慰謝料請求とは?慰謝料がもらえるケースと請求しない方が良いケースを解説
慰謝料とは不法行為によって精神的損害を受けた場合に、被害者がもらえる損害賠償金です。
この記事では、離婚・不倫に対する慰謝料について、慰謝料がもらえるケースと慰謝料を請求しない方が良いケースについて詳しく解説します。
離婚・不倫に対する慰謝料の相場や慰謝料に税金がかかるのかについても説明しているため、慰謝料の請求について悩んでいる方はぜひご一読ください。
慰謝料とは
慰謝料とは加害者の違法行為により精神的苦痛を受けたことによる損害賠償金です。
慰謝料請求には、違法行為があったことが必要となるため、相手から嘘をつかれて精神的に傷ついたとしても、必ず慰謝料をもらえる訳ではありません。
不倫や暴力などの違法行為がある場合に、損害賠償が認められます。
つまり夫婦どちらかが一方の責任とはならない「価値観の違い」「性格の不一致」で離婚する場合は慰謝料をもらえません。
慰謝料と示談金の違いとは
慰謝料と同じく、よく耳にする言葉に「示談金」があります。示談金とは裁判所を介さず、被害者と加害者の合意によって紛争を解決する「示談」で支払われるお金です。
離婚の示談では、慰謝料、財産分与、養育費など、離婚において発生する金銭が示談金に含まれます。
これに対して慰謝料は、被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われるお金のみをいいます。
慰謝料が請求できる3つの条件
慰謝料はどのような条件がそろうと請求できるのでしょうか。
この章では、慰謝料が請求できる3つの条件をご紹介します。
1.精神的苦痛を受けたこと
慰謝料が請求できる条件の一つに「精神的苦痛を受けたこと」があります。
不倫が原因で夫婦関係が破綻し、精神的苦痛を受けたと主張したい場合は、不倫が行われる前までは、夫婦関係が良好だったということを証明する必要があります。
2.不法行為があったこと
単に精神的苦痛を受けたのみでは、慰謝料は請求できません。不法行為が原因で精神的苦痛を受けた場合に慰謝料を請求できます。
不法行為とは、DV、モラハラ、不倫などがありますが、必ず不法行為を証明できる証拠を用意しましょう。
例えば、暴力を振るわれた場合は、ケガをしたときの写真や診断書を残しておきましょう。
3.時効が成立していないこと
不倫に対する慰謝料請求権は不倫の事実を知ったときから3年を経過すると消滅してしまいます。また、不倫の事実を知らなくても20年経つと時効にかかります。
不倫関係が終了してから20年以上経って、初めて不倫の事実を知ったとしても、時効となってしまいます。
慰謝料請求しない方が良いケース5選
離婚や不倫に対する慰謝料は、必ずしも請求した方が良いとは言えません。
離婚や不倫に対する慰謝料について、請求しない方が良いケースを5つご紹介します。
1.不倫の証拠がないケース
不倫の証拠がない場合は慰謝料請求をしない方が良いでしょう。
不倫が事実ではない場合、逆に名誉毀損で訴えられる場合もあります。
2.不倫相手が配偶者を独身だと思っていたケース
不倫相手に慰謝料を請求する場合は、不倫相手が不倫の事実を認識していることを証明しなくてはなりません。
例えば、あなたの配偶者が独身だと偽って、不倫相手と関係を持ったケースでは、不倫相手は不倫をしていると思っていないため、不倫相手には慰謝料を請求できない可能性があります。
3.慰謝料の金額が期待できないケース
不倫の慰謝料の相場は50万円~300万円です。不倫の期間が短い場合や、不倫をされても離婚しない場合は、慰謝料の金額も少額であるケースが多いでしょう。
慰謝料請求をする場合の弁護士費用は少なく見積もって30万円程度かかります。
弁護士費用の内訳は次のとおりです。
慰謝料が少額の場合は、弁護士に相談する金額の方が高くなる可能性があるため、注意が必要です。
4.不倫開始時に結婚生活が破綻していたケース
不倫関係をスタートした時点で、既に配偶者との結婚生活が破綻していた場合は、慰謝料を請求できないとする裁判例があります。
5.不法行為がないケース
「性格の不一致」や「価値観の違い」といった場合は、夫婦どちらかの責任とは言えないため、慰謝料を請求することができません。
慰謝料は、暴力や不倫といった不法行為により損害を受けた場合に慰謝料を請求できます。
離婚の慰謝料の相場
次に不倫による慰謝料の相場について、確認しましょう。
結婚生活を継続した場合と不倫が原因で離婚や別居をした場合で慰謝料の相場は異なります。
・結婚生活を継続した場合の慰謝料相場:50万円~100万円
・不倫が原因で離婚や別居をした場合の慰謝料相場:200万円~300万円
なお、慰謝料の請求先は次の3パターンです。
- 配偶者に請求する
- 不倫相手に請求する
- 配偶者と不倫相手双方に請求する
慰謝料を加害者のどちらか一方もしくは双方に請求するかについては、被害者が自由に決定することができます。しかし、配偶者と不倫相手に慰謝料を請求する場合、発生した損害額を超えて慰謝料を請求することはできません。
例えば、損害賠償金額が100万円のケースでは、配偶者と不倫相手への慰謝料請求額は合計で100万円を超えることができません。
慰謝料に税金はかかるのか?
慰謝料をもらった場合に税金がかかるのか気になる方もいるのではないでしょうか。
この章では、慰謝料に所得税や贈与税といった税金がかかるのかについて、詳しくご紹介します。
慰謝料と所得税の関係
慰謝料は加害者から受けた損失を補填するものです。慰謝料をもらった人に利益をもたらすものではないため、所得税はかかりません。
慰謝料と贈与税の関係
贈与とは、当事者の一方が無償で財産をあげることです。慰謝料は被害者が受けた損害を補填するもののため、贈与ではありません。つまり、慰謝料には贈与税はかかりません。
慰謝料が贈与とみなされるケース
慰謝料は基本的に贈与とはなりませんが、次のケースでは、慰謝料を贈与とみなすことがあるため注意が必要です。
- 慰謝料が高額すぎる場合
慰謝料が明らかに高すぎる場合は、贈与とみなされて、贈与税が課されるケースがあります。不倫を原因とする慰謝料の相場は、50万円~300万円といわれています。贈与とみなされないように、適正な慰謝料を請求しましょう。 - 慰謝料であることを証明できない場合
慰謝料を受取る場合は、慰謝料と証明できるように、離婚協議書を作りましょう。離婚協議書には、受け取った金銭が慰謝料であるとわかるように明記しましょう。もし、離婚協議書に慰謝料の記載がない場合、税務署から贈与を疑われ贈与税を課される可能性があるため、注意が必要です。 - 慰謝料として家や車などを渡したケース
慰謝料は、通常金銭で支払われることが多いですが、家や車を慰謝料として譲り渡すケースもあります。不動産や動産の時価相当額が、慰謝料としては高すぎる場合は、贈与税を課される可能性があるため注意しましょう。
まとめ
慰謝料をもらったからといって、不倫などでパートナーに裏切られた心の傷は癒えるものではありません。しかし、離婚をして生活をしていくには、お金が必要であり、辛い思いをしたあなたには慰謝料をもらう権利が認められています。
慰謝料や財産分与などの離婚条件に納得できない方は、不倫・離婚分野の知識と経験のある弁護士に相談しましょう。
話し合いではまとまらずに、裁判になった場合でも、早い段階で相談することで裁判の準備をしっかりと整えることが可能です。
離婚問題に経験豊富な弁護士が、あなたをサポートさせていただきます。ぜひお問合せください。