡し、カードの利用停止処理をするのが最優先です。カード会社への連絡が滞ると、さらなる被害を生む危険があります。また、ほとんどカード会社は利用停止手続きに24時間対応しています。
カードの再発行となると、営業時間内での問い合わせが必須となりますが、カードを利用停止するだけであれば、24時間即座に対応可能なのでご安心ください。
カードの利用停止さえしてしまえば、いったんは被害拡大する心配がなくなります。その後、カード会社の指示に従い、返金・再発行などの手続きを進めていきましょう。
なお、現在所持しているカードは今後一切の利用ができないため、カード会社に返却するか、カードにハサミを入れるなどして、しっかり処分しましょう。
③必要があれば警察への届出
クレジットカードを紛失、あるいは盗難にあった場合、警察に遺失届や被害届を出せます。
しかし、クレジットカードの不正利用についての被害届は、詳細な詐欺被害を説明できるだけの資料や、詐欺者の情報自体不明なことが多く、対処してもらえる可能性は低いです。
不正利用については、警察ではなくカード会社に対応してもらうしかありません。
なお、クレジットカードを利用したのに商品が届かないといった相談は、警察ではなく国民生活センターに連絡するのがおすすめです。
国民生活センター:https://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
クレジットカード不正利用の予防策
クレジットカード不正利用の予防策としては、以下の項目を日頃意識するのが重要です。
- 怪しい店舗やサイトでクレジットカードを使用しない
- ATMを使用する際は、周囲に不審な機器がないか確認する
- 利用明細は毎月確認し、すぐに不正利用に気付けるようにする
さらには、クレジットカードの使用規則、不正検知システムの確認についても必須事項です。
クレジットカードの会員規約を守ること
クレジットカードを安全に使うためには、定められた会員規約を守ることが重要です。
会員規約には、カードの裏面にサインをする、他人にカードを貸したり暗証番号を教えたりしないといった内容が多いのですが、いずれも不正利用を防ぐ重要な項目です。
特に、カードの裏面にサインする重要性の認識が低い方が多くいらっしゃいます。
カード裏面の署名は、万一カードを紛失した際、拾得者が勝手にカード使用するのを防ぐ役割を果たします。サインがなければ、誰でも簡単に署名をしてカード使用できるため危険です。さらに、サインを怠った場合、カード会社の補償が適用されない可能性もあります。
クレジットカードを利用する際は、会員規約を守ることが不正利用の予防策になります。
基本ルールをしっかり守り、安全にクレジットカードを利用しましょう。
クレジットカード会社の不正検知システムの確認
クレジットカード会社によっては、不正検知システムを取り入れています。
不正検知システムとは、クレジットカードが利用されるごとに、取引に不審点がないかを24時間監視するシステムです。たとえば、普段利用していない地域(海外など)で、取引利用が検知されたり、インターネット上で普段利用しないような金額が一括決済されたり、といった場合、不正検知システムが作動し、カードの利用を一時的に制限します。
その後、カード契約者に電話やメールで連絡が入り、取引に身に覚えがない場合は即座にカードの利用停止手続きが取られます。
上記は一般的な例ですが、自身が利用しているカード会社を確認し、どのような不正検知システムが取り入れられているのか、あらかじめ確認しておくことが予防策として重要です。
クレジットカード不正利用の支払い義務は?
クレジットカードの不正利用が発生した場合、支払い義務の有無は、個々の状況とカード会社の方針によって異なります。とはいえ、一般的にカード会社は不正利用が明らかでカード所有者に過失がない場合、被害者に支払い義務を課すことはありません。
しかし、カード所有者が会員規約に違反している場合や、不正利用が発生した事実を適時報告していなかった場合、一定の責任を負う可能性があります。
たとえば、カード情報を他人に教えたり、カードを他人に貸していた際の不注意で失くしたりした場合です。また、不正利用が発生した際は、速やかにカード会社に連絡し、被害状況の調査などに協力しなければなりません。その際、提出書類に虚偽があったり、本当は商品を受け取っていたりといった不正があった場合、補償対象外とされてしまいます。
不正利用代金を支払ってしまったら
一般的に、クレジットカード会社から不正利用の疑いがある場合、請求確定前に事前確認の連絡がきます。その際、不正利用が判明すれば、支払いをする必要はありません。
しかし、中には巧妙な詐欺手口によって、クレジットカード会社の不正検知をかいくぐってくる可能性があります。この場合、不正に気付いたときは、すでに代金を支払った後、なんて事態にもなりかねません。
とはいえ、すでにクレジットカードの不正利用代金を支払っていても、上記のとおりカード所有者に過失さえなければ、返金対象となるのでご安心ください。 なお、不正利用代金を支払ってしまった場合、つぎの流れで手続きを進めてください。
すぐに返金手続きを
まずは、クレジットカード会社に不正利用の事実を伝えてください。
不正利用の連絡を受けたクレジットカード会社は、利用状況の調査をしてくれます。
その結果、不正利用が認められれば、一度支払った代金も返金してもらえます。
一般的な調査期間としては、1~2ヶ月程度です。
なお、調査結果に関わらずカードの再発行は必須であるため、必要な手続きを行いましょう。
犯人逮捕が目的なら警察への相談
クレジットカードの不正利用が認められても、犯人が逮捕されるわけではありません。
もし、犯人を逮捕してもらいたいのであれば、警察に被害届、または告訴状を提出しなければなりません。ただし、警察に調査してもらうには、悪用されたカード情報や、悪用された日付や明細がわかるもの、といった証拠品を持参する必要があります。
もし、警察への相談を希望するのであれば、警察相談専用電話がお勧めです。
なお、警察がしてくれるのは犯人逮捕でしかなく、不正利用されたお金を取り返してくれるわけではありません。さらには、詐欺相手の具体的な所在を求められることもあるため、警察は簡単には調査に応じてくれない、と認識しておくのが無難です。
返金が目的なら弁護士に相談
クレジットカードの不正利用は、基本的にはカード所有者に返金されます。
しかし、クレジットカード会社の返金・補償の対象外となってしまった場合は、弁護士への相談を検討してください。弁護士であれば、警察への告訴状の提出といった刑事事件としての対応、詐欺師への返金請求といった民事事件としての対応、いずれにも応じてもらえます。
そもそもクレジットカードが不正利用されているというのに、カード会社が返金しないというのは法的問題を含みます。カード会社との対応を弁護士に任せ、法的問題を指摘してもらうことで、返金される可能性がぐっと高くなります。
まとめ
クレジットカードの不正利用は、現代社会において避けられないリスクの一つです。
このリスクを最小限に抑えるには、カード情報の安全管理が重要です。
フィッシング詐欺、スキミング、オンラインデータの漏洩など、多様な手口に対して常に警戒しなければなりません。また、不正利用が発生した場合には、迅速な対応を心がけましょう。
請求内容の確認、カードの利用停止、カード会社や警察・弁護士への連絡が重要です。 クレジットカードを安全に使用するためにも、不正利用対策をしっかりと講じ、被害に遭ってしまった際は、適切な順序で返金を求めてください。
詐欺への返金についての記事は下記で詳しく解説しています。
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